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人間晩節を汚すものではない~曾野綾子「アパルトヘイト」コラムと個人的な体験 [社会情勢]

 2007年。60歳になった団塊の世代が多数退職するという状況を、私は自身の所属する会社で体験することとなった。その後も定年で退職する人をたくさん見ることとなった。その他たくさんの組織での経験も聞いた。

 いろいろな人がいて、立場も様々。そう、いろいろ。さまざま。

 その最後の日まで、真剣に仕事と向き合い、後身に技術を伝えた人もあれば、ただ何をしているのかすらよくわからない、その職責の大きさから見れば、極めて堕落した働きしかしていない人もいた。
 退職を惜しまれ、皆から暖かく送別される人もいれば、こいつはいったい何だったんだ、と石もて追われるごとく組織を去る人もいた。
 いや去るだけならともかく、いい加減なプロジェクトを炎上状態で放置してやめた人もいた。そんな人は特に印象に残る。そして思うのである。

人間晩節を汚すものではない、と。


 極右「文化人」の曾野綾子が、またまた産経新聞で書き殴ったことが、さすがに物議を醸している。

曽野綾子氏の産経コラムに抗議相次ぐ 人種別居住区に言及で(Gohoo:2015年2月18日)

 内容については多くの方が批判しているし、私はあえて触れない。このような暴言は、先進各国では論評に値せず、ただ不適切であるとして糾弾の対象となるだけだから。それは・・、

・ナチスのホロコーストはなかった

・日本軍による「従軍慰安婦」はただの売春婦だった

・クメールルージュによるカンボジア大虐殺はねつ造だ


 等々の「言論」が、すでに被害者への冒涜にあたる、一種の暴力であるとみなされるのと同義であるから。

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勝手に期待して勝手に裏切られたと思い込むのはもうやめないか~突然の衆院解散に接して [社会情勢]

今年はチャップリンの映画デビューからちょうど100年なんだそうだ。

チャップリン 映画デビュー100年 独裁者に勝った喜劇王(しんぶん赤旗2014年11月21日。電子版はないみたいです。)
著者は大野裕之氏。「日本チャップリン協会」というところの会長をされているんだそうです。

 この論考にはいくつか興味深い記述がある。

 ヒトラーはマスメディアを駆使した最初の政治家だ。何をしたわけではないが、「何かをしてくれる」という期待をメディアで膨らませ続けた。自分の演説をおさめた映画を全国で上映し、大衆を熱狂させた。政権の座についた後は、さらにメディア支配を強める。・・メディア上で総統の髭とチャップリンの髭を比べることを禁止した。

・・義憤にかられたチャップリンは、1937年に「独裁者」制作を決意する。とたんに各方面から圧力がかかった。・・ヒトラー宥和政策をとっていた英国は高官を撮影所に派遣して中止を要請。米国民も、不況の中ヒトラーのような強力なリーダーを求めており、ナチスの支持者は多くいた。



 実はヒトラー現役時に、真っ向からヒトラーを批判した映画人はチャップリンだけだった、との説がある。
・・もちろん「ハリウッドでは」との注釈がいるのだろうけれど。
 ヒトラーは今でこそ極悪な独裁者と見なされているけれど、欧米のブルジョア層や大衆に一定の支持があり、有名なところでは大西洋無着陸横断飛行を成し遂げ、合州国の英雄となったリンドバーグも、その支持者の一人だった。
 最近邦訳が完成した小説「プロット・アゲンスト・アメリカ」(原題:The plot against America)では、1940年、もしルーズベルトではなくリンドバーグが大統領になっていたらという世界を描いている。


まだ私は未読ですが・・

さて同論考は以下の通り続く。

・・むしろ興味深いのは(独裁者の)1940年の公開時の宣伝コピーが「世界が笑います!」であることや、各地で「子供独裁者コンテスト」が開催されたこと、さらにデパートでは「今年のファッションを独裁!」などと流行語になっていたこと・・つまり作品をめぐる当時の状況から政治的要素が消えていることだ。戦争と向き合える状況そのものが消される-それが戦争の本当の怖さなのかもしれない。

 ひるがえって現代に目を移す。「何かを変えてくれる」と思わせる扇動政治家、イメージ戦略、そして向き合うべき困難は隠蔽される・・「独裁者」をめぐる状況そのものだ。ネット上やTVでイメージが氾濫する、いわば毒だらけの今こそ、ユーモアたっぷりの毒である「独裁者」を見直す時かもしれない。・・


 言うまでもなく「独裁者」の真骨頂は、最後、ヒトラーに扮した床屋が語る演説内容であって、そこにはすでに始まっている激しいレイシズムと戦争への批判であった。1940年当時、配給側は何を思ってこのようなコピーをつけたのだろうか。

 その回答は今現在の日本にある。

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2004年のイラク人質事件バッシングに似てないか~朝日新聞「誤報」問題に群がる異様な言論空間に関して [社会情勢]

 同時代人として、この異様な言論空間にコメントせざるを得ない。

・・・・・

 何となく朝日新聞を取り始めて、もう何年にもなる。先日も契約更新のために営業所の人が訪問してきた。いつもはNHK番組改編問題とか、原発問題とか、一応報道しているのに何か煮え切らない、そんな朝日の報道姿勢にイライラもしていたので、いつもは契約を更新すべきかどうか思わせぶりにしているのだが、今回は即決だ。で、この間の情勢から、ちょっと質問してみたんである。

 「解約する人って、やっぱりいるんですか?」

 「おかげさまで、私の担当地区ではまだ誰も解約いただいていないです」

 それはよかった、と言おうとすると、営業の人はこうも言う。
 「この辺の地区の方はいいのですが、集金と営業を別々にやっている地区ではいろいろとあって」
 「配達していたら突然アパートから「朝日新聞、コノヤロー」みたいに怒鳴られて、バイクを蹴られて倒されたなんてこともあって」などという。

 それは器物損壊や威力業務妨害って言う立派な刑法犯じゃないか、と思う。

 少々前にこんなニュースがあって、ようやく「略式」起訴なんだそうである。

北星学園大に脅迫電話、容疑の男を略式起訴 札幌区検(朝日11月7日)

 慰安婦問題の記事を書いた元朝日新聞記者の植村隆氏(56)が勤める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫電話をかけたとして、札幌区検は7日、新潟県燕市の元施設管理人の男(64)を威力業務妨害罪で札幌簡裁に略式起訴した。求めた罰金額は明らかにしていない。  札幌地検によると、男は9月12日、自宅から同大に電話をかけて「(植村氏を)辞めさせないのか。ふざけるな。爆弾を仕掛けるぞ」などと脅し、業務を妨害したとされる。5月以降、植村氏の退職などを要求する脅迫文が同大に届いた3件の事件について、地検は別人による犯行とみている。(後略)


このような状況に、支援団体も立ち上がり、広範な層からの支持を得ている。

「負けるな北星!の会」(マケルナ会)

 先日7日には、これらの事件に関して、多くの弁護士が連名で、札幌地検へ告発を行った。事件の概要やその問題点は下記告発状の中身に詳しい。

弁護士380名が北星学園大学への脅迫者を告発(澤藤統一郎の憲法日記)

 こんなニュースを前に、さすがにネトウヨ商法が事件を招いたことに気付いたか、読売、産経、小学館や光文社といったメディアによる朝日新聞叩きは、若干少なくなりつつある。

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 今月8日に発売された岩波書店の「世界」11月号は、この異様な言論空間への警鐘を鳴らす優れた特集を組んでいる。
 なかでも上記で当事者となった北星学園大学を巡る問題を、コンパクトかつ丁寧に報じる記事がある。
 新聞紙面やテレビ報道ではうかがい知れない、異様なバッシングの内容や、当事者らの苦悩、それを支える多くの人々の動き、そして言論・学問の自由と高額の警備費用との狭間に苦悩する大学の状況が描き出されている。

「世界」2014年11月号
「私たちも北星だ」 大学の自治を守ろうと立ち上がった市民たち

「朝日狩り」なのだという。かつて慰安婦報道に携わった朝日新聞OBのいる大学に、「辞めさせないと爆破する」などと脅迫状やメールを送りつける策動だ。・・北海道札幌市の北星学園大では、市民が「大学の自治、学問の自由を守ろう」と立ち上がった。(10月23日に大学を脅迫した容疑者が逮捕されたが)だが、わずか一カ月前まで、脅迫事件の一端を知りながら新聞、テレビは一切報じていなかった。民主主義の根幹をなす自由な言論を守るため、先陣を切るべき報道機関が、なぜ沈黙したのか。 大学への脅しは週刊文春2月6日号が発売された1月末にさかのぼる。・・


 この記事を書いたのは北海道新聞の記者。

 北海道新聞といえば、道民の多くが購読していて、編集方針は比較的リベラル。私が札幌で一人暮らししていた頃にも購読していた。
 そんな時にたくさんの景品(協定違反)を持ってきて、颯爽と新聞勧誘を繰り返していたのが、読売新聞だった。東京などでは読売が右翼やくざとつるんで、部数拡大に躍起になっていたことは以前にも書いた。(読売と右翼とナベツネ ~かつてこのようなことがあった)

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ある行旅死亡人に、浮浪者と蔑まれた「戦災孤児」を想像した [社会情勢]

 2012年の初頭、私はインフルエンザにかかって出勤停止になった。ヒマだったのでふとしたことで見つけた官報のサイトで、その官報を延々と読み続けたことがある。

 官報には破産とか失踪、身元不明で死亡した人(行旅死亡人)の情報が掲載されることがある。というかほぼ毎号掲載されている。「失踪」には時折、江戸時代の元号に生まれた人物や、最後の住所が「東京府」だったり「ブラジル国サンパウロ州」などというものがある。
 さて、その中で非常に印象に残ったものがあった。

平成24(2012)年2月9日 官報号外第30号
行旅死亡人
本籍・住所・氏名不詳の男性、自称大和一夫、
推定年齢74歳、身長174cm、体重65kg、重度精神発達遅滞、統合失調症、家族関係、生育歴等は聞き取りができず一切不詳
上記の者は、昭和32年11月、東京都民生局の「一斉収容」により上野で保護され、昭和32年12月から当区内の病院に入院となっていたところ、平成23年12月8日に死亡しました。身元不明のため、遺体は火葬に付し、遺骨は保管してあります。(後略)


 昭和32年というと1957年。日本の敗戦から12年。「一斉収容」とは、行政がたびたび行っていた、いわゆる「浮浪者狩り」というものだろう。彼は50年以上も、おそらくは精神病院に入院させられ、そのまま今日まで入院し続けていたのだろう。
 2011年死亡時74歳なので、「収容」時の彼の年齢は20歳前後。敗戦時8歳ということになろうか。

 なぜこんなことを思い出したかというと、下記の本を読んだからだ。


浮浪児1945 -戦争が生んだ子供たち

 著者は77年生まれで私よりも若い。力作だ。一気に読んだ。

 戦災孤児の発生を「東京大空襲」から取上げ始め、激化する「空襲」によって被災地から東京、上野に吸い寄せられるように戦災孤児が集まってくる。
 そして家庭の事情で家出をした子らも集まり、闇市の発展に伴い大人たちの手伝いなどで食いつないでいく子どもたち。それらを豊富な証言から構成している。もちろんスリやひったくり、窃盗などといった犯罪行為も多く出てくる。そうしなければ生きていけなかった。

 戦争中はそれでもまだよかったようだ。しかし戦後は状況が一変する。1945年は戦争で男手がとられたことに加え、枕崎台風の影響もあって、食料生産は激減。そして次々と復員する軍人たち。未曾有の飢饉が翌年の食糧メーデーの「汝人民飢エテ死ネ」を生み出したのだろう。

 まあ、戦争中はいわゆる「外米」がベトナムなどから輸入されていたから、それがある程度日本人の食生活に貢献していたのだろう。ただし一方で、ベトナムではその前年から同年までに、200万とも言われる人が犠牲になっていることも忘れてはならない。

 証言者からは、単につらく苦しいだけではなく、同じ境遇の子どもらやテキヤ、売春婦との不思議な共同関係も語られる。この本の多くは、このように、子どもたちがどうやって生きてきたかが語られる。
 とはいえ、これは証言者の意見をベースにしているため、実態としてはどうだったのだろう。それは著者もわかっているようだ。この本は、まず遺書から始まる。

死亡当時15歳の少年の遺書

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タグ:戦争 安倍
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皆さん忘れてませんか・・フクシマ原発事故は全然収束していないどころか、まだまだ相当にひどい状況 [社会情勢]

 公式にはこの原発事故、2011年12月に「収束」したことになっている。
 その舌の根も乾かぬ2012年9月から、複数回にわたって膨大な量の放射能をまき散らしている福島第一原発。東京電力や「原子力ムラ」がひた隠しにしてきた事実が、ようやく報道された。

福島第一原発のがれき粉じん、7回宮城へ 東大など調査(朝日新聞2014年7月31日)

 東京電力福島第一原発のがれき撤去作業で飛散した放射性の粉じんが2011年12月以降に計7回、約60キロ先の宮城県丸森町まで飛んだ可能性が高いことが東大などの調査で分かった。調査チームは「昨年8月の大規模ながれき撤去以外でも広範囲に飛散したことが分かった。費用をかけてでも防止に万全の策をとるべきだ」と指摘している。

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 東大大気海洋研究所の中島映至(てるゆき)教授らが住民の被曝(ひばく)対策を研究するため、第一原発から北北西59キロの宮城県丸森町役場に大気中の粉じんを集める装置を設け、11年12月から昨年12月にかけて4、5日に一度回収してきた大気中の放射性セシウム濃度を調べた。このうち①濃度が普段の10倍超②風向や風速から計算すると第一原発から届く――時期が8回あった。

 一番濃度が高いのは昨年8月16~20日で、前後の時期の50~100倍。8月19日に行った大規模ながれき撤去で粉じんが飛散し、20キロ以上離れた水田や48キロ先の住宅地まで飛んだ可能性を農林水産省や京大が指摘した時期と重なる。他の7回は12年9月7~11日、14~18日、11月16~20日、昨年5月28~31日、6月28日~7月2日、2~5日、8月6~9日。いずれも普段の10倍程度だった。調査チームは今年5月に農水省に研究結果を報告していた。

 東電によると、8回中7回の時期に3号機でがれき撤去を実施。残る1回の時期にはセシウム吸着装置のベント配管から水が漏れるトラブルがあった。だが東電は「昨年8月のような大規模な飛散はなかったと思う」としている。

 東電は今月(7月:引用者注)中に1号機を覆うカバーを解体して大規模ながれき撤去に入る予定だったが、「飛散対策の強化を検討している」として当面延期した。ある作業員は「コンテナで覆うなどの抜本対策は検討されていない。ほとぼりが冷めたら作業を再開するのではないか」と話す。(青木美希)


・・・あのね。皆さん忘れてませんか。

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米国ハゲタカファンドとのたたかい・・アルゼンチン大統領府が異例の全面広告を朝日新聞に出している件について [社会情勢]

 朝日新聞、東京版に異例の広告が先月から今月にかけ、3回掲載されている。

 広告主はなんと、アルゼンチン大統領府。

 初回は本年2014年6月25日。2回目は7月1日(いずれもカラー。1面のみ全面広告)。そして3回目は7月10日(モノクロ全面広告2面)である。

 検索した限りでは大使館にも、各種のウェブサイトにも内容が掲載されているものがないので、私がとりあえずOCRでデータ化してみた(英字部分は力尽きてデータ化していない。基本的には判決文などの内容なので、広告の画像データを直接読むか、一次資料にあたっていただきたい)。

6月25日朝日新聞首都圏版の広告

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2014年(平成26年)6月25日  水曜日

アルゼンチンは債務返済を継続したいが、継続させてもらえない

 アルゼンチンとしては、2005年以来やってきたように債務返済を継続していきたいのですが、それが今、トーマス・グリーサ連邦地裁判事の判決と米国最高裁の上告棄却によって阻まれています。

 アルゼンチン共和国の2001年のデフォルト(債務不履行)は世界金融史上最大で、1000億米ドルを優に超えていました。数十年にわたる過重債務と低成長により、我が国の債務はGDPの160%を超え、失業率は25%近くに上り、人口の50%以上が貧困に苦しんでいました。2003年以降、我が国の国際金融関係の正常化を目的とした措置がいくつかとられてきました。債権者との交渉は全て、「返済できるようにするには、アルゼンチンはまず成長によって支払債務履行の財源を創出しなければならない」という同じ根本原則に則って行われました。返済を可能にする成長は、2003年以来アルゼンチンが行った全ての債務交渉に共通する前提です。こうした政策の下に、アルゼンチン経済は10年以上にわたって成長を遂げ、失業率は低下し、債務も減少し続けています。民間セクターに対する外貨建て公的債務は、現在では我が国のGDPの8%を下回るまでになりました。

 2001年にデフォルトになった債務の再編プロセスは依然として続いています。険しい道のりですが、国際通貨基金(IMF)への債務は完済し、投資紛争解決国際センター(ICSID)の最終裁定に関して債権者と合意にこぎ着け、米州開発銀行、世界銀行、アンデス開発公社といった国際機関に対する義務も完全履行し、最近ではパリクラブ(主要債権国会議)と7年間の返済計画について合意し、さらに、石油会社YPFの株式の51%以上の支配権を接収した件に関してREPSOLへの賠償も終えました。

 もちろん、最も複雑な問題は2001年以降デフォルトになった債務の債権者数千人(810億米ドル相当)との合意でしたが、アルゼンチンはこれにも成功しました。長い交渉を経て、債権者と協議し、信義則を適用した末に、デフォルト債の証券をヘアカット(元本減免)した長期低金利の新国債と任意交換することで合意し、それによリ我が国の支払債務履行が持続可能になりました。債務交換のオファーは2005年と2010年に行われ、債権者の92.4%がオファーを受け入れました。成功の鍵の一つは、こうした取引では慣例ですが、アルゼンチンの法律と発行証券の目論見書の双方で、オファーを受け入れなかった債権者(ホールドアウト)への有利な条件の提示が禁止されているという事実でした。2003年以来、アルゼンチン国民が一丸となって努力した結果、再編された債務全てについて1900億ドル以上の元利支払いを期限通りに、国際金融市場にアクセスすることなく行ってきています。
 国債保有者の7.6%は再編に応じませんでした。有利な判決を取り付けた投資ファンドは、アルゼンチンに対する元々の貸付人ではありません。我が国を相手取って訴訟を起こし巨利を得ることを専らの目的として、デフォルト債を法外な安値で購入した人たちです。たとえば、ポール・シンガーのNMLファンドは2008年にわずか4870万米ドルでデフォルト債を購入しましたが、グリーサ判事の判決によって8億3200万米ドルの支払いを受けることになります。つまり、わずか6年間で1608%の儲けです。

 アルゼンチンは、再編債務の次の支払期日にあたる6月30日に15億ドルを支払うよう命じたニューヨーク地裁のトーマス・グリーサ判事の判決を不服として上告しました。しかし、再編されなかったデフォルト債は全部で150億米ドルに上ると推定されます。アルゼンチンの外貨準備の50%を超える額です。グリーサ判事の判決は、我が国を新たなデフォルトに陥らせるものです。なぜなら、アルゼンチンがこの15億ドルを支払えば、直後に150億ドルの支払いが待っています。さらに悪いことに、アルゼンチンの法律と再編債務に適用される条項(RUFO条項)上、投資ファンドヘ支払えば、他の全ての国債保有者も平等の取り扱いを求めてくるでしょう。その推定コストは1200億米ドル超に上ります。一方、アルゼンチンが投資フアンドヘの支払いをしなければ、グリーサ判事の判決により、再編を受け入れた92.4%の国債保有者への支払いもできなくなります。同判事がニューヨーク銀行および各決済機関に対して支払差止命令を発令したからです。

 つまり、投資ファンドに支払えばデフォルトに陥り、支払わなければ、グリーサ判事の命令によって、2005年と2010年に再編された債務について国債保有者が支払いを受ける権利が脅かされることになるのです。

 この間、投資ファンドでは、全世界が「アルゼンチンは支払いをせず交渉を拒んでいる」と信じるようロビー活動やプロパガンダに数百万ドルを投じてきました。その主張とは裏腹に、まさに2003年以降、債務を減らしながらデフォルトを解消する方法は交渉と支払いを通じてだったのです。アルゼンチンは今でも、平等の原則を尊重する人全てに対して交換の可能性を閉ざしていません。訴訟を専門とする1.6%の国債保有者に有利な米国裁判所の決定は、債権者の92.4%が自主的に受け入れた債務再編を危うくするものです。グリーサ判事の判決の根拠となった法解釈については、フランス、メキシコ、ブラジル、ウルグアイの各政府、決済機関のEuroclearやFintechファンドなど各方面から疑義が出ており、ジョセフ・スティグリッツ、アン・クルーガー、ノリエル・ルビーニ、CELAC、G24、G7、英国議会議員106名も同様の声明を出しています。米国政府やIMFでさえ、同判決が及ぼす世界的影響について懸念を表明しています。

 この判決はアルゼンチンを難しい立場に追い込むだけでなく、将来債務再編を実施しなければならなくなるかもしれない他の全ての国に影響を及ぼします。各国とも国内法上は、支払停止となった場合は、債権者の66%が再編に合意すれば残りの債権者もそれを受け入れなければならないとされています。主権国のデフォルトに関してはそれを司る法的枠組みがないため、本件が先例となり、たとえ債権者の99.9%が再編計画を任意で受け入れたとしても、0.1%の債権者のせいでその計画が全く無効になりかねないのです。

 アルゼンチンの意志ははっきりしています。我が国は、少数の貪欲な投機家グループのせいで過去、現在、そして将来もアルゼンチン国民を苦しめ続けるこの長く困難な紛争の解決に向け、公正でバランスのとれた交渉条件を推進する司法判断を期待します。

アルゼンチン共和国 大統領府
連絡先:Analia Rach Tel.+54(11)4114-9595 Mail:privada@jefatura.gob.ar
外務省 Esmeralda 1212,C.A.B.A.C1007ABR.Republica argentina.
Tel.+54(11)4819-7000 info@cancilleria.gob.ar http://www.mrecic.gov.ar/


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2014年(平成26年)7月1日  火曜日

アルゼンチン政府の公式声明文
「アルゼンチンは支払う」

 アルゼンチン共和国は、目論見書と2005年から2010年にかけて債務交換に任意で応じた国債保有者との有効契約に従って、同国国債について外国法に基づいて8億3200万米ドル相当の元利支払を手続きし、そのうち5億3900万米ドルをアルゼンチン共和国中央銀行のニューヨークメロン銀行(BONY)口座番号15098および口座番号15002へ入金した。アルゼンチンペソの満期分を加えれば、行った支払は10億米ドルを超える。6月23日(月)、支払期日を間近に控えて、アルゼンチン政府はグリーサ判事に判決の執行を猶予し、信義則に基づき平等、公正、かつ合法的な条件で対話が可能なようにしてくれるよう要請した。この要請は再度行われた。6月26日、契約が定めるところにしたがい振り込みを実行した。27日(金)はアルゼンチンの公務員の休日にあたり、支払は期日前の最後の営某日に行わなければならないからである。財源がありながら支払わず国が自発的債務不履行とせざるを得ない状態にすることについては、アルゼンチン法には規定がないが、我が国の公序に反し、国債の目論見書にも明らかに違反する行為である。

 この支払はアルゼンチン共和国が主権国家として下した決断に従って行うものであり、義務を遵守し、債務返済を履行し、債務者の義務履行意志を無視した専断的な裁判所の支払禁止命令にかこつけて「テクニカル・デフォルト」という婉曲な言い回しを使う狡猾な解釈を一切排除しようとする我が国の堅く妥協のない意志を実証している。

 アルゼンチン共和国にとっても他のいずれの主権国家にとっても、支払は「債務証券発行時の目論見書で定められた義務に基づいて資金を預託する権利を行使すること」であり、従って、「主権国家が締結した契約の基本条件を変更する他の司法判断に抵触する意図」ではないのである。

 我が国が確信しているのは、国債保有者の92.4%が受け入れ成功裏に進捗中の任意債務再編計画を全うしなければならないということで、これについては国際機関・団体をはじめ、我が国に対して批判的だった国際紙や専門誌のアナリストや専門家でさえ支持を表明している。この信念の根拠は常識であり、破産手続における慣例的かつ理性的な慣行である。そうした常識と慣行によれば、明白で紛れもない大多数が主張する権利が1%の国債保有者によって奪われ、少数派の態度によって国債保有者の大多数の利益と権利が脅かされ、一丸となって支払義務を履行しようとするアルゼンチン国家と国民の努力が無に帰すようなことはあり得ない。

 アルゼンチン共和国が主権国家として下したこの決断は、米国に対しては同国が自国裁判所の決定について負う国際責任に鑑みた同国行為の結果について、受託機関、関係金融機関、訴訟当事者およびトーマス・グリーサ判事自身に対しては、国際社会の一員、米州機構(第61条)、国際連合(第2条第1項および第4項)、IMF協定(第4条)の加盟国としての我が国の権利を、国際法上の主体としてハーグ国際司法裁判所で、またアルゼンチン共和国の管轄裁判所で正当に主張するために我が国が利用し得るあらゆる司法手続についての警告である。

 目論見書および各契約に基づく義務を正しく履行するため期日通りに支払うことは、「受託行の口座に預託された資金を何者かが処分するとすれば、それは真の所有者(つまり再編を自発的に受け入れた国債保有者)の権利の侵害になると同時に、目論見書で定められた条件の大幅変更となり、ひいては第三者資金の不当処分、合意に基づく権利の阻害、約定義務の不遵守、その他の潜在的不法行為になる」という警告の下に行われている。

 目論見書で司法管轄を米国に移管しているからといって、順守不可能な裁判所の決定を受け入れることにはならない。その決定が米国で上位の制度的規則として有効な主権免責の原則に違反し、「パリパス(債権者平等)」原則について異様で不条理な解釈の仕方をしている場合はなおさらである。裁判所の判決を順守しようと思えば想定義務に違反せざるを得なくなるなどということが、あっていいはずはない。

 債権者へのこの支払を阻害することを目的とする行為はいずれも、主権平等の原則に基づき他国に対する威圧を禁じた国際公法(米国も同項の適用対象)の違反に等しい。同じように馬鹿げた不法行為として、「フリゲート艦リベルタ号」の差し押さえ執行や、様々な法廷地や国で提起された900件の訴訟があるが、これらは少数偵権者グループが行った主権国家に対する異常で邪で強要的なハラスメントである。

 グリーサ判事の投資ファンドびいきと真の意図は、明らかにアルゼンチンをデフォルトに陥らせ、2005年から2010年にかけ長い交渉の末に92.4%の債権者と合意した債務再編計画を反故にするつもりなのである。ホールドアウト(債務再編に応じなかった債権者)にはこの交渉に参加する意図はまるでなかった。そのことは、全ての債権者と公正で平等で合法的な条件で対話できるよう判決の執行猶予を求めたアルゼンチンの請求をすげなく拒否したことでもはっきりしている。

 しかし、グリーサ判事がその目的を達することはない。理由は簡単である。アルゼンチンは、国際的レベルで体系的影響をおよぼす不合理な判決を「テクニカル・デフォルト」として呈示する策略(我が国を世界的高利貸しの前に屈服させる巧妙な手口でしかない)に終止符を打つため、これまで通り義務を果たし、債務を完済し、支払義務を履行するからである。

 アルゼンチン共和国への国際的支援は、フランス、メキシコ、ブラジルといった国がアミカス・キュリエ(法廷助言者)として提供しているほか、多国間貸付機関や、G77や中国など合計133力国の政治主体、南米南部共同市場(MERCOSUR)、南米諸国連合(UNASUR)、さらに、我が国と主権問題で争う英国の議会議員100名以上、外交問題評議会の『フォーリン・アフェアーズ』誌など国際的刊行物、専門紙・誌のアナリスト、様々な思想学派の学者まで、多方面から寄せられている。

 こうした支援が、我が国の主張の論理と正当性、そして米国司法制度によるこの不正で不当な判決がおよぼす体系的悪影響が認識されたことを示しているのは明らかである。

 最後に、アルゼンチン共和国は、全ての債権者について公正かつ平等で合法的な方法で支払債務を履行することを改めて確約する。

アルゼンチン共和国 大統領府
連絡先:Analia Rach Tel.+54(11)4114-9595 Mail:privada@jefatura.gob.ar
外務省 Esmeralda 1212,C.A.B.A.C1007ABR.Republica argentina.
Tel.+54(11)4819-7000 info@cancilleria.gob.ar http://www.mrecic.gov.ar/


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法定公告
アルゼンチン法の下に2005年および2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者の方々へ
 アルゼンチン共和国はアルゼンチン法の下での2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券(「現地債券」)保有者に対して、我国が負った義務を履行して、2005年及び2010年国債交換提案の枠組みに従い発行された「新債券」の利払い期日に正式に支払いを実行したことを通知する。この資金は仲介するクリアリング・ハウスを通じてこれら債券保有者に分配される。これに関して2014年6月27日、ニューヨーク市南区の連邦地方裁判所は、シティバンクからの具申に基づき、「NML Capital,Ltd.及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判に関して出されたパリパス判決はアルゼンチン法の下で債券からの利払い受領を阻止できないことを認めており、したがってアルゼンチン共和国により正式に預託された資金は現地債券保有者によって通常通りに受領されるべきである。

 ついては、2005年及び2010年国債交換提案の下で預託された資金を現地債券保有者に分配しない仲介エージェントはその法的義務ならびに契約義務に反しているほか、2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の権利と利益を損なっている旨をここに通知する。

米国法の下に2005年及び2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者の方々へ
 アルゼンチン共和国は、米国法の下での2005年及び2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者に対して、2005年及び2010年目論見書及び2005年6月2日付信託契約書(2010年4月30日修正)の下で我国が負った義務を履行して、アルゼンチン共和国は、2014年6月27日の法的告示にて通知したとおり、2005年及び2010年国債交換提案の枠組み内で発行された新債券の利息の金額を正式に預託したことを通知する。

 この資金は受託エージェントであるニューヨーク・メロン銀行及び各支払いエージェントと仲介銀行により債券保有者に分配されなければならず、これらエージェントと銀行は、アルゼンチン共和国が正式に預託した資金(この資金は債券保有者が所有するものである)を債券保有者が回収するために、エージェントと銀行の義務を履行するよう、アルゼンチン共和国から既に正式に要求されている。

 2014年6月27日、「NML Capital,Ltd及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判において、グリーサ判事は、アルゼンチン共和国が2014年6月30日に支払期日が到来する利払いに充てるために正式に預託した資金が債券保有者に分配されるのを阻止した。その資金は信託契約及び適用法に基づき、2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の所有に帰するものである。

 アルゼンチン共和国は、債券保有者がアルゼンチン共和国から受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)に預託された金額を払い受ける絶対的かつ無条件な権利を有し、かつその資産は債券保有者の排他的な所有に帰するもので、いかなる第三者もかかる権利を害することはできないことを確認するものである。受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)はいずれの場合においても、かかる資金を管理し、分配する義務を負い、その資金を留保することも、また合法的にアルゼンチン共和国に返還することもできない。

 したがって、受託エージェントが預託された金額を2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者に分配しない(かつ法廷に申請もしない)ことは、信託契約書や適用法の下での義務に反しており、信託契約書のセクション3.1、4.5、4.9及び5.1で定められる2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の権利ならびに利益に反するものである。

 本通知は米国法の下での2005年及び2010年のアルゼンチン国債交換提案に応じた債券保有者に、アルゼンチン共和国が各目論見書及び信託契約書、ならびに適用されるアルゼンチン及び外国の法の枠内において、債券保有者との義務を履行したことを通知し、よって裁判命令又は受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の行為によリ2014年6月30日が支払期日の利息の支払を直接的又は間接的に妨害、阻止、停止したこと、及び/又は2014年6月27日に受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の口座に払い込まれた受託資産につき、責任を一切負わずまた不履行の疑いを否定するものである。


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イングランド及びウェールズの法の下に2005年および2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者の方々へ

 アルゼンチン共和国はイングランド及びウェールズの法の下での2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券(「ユーロ債券」)保有者に対して、我国が負った義務を履行して、2005年と2010年の目論見書ならびに2005年6月2日付の信託契約書(2010年4月30日修正)に基づき、アルゼンチン共和国は、2014年6月27日の法的通知にて知らせた通り、2005年及び2010年国債交換提案の枠内で発行された新債券の利息を支払い期日までに正式に預託したことを通知する。

 これら資金は受託エージェントであるニューヨーク・メロン銀行及び各支払いエージェントと仲介銀行により債券保有者に分配されなければならず、これらエージェントと銀行は、アルゼンチン共和国が正式に預託した資金にの資金は債券保有者が所有するものである)を債券保有者が受領するために、エージェントと銀行め義務を履行するよう、アルゼンチン共和国から既に正式に要求されている。

 2014年6月27日、「NML Capital,Ltd及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判において、グリーサ判事は、アルゼンチン共和国が2014年6月30日に支払期日が到来する利払いに充てるために正式に預託した資金が債券保有者に分配されるのを阻止した。その資金は信託契約及び適用法に基づき、2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の所有に帰するものである。

 アルゼンチン共和国は、債券保有者がアルゼンチン共和国から受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)に預託された金額を払い受ける絶対的かつ無条件な権利を有し、かつその資産は債券保有者の排他的な所有に帰するもので、いかなる第三者もかかる権利を害することはできないことを確認するものである。受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)はいずれの場合においても、かかる資金を管理し、分配する義務を負い、その資金を留保することも、また合法的にアルゼンチン共和国に返還することもできない。

 また、ユーロ債券にはグリーサ判事が担当するニューヨーク南区連邦地方裁判所の裁判権が及ばない。「ユーロ債券保有者団」と呼ばれる債券保有者グループの2014年6月29日付の提出書にある通り、グリーサ判事はパリパス判決を下した際、管轄権を越えており、そのため絶対的に「ユーロ債券」保有者が支払いを受けることを妨げることはできないはずである。第一に、米国の判事は、外国の第三者が外国法に基づき外国の領土内で義務を履行することを妨げるような権限を持たない。第二に、米国の判事はまたイングランドやウェールズの法に基づいて米国を通過せずに行われるユーロでの支払いという債券の払い受けに影響を及ぼす管轄権を持たない。

 事実、2014年6月27日付でニューヨーク南区連邦地方裁判所はシティバンクからの具申に基づき、「NML Capital,Ltd.及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判に関して出されたパリパス判決はアルゼンチン法の下に置かれた債券については裁判権を持たないため払い受けを阻止しない旨決定している。

 加えて、ユーロクリアS.A./N.V.に維持された債券の振替え口座(book entry)は1967年11月10日付の王室調整政令第62号第11条に基づき、無条件で差押えを免れる特権を得ている上に、1999年4月28日付の法律第9条によりその特権は強化されている。これはEUの決済の確定に関する指令を施行するもので、2004年11月19日付の法律第15条ならびにその後の補正法により修正され、ユーロクリアに送金された全ての資金ならびにユーロクリアにある決済口座は実質上全て保護されている。

 したがって、受託エージェントが預託された金額を2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者に分配しない(かつ法廷に申請もしない)ことは、信託契約書や適用法の下での義務に反しており、信託契約書のセクション3.1、4.5、4.9及び5.1などとの関連で2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の権利ならびに利益に反するものである。

 本通知はイングランド及びウェールズの法の下での2005年及び2010年のアルゼンチン国債交換提案に応じた債券保有者に、アルゼンチン共和国が各目論見書及び信託契約書、ならびに適用されるアルゼンチン及び外国の法の枠内において、債券保有者との義務を履行したことを通知し、よって裁判命令又は受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の行為によリ2014年6月30日が支払期日の利息の支払を直接的又は間接的に妨害、阻止、停止したこと、及び/又は2014年6月27日に受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の口座に払い込まれた受託資産につき、責任を一切負わずまた不履行の疑いを否定するものである。


 私はアルゼンチン政府の見解に、全面的に賛意を表明する。

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「集団的自衛権」の行使容認 ~と小川和久の苦しい矛盾について [社会情勢]


 本年2014年は、第一次世界大戦から100年ということもあり、関連書籍が出はじめている。日本人研究者による書籍としては、岩波書店からそのものズバリの「第一次世界大戦」がシリーズ刊行されている。
 その第一巻総論に、このようなことが書かれていた。作家ツヴァイクの引用を元に当時の情勢を記している。曰く「ほとんど半世紀の平和の後で、一九一四年における大衆の大多数はいったい戦争について何を知っていたであろうか。彼らは戦争を知らず、ほとんど戦争のことを考えたこともなかった。戦争は一つの伝説であり、まさしくそれが遠くにあることが、戦争を英雄的でロマンティックなものにした」




 さて15日。安倍晋三がとうとうやらかした。予想できる展開ではあったが、内閣法制局長官の不祥事なども含め、ガッタガタな状況の中、戦後誰もがやらなかった「集団的自衛権」行使-という海外への戦争戦略-を、しようとしている。


今の自衛隊海外派兵は集団的自衛権の行使?語るに落ちる小川和久の論理

 5月16日朝、安倍が集団的自衛権行使を発表した翌日16日、テレ朝のモーニングバードに、小川和久という、湾岸戦争の頃からテレビに出始めた、軍事アナリストとかいう人が出ていた。90年頃、この戦争を機に自衛隊(と言う名の日本軍)を海外に派兵したいという、自民党タカ派の野望が、結局翌々年のPKO法成立につながった。あの頃嬉々として兵器解説をしていた、軍事アナリストなる人物たちは、多くはその動きを後押しする役割を果たした。
 さてそのPKO法に基づく海外派兵、当時から政府が言う「個別的自衛権」を逸脱するものではないか、憲法違反の集団的自衛権行使ではないかとの意見が多かった。

 カンボジアに始まった自衛隊の海外派兵は、今やイラクやスーダンなどへも派兵されている。

 小川は言う。「すでに集団的自衛権の行使は行われているんです。その現実を認めることなんですよ」-「戦争をする国になる」という人民の不安・批判に応えてのものだろう。顔を真っ赤にして、改憲策動を危惧する作家、吉永みち子に躍起になって、無礼な態度で反論する。いわゆる「必死だな」という反応。

うひょう!びっくりしたなあ!語るに落ちるとはこのことだ

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タグ:憲法
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NHK会長とやらが、バカッターみたいなことをやらかした件 [社会情勢]

 「公共放送」であるNHK、その会長御大が、記者会見でやらかしてしまった事件から10日ほど経つ。その後意外なほどの反響に、国会まで出向いて喚問される始末。

 日本軍性奴隷制度(従軍慰安婦)に関する無知をさらけ出した上記記者会見発言など、籾井氏への批判内容は、以下のサイトに詳しい。

法華狼氏
法華狼の日記
「籾井勝人NHK新会長が就任記者会見で、日本軍慰安所制度の固有性を無根拠に否認したとのこと」

Scopedog氏
誰かの妄想・はてな版
恥知らずというか・・・

 個人的にはApeman氏のサイトの簡潔な表現が一番しっくり来る。こんな意見に多弁を要する必要のない社会を、私は望みたい。

Apeman氏
Apes! Not Monkeys! はてな別館
謎主張

 日本軍性奴隷制度に関する論議の到達点と、右翼(というか「ネット右翼」)による「反論」手法は、ある程度のレベルには達しているように思えるが、そのネトウヨの反論レベルにすら到達していないお粗末な意見を(e.g.「日本軍だけが強制連行をしていたんですか?」)まき散らした、此度の籾井氏の発言に、私は既視感を覚えた。

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要はデモも特定秘密保護法の取り締まりの対象ってことです [社会情勢]


 語るに落ちるとはまさにこのこと。皆さん、私たち人民は権力者に相当なめられているってことですよ!

「絶叫デモ、テロと変わらぬ」 石破幹事長、ブログで(朝日新聞デジタル:2013年11月30日)

 自民党の石破茂幹事長は11月29日付の自身のブログで、特定秘密保護法案に反対する市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と批判した。表現の自由に基づく街頭での市民の主張をテロと同一視したことは問題になりそうだ。  石破氏はブログで「議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています」と紹介。「人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはない」とも批判した。石破氏は30日、朝日新聞に「ルールにのっとったデモを介して意見を言うのはかまわないが、大音量という有形の圧力で一般の市民に畏怖(いふ)の念を抱かせるという意味で、本質的にテロ行為と同じだと申し上げた」と話した。(引用終わり)


 えーっと。

 国会前でやっている「デモ」は「テロ」になるんだね。この人の頭の中では。で「テロ」に関する情報ってのは「特別秘密」とやらになるんだっけ。「テロの防止」って項目があるんだもんね。じゃあ「デモ」を取り締まるなど関係する情報ってのは特定秘密法で、管理の対象になるんだな。
 日本軍(自衛隊)のスパイ組織(情報保全隊)が、デモを監視しているという情報がリークされたことがあるんだけれど、これは「特定秘密法」違反で、情報をリークした人はもちろん、受け取った人も多分「漏えいを働き掛けた」なんて容疑で逮捕されそうだ。

 反対派を「テロ」呼ばわりして弾圧し、周辺の人も「特定秘密法」で根絶やしにする。そんな政府の意図が透けて見える発言。

 そんな批判が噴出して、石破は形式上発言を撤回したようだけれど(当該記事を削除していないので「形式上」と表する)、権力を行使できる与党・為政者の実力者がこのような発言をすること、そしてその言葉がどれほど具体性を持つのかについては論を待たない。
一度口を飛び出した言葉は、言った本人がどれほど取りつくろうとも、回収することができないものなのだ。そんなことも知らない御仁が、今政権の中枢にいることの愚かしさ。

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(バレるとドえらいことになる情報を国家が勝手に)特定(して)秘密(にしちゃって、とりあえず何が秘密かもわからないようにしておけば、いざというとき国家-と言うよりその時の為政者の権益が)保護(できるから、それを邪魔する国民がいたら罰しちゃうぞ)法案はヤバい件 [社会情勢]

 国家が情報を隠蔽するために、なにやら今頃「特定秘密法案」というのが国会に上程されたのである。

 この法案の問題点については法律のプロの皆さんに任せるとして

日弁連「秘密保護法に反対(秘密保全法制対策本部)」

秘密の保護より情報の保全と公開こそ急務 日本の知る権利はここが問題だ 「Everyone says I love you !」(宮武嶺弁護士のBlog)

日本共産党ウェブサイト「許すな秘密保護法案 」(この法案で真っ先に弾圧されるとしたらこの政党。非常に網羅的で興味深い内容です)

 この法律を盾に、これから国民監視が進むだろうし、現に公安警察が共産党やら反戦団体やらを監視していることは、すでに彼らの内部文書で明らかになっている。それがいっそう加速すると言うことだ。少なくとも減りはしない。


 さて。

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