SSブログ

米国ハゲタカファンドとのたたかい・・アルゼンチン大統領府が異例の全面広告を朝日新聞に出している件について [社会情勢]

 朝日新聞、東京版に異例の広告が先月から今月にかけ、3回掲載されている。

 広告主はなんと、アルゼンチン大統領府。

 初回は本年2014年6月25日。2回目は7月1日(いずれもカラー。1面のみ全面広告)。そして3回目は7月10日(モノクロ全面広告2面)である。

 検索した限りでは大使館にも、各種のウェブサイトにも内容が掲載されているものがないので、私がとりあえずOCRでデータ化してみた(英字部分は力尽きてデータ化していない。基本的には判決文などの内容なので、広告の画像データを直接読むか、一次資料にあたっていただきたい)。

6月25日朝日新聞首都圏版の広告

140716argentina1.jpg

2014年(平成26年)6月25日  水曜日

アルゼンチンは債務返済を継続したいが、継続させてもらえない

 アルゼンチンとしては、2005年以来やってきたように債務返済を継続していきたいのですが、それが今、トーマス・グリーサ連邦地裁判事の判決と米国最高裁の上告棄却によって阻まれています。

 アルゼンチン共和国の2001年のデフォルト(債務不履行)は世界金融史上最大で、1000億米ドルを優に超えていました。数十年にわたる過重債務と低成長により、我が国の債務はGDPの160%を超え、失業率は25%近くに上り、人口の50%以上が貧困に苦しんでいました。2003年以降、我が国の国際金融関係の正常化を目的とした措置がいくつかとられてきました。債権者との交渉は全て、「返済できるようにするには、アルゼンチンはまず成長によって支払債務履行の財源を創出しなければならない」という同じ根本原則に則って行われました。返済を可能にする成長は、2003年以来アルゼンチンが行った全ての債務交渉に共通する前提です。こうした政策の下に、アルゼンチン経済は10年以上にわたって成長を遂げ、失業率は低下し、債務も減少し続けています。民間セクターに対する外貨建て公的債務は、現在では我が国のGDPの8%を下回るまでになりました。

 2001年にデフォルトになった債務の再編プロセスは依然として続いています。険しい道のりですが、国際通貨基金(IMF)への債務は完済し、投資紛争解決国際センター(ICSID)の最終裁定に関して債権者と合意にこぎ着け、米州開発銀行、世界銀行、アンデス開発公社といった国際機関に対する義務も完全履行し、最近ではパリクラブ(主要債権国会議)と7年間の返済計画について合意し、さらに、石油会社YPFの株式の51%以上の支配権を接収した件に関してREPSOLへの賠償も終えました。

 もちろん、最も複雑な問題は2001年以降デフォルトになった債務の債権者数千人(810億米ドル相当)との合意でしたが、アルゼンチンはこれにも成功しました。長い交渉を経て、債権者と協議し、信義則を適用した末に、デフォルト債の証券をヘアカット(元本減免)した長期低金利の新国債と任意交換することで合意し、それによリ我が国の支払債務履行が持続可能になりました。債務交換のオファーは2005年と2010年に行われ、債権者の92.4%がオファーを受け入れました。成功の鍵の一つは、こうした取引では慣例ですが、アルゼンチンの法律と発行証券の目論見書の双方で、オファーを受け入れなかった債権者(ホールドアウト)への有利な条件の提示が禁止されているという事実でした。2003年以来、アルゼンチン国民が一丸となって努力した結果、再編された債務全てについて1900億ドル以上の元利支払いを期限通りに、国際金融市場にアクセスすることなく行ってきています。
 国債保有者の7.6%は再編に応じませんでした。有利な判決を取り付けた投資ファンドは、アルゼンチンに対する元々の貸付人ではありません。我が国を相手取って訴訟を起こし巨利を得ることを専らの目的として、デフォルト債を法外な安値で購入した人たちです。たとえば、ポール・シンガーのNMLファンドは2008年にわずか4870万米ドルでデフォルト債を購入しましたが、グリーサ判事の判決によって8億3200万米ドルの支払いを受けることになります。つまり、わずか6年間で1608%の儲けです。

 アルゼンチンは、再編債務の次の支払期日にあたる6月30日に15億ドルを支払うよう命じたニューヨーク地裁のトーマス・グリーサ判事の判決を不服として上告しました。しかし、再編されなかったデフォルト債は全部で150億米ドルに上ると推定されます。アルゼンチンの外貨準備の50%を超える額です。グリーサ判事の判決は、我が国を新たなデフォルトに陥らせるものです。なぜなら、アルゼンチンがこの15億ドルを支払えば、直後に150億ドルの支払いが待っています。さらに悪いことに、アルゼンチンの法律と再編債務に適用される条項(RUFO条項)上、投資ファンドヘ支払えば、他の全ての国債保有者も平等の取り扱いを求めてくるでしょう。その推定コストは1200億米ドル超に上ります。一方、アルゼンチンが投資フアンドヘの支払いをしなければ、グリーサ判事の判決により、再編を受け入れた92.4%の国債保有者への支払いもできなくなります。同判事がニューヨーク銀行および各決済機関に対して支払差止命令を発令したからです。

 つまり、投資ファンドに支払えばデフォルトに陥り、支払わなければ、グリーサ判事の命令によって、2005年と2010年に再編された債務について国債保有者が支払いを受ける権利が脅かされることになるのです。

 この間、投資ファンドでは、全世界が「アルゼンチンは支払いをせず交渉を拒んでいる」と信じるようロビー活動やプロパガンダに数百万ドルを投じてきました。その主張とは裏腹に、まさに2003年以降、債務を減らしながらデフォルトを解消する方法は交渉と支払いを通じてだったのです。アルゼンチンは今でも、平等の原則を尊重する人全てに対して交換の可能性を閉ざしていません。訴訟を専門とする1.6%の国債保有者に有利な米国裁判所の決定は、債権者の92.4%が自主的に受け入れた債務再編を危うくするものです。グリーサ判事の判決の根拠となった法解釈については、フランス、メキシコ、ブラジル、ウルグアイの各政府、決済機関のEuroclearやFintechファンドなど各方面から疑義が出ており、ジョセフ・スティグリッツ、アン・クルーガー、ノリエル・ルビーニ、CELAC、G24、G7、英国議会議員106名も同様の声明を出しています。米国政府やIMFでさえ、同判決が及ぼす世界的影響について懸念を表明しています。

 この判決はアルゼンチンを難しい立場に追い込むだけでなく、将来債務再編を実施しなければならなくなるかもしれない他の全ての国に影響を及ぼします。各国とも国内法上は、支払停止となった場合は、債権者の66%が再編に合意すれば残りの債権者もそれを受け入れなければならないとされています。主権国のデフォルトに関してはそれを司る法的枠組みがないため、本件が先例となり、たとえ債権者の99.9%が再編計画を任意で受け入れたとしても、0.1%の債権者のせいでその計画が全く無効になりかねないのです。

 アルゼンチンの意志ははっきりしています。我が国は、少数の貪欲な投機家グループのせいで過去、現在、そして将来もアルゼンチン国民を苦しめ続けるこの長く困難な紛争の解決に向け、公正でバランスのとれた交渉条件を推進する司法判断を期待します。

アルゼンチン共和国 大統領府
連絡先:Analia Rach Tel.+54(11)4114-9595 Mail:privada@jefatura.gob.ar
外務省 Esmeralda 1212,C.A.B.A.C1007ABR.Republica argentina.
Tel.+54(11)4819-7000 info@cancilleria.gob.ar http://www.mrecic.gov.ar/


140716argentina2.jpg

2014年(平成26年)7月1日  火曜日

アルゼンチン政府の公式声明文
「アルゼンチンは支払う」

 アルゼンチン共和国は、目論見書と2005年から2010年にかけて債務交換に任意で応じた国債保有者との有効契約に従って、同国国債について外国法に基づいて8億3200万米ドル相当の元利支払を手続きし、そのうち5億3900万米ドルをアルゼンチン共和国中央銀行のニューヨークメロン銀行(BONY)口座番号15098および口座番号15002へ入金した。アルゼンチンペソの満期分を加えれば、行った支払は10億米ドルを超える。6月23日(月)、支払期日を間近に控えて、アルゼンチン政府はグリーサ判事に判決の執行を猶予し、信義則に基づき平等、公正、かつ合法的な条件で対話が可能なようにしてくれるよう要請した。この要請は再度行われた。6月26日、契約が定めるところにしたがい振り込みを実行した。27日(金)はアルゼンチンの公務員の休日にあたり、支払は期日前の最後の営某日に行わなければならないからである。財源がありながら支払わず国が自発的債務不履行とせざるを得ない状態にすることについては、アルゼンチン法には規定がないが、我が国の公序に反し、国債の目論見書にも明らかに違反する行為である。

 この支払はアルゼンチン共和国が主権国家として下した決断に従って行うものであり、義務を遵守し、債務返済を履行し、債務者の義務履行意志を無視した専断的な裁判所の支払禁止命令にかこつけて「テクニカル・デフォルト」という婉曲な言い回しを使う狡猾な解釈を一切排除しようとする我が国の堅く妥協のない意志を実証している。

 アルゼンチン共和国にとっても他のいずれの主権国家にとっても、支払は「債務証券発行時の目論見書で定められた義務に基づいて資金を預託する権利を行使すること」であり、従って、「主権国家が締結した契約の基本条件を変更する他の司法判断に抵触する意図」ではないのである。

 我が国が確信しているのは、国債保有者の92.4%が受け入れ成功裏に進捗中の任意債務再編計画を全うしなければならないということで、これについては国際機関・団体をはじめ、我が国に対して批判的だった国際紙や専門誌のアナリストや専門家でさえ支持を表明している。この信念の根拠は常識であり、破産手続における慣例的かつ理性的な慣行である。そうした常識と慣行によれば、明白で紛れもない大多数が主張する権利が1%の国債保有者によって奪われ、少数派の態度によって国債保有者の大多数の利益と権利が脅かされ、一丸となって支払義務を履行しようとするアルゼンチン国家と国民の努力が無に帰すようなことはあり得ない。

 アルゼンチン共和国が主権国家として下したこの決断は、米国に対しては同国が自国裁判所の決定について負う国際責任に鑑みた同国行為の結果について、受託機関、関係金融機関、訴訟当事者およびトーマス・グリーサ判事自身に対しては、国際社会の一員、米州機構(第61条)、国際連合(第2条第1項および第4項)、IMF協定(第4条)の加盟国としての我が国の権利を、国際法上の主体としてハーグ国際司法裁判所で、またアルゼンチン共和国の管轄裁判所で正当に主張するために我が国が利用し得るあらゆる司法手続についての警告である。

 目論見書および各契約に基づく義務を正しく履行するため期日通りに支払うことは、「受託行の口座に預託された資金を何者かが処分するとすれば、それは真の所有者(つまり再編を自発的に受け入れた国債保有者)の権利の侵害になると同時に、目論見書で定められた条件の大幅変更となり、ひいては第三者資金の不当処分、合意に基づく権利の阻害、約定義務の不遵守、その他の潜在的不法行為になる」という警告の下に行われている。

 目論見書で司法管轄を米国に移管しているからといって、順守不可能な裁判所の決定を受け入れることにはならない。その決定が米国で上位の制度的規則として有効な主権免責の原則に違反し、「パリパス(債権者平等)」原則について異様で不条理な解釈の仕方をしている場合はなおさらである。裁判所の判決を順守しようと思えば想定義務に違反せざるを得なくなるなどということが、あっていいはずはない。

 債権者へのこの支払を阻害することを目的とする行為はいずれも、主権平等の原則に基づき他国に対する威圧を禁じた国際公法(米国も同項の適用対象)の違反に等しい。同じように馬鹿げた不法行為として、「フリゲート艦リベルタ号」の差し押さえ執行や、様々な法廷地や国で提起された900件の訴訟があるが、これらは少数偵権者グループが行った主権国家に対する異常で邪で強要的なハラスメントである。

 グリーサ判事の投資ファンドびいきと真の意図は、明らかにアルゼンチンをデフォルトに陥らせ、2005年から2010年にかけ長い交渉の末に92.4%の債権者と合意した債務再編計画を反故にするつもりなのである。ホールドアウト(債務再編に応じなかった債権者)にはこの交渉に参加する意図はまるでなかった。そのことは、全ての債権者と公正で平等で合法的な条件で対話できるよう判決の執行猶予を求めたアルゼンチンの請求をすげなく拒否したことでもはっきりしている。

 しかし、グリーサ判事がその目的を達することはない。理由は簡単である。アルゼンチンは、国際的レベルで体系的影響をおよぼす不合理な判決を「テクニカル・デフォルト」として呈示する策略(我が国を世界的高利貸しの前に屈服させる巧妙な手口でしかない)に終止符を打つため、これまで通り義務を果たし、債務を完済し、支払義務を履行するからである。

 アルゼンチン共和国への国際的支援は、フランス、メキシコ、ブラジルといった国がアミカス・キュリエ(法廷助言者)として提供しているほか、多国間貸付機関や、G77や中国など合計133力国の政治主体、南米南部共同市場(MERCOSUR)、南米諸国連合(UNASUR)、さらに、我が国と主権問題で争う英国の議会議員100名以上、外交問題評議会の『フォーリン・アフェアーズ』誌など国際的刊行物、専門紙・誌のアナリスト、様々な思想学派の学者まで、多方面から寄せられている。

 こうした支援が、我が国の主張の論理と正当性、そして米国司法制度によるこの不正で不当な判決がおよぼす体系的悪影響が認識されたことを示しているのは明らかである。

 最後に、アルゼンチン共和国は、全ての債権者について公正かつ平等で合法的な方法で支払債務を履行することを改めて確約する。

アルゼンチン共和国 大統領府
連絡先:Analia Rach Tel.+54(11)4114-9595 Mail:privada@jefatura.gob.ar
外務省 Esmeralda 1212,C.A.B.A.C1007ABR.Republica argentina.
Tel.+54(11)4819-7000 info@cancilleria.gob.ar http://www.mrecic.gov.ar/


140716argentina3.jpg

法定公告
アルゼンチン法の下に2005年および2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者の方々へ
 アルゼンチン共和国はアルゼンチン法の下での2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券(「現地債券」)保有者に対して、我国が負った義務を履行して、2005年及び2010年国債交換提案の枠組みに従い発行された「新債券」の利払い期日に正式に支払いを実行したことを通知する。この資金は仲介するクリアリング・ハウスを通じてこれら債券保有者に分配される。これに関して2014年6月27日、ニューヨーク市南区の連邦地方裁判所は、シティバンクからの具申に基づき、「NML Capital,Ltd.及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判に関して出されたパリパス判決はアルゼンチン法の下で債券からの利払い受領を阻止できないことを認めており、したがってアルゼンチン共和国により正式に預託された資金は現地債券保有者によって通常通りに受領されるべきである。

 ついては、2005年及び2010年国債交換提案の下で預託された資金を現地債券保有者に分配しない仲介エージェントはその法的義務ならびに契約義務に反しているほか、2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の権利と利益を損なっている旨をここに通知する。

米国法の下に2005年及び2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者の方々へ
 アルゼンチン共和国は、米国法の下での2005年及び2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者に対して、2005年及び2010年目論見書及び2005年6月2日付信託契約書(2010年4月30日修正)の下で我国が負った義務を履行して、アルゼンチン共和国は、2014年6月27日の法的告示にて通知したとおり、2005年及び2010年国債交換提案の枠組み内で発行された新債券の利息の金額を正式に預託したことを通知する。

 この資金は受託エージェントであるニューヨーク・メロン銀行及び各支払いエージェントと仲介銀行により債券保有者に分配されなければならず、これらエージェントと銀行は、アルゼンチン共和国が正式に預託した資金(この資金は債券保有者が所有するものである)を債券保有者が回収するために、エージェントと銀行の義務を履行するよう、アルゼンチン共和国から既に正式に要求されている。

 2014年6月27日、「NML Capital,Ltd及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判において、グリーサ判事は、アルゼンチン共和国が2014年6月30日に支払期日が到来する利払いに充てるために正式に預託した資金が債券保有者に分配されるのを阻止した。その資金は信託契約及び適用法に基づき、2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の所有に帰するものである。

 アルゼンチン共和国は、債券保有者がアルゼンチン共和国から受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)に預託された金額を払い受ける絶対的かつ無条件な権利を有し、かつその資産は債券保有者の排他的な所有に帰するもので、いかなる第三者もかかる権利を害することはできないことを確認するものである。受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)はいずれの場合においても、かかる資金を管理し、分配する義務を負い、その資金を留保することも、また合法的にアルゼンチン共和国に返還することもできない。

 したがって、受託エージェントが預託された金額を2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者に分配しない(かつ法廷に申請もしない)ことは、信託契約書や適用法の下での義務に反しており、信託契約書のセクション3.1、4.5、4.9及び5.1で定められる2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の権利ならびに利益に反するものである。

 本通知は米国法の下での2005年及び2010年のアルゼンチン国債交換提案に応じた債券保有者に、アルゼンチン共和国が各目論見書及び信託契約書、ならびに適用されるアルゼンチン及び外国の法の枠内において、債券保有者との義務を履行したことを通知し、よって裁判命令又は受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の行為によリ2014年6月30日が支払期日の利息の支払を直接的又は間接的に妨害、阻止、停止したこと、及び/又は2014年6月27日に受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の口座に払い込まれた受託資産につき、責任を一切負わずまた不履行の疑いを否定するものである。


140716argentina4.jpg

イングランド及びウェールズの法の下に2005年および2010年国債交換提案に応じたアルゼンチン債券保有者の方々へ

 アルゼンチン共和国はイングランド及びウェールズの法の下での2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券(「ユーロ債券」)保有者に対して、我国が負った義務を履行して、2005年と2010年の目論見書ならびに2005年6月2日付の信託契約書(2010年4月30日修正)に基づき、アルゼンチン共和国は、2014年6月27日の法的通知にて知らせた通り、2005年及び2010年国債交換提案の枠内で発行された新債券の利息を支払い期日までに正式に預託したことを通知する。

 これら資金は受託エージェントであるニューヨーク・メロン銀行及び各支払いエージェントと仲介銀行により債券保有者に分配されなければならず、これらエージェントと銀行は、アルゼンチン共和国が正式に預託した資金にの資金は債券保有者が所有するものである)を債券保有者が受領するために、エージェントと銀行め義務を履行するよう、アルゼンチン共和国から既に正式に要求されている。

 2014年6月27日、「NML Capital,Ltd及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判において、グリーサ判事は、アルゼンチン共和国が2014年6月30日に支払期日が到来する利払いに充てるために正式に預託した資金が債券保有者に分配されるのを阻止した。その資金は信託契約及び適用法に基づき、2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の所有に帰するものである。

 アルゼンチン共和国は、債券保有者がアルゼンチン共和国から受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)に預託された金額を払い受ける絶対的かつ無条件な権利を有し、かつその資産は債券保有者の排他的な所有に帰するもので、いかなる第三者もかかる権利を害することはできないことを確認するものである。受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)はいずれの場合においても、かかる資金を管理し、分配する義務を負い、その資金を留保することも、また合法的にアルゼンチン共和国に返還することもできない。

 また、ユーロ債券にはグリーサ判事が担当するニューヨーク南区連邦地方裁判所の裁判権が及ばない。「ユーロ債券保有者団」と呼ばれる債券保有者グループの2014年6月29日付の提出書にある通り、グリーサ判事はパリパス判決を下した際、管轄権を越えており、そのため絶対的に「ユーロ債券」保有者が支払いを受けることを妨げることはできないはずである。第一に、米国の判事は、外国の第三者が外国法に基づき外国の領土内で義務を履行することを妨げるような権限を持たない。第二に、米国の判事はまたイングランドやウェールズの法に基づいて米国を通過せずに行われるユーロでの支払いという債券の払い受けに影響を及ぼす管轄権を持たない。

 事実、2014年6月27日付でニューヨーク南区連邦地方裁判所はシティバンクからの具申に基づき、「NML Capital,Ltd.及びその他対アルゼンチン共和国」の裁判に関して出されたパリパス判決はアルゼンチン法の下に置かれた債券については裁判権を持たないため払い受けを阻止しない旨決定している。

 加えて、ユーロクリアS.A./N.V.に維持された債券の振替え口座(book entry)は1967年11月10日付の王室調整政令第62号第11条に基づき、無条件で差押えを免れる特権を得ている上に、1999年4月28日付の法律第9条によりその特権は強化されている。これはEUの決済の確定に関する指令を施行するもので、2004年11月19日付の法律第15条ならびにその後の補正法により修正され、ユーロクリアに送金された全ての資金ならびにユーロクリアにある決済口座は実質上全て保護されている。

 したがって、受託エージェントが預託された金額を2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者に分配しない(かつ法廷に申請もしない)ことは、信託契約書や適用法の下での義務に反しており、信託契約書のセクション3.1、4.5、4.9及び5.1などとの関連で2005年及び2010年国債交換提案に応じた債券保有者の権利ならびに利益に反するものである。

 本通知はイングランド及びウェールズの法の下での2005年及び2010年のアルゼンチン国債交換提案に応じた債券保有者に、アルゼンチン共和国が各目論見書及び信託契約書、ならびに適用されるアルゼンチン及び外国の法の枠内において、債券保有者との義務を履行したことを通知し、よって裁判命令又は受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の行為によリ2014年6月30日が支払期日の利息の支払を直接的又は間接的に妨害、阻止、停止したこと、及び/又は2014年6月27日に受託エージェント(ニューヨーク・メロン銀行)の口座に払い込まれた受託資産につき、責任を一切負わずまた不履行の疑いを否定するものである。


 私はアルゼンチン政府の見解に、全面的に賛意を表明する。


 そもそも2001年のデフォルトは、キルシネル政権以前の新自由主義政策によってもたらされたものであり、今回裁判で「勝訴」したハゲタカ資本も一定の責任を負うべきものと私は考える。

・・・・・

 さて、アルゼンチンの「テクニカル・デフォルト」危機について、対岸の火事視できない状況が日本にもある。

 それはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関わる「ISD条項」といわれるものだ。
 これは私のよりも、専門家の解説にゆだねたい。

弁護士川口創のブログ

 つまり、今回のアルゼンチン問題は、「米国の」ハゲタカファンドが、デフォルトしたアルゼンチン国債をめちゃくちゃ安価に買い付け-そのほとんどを国際交渉によって債務を減額したにも関わらず-債務減額は認めないと「米国で」裁判を起こしたことに始まる。
 そして「米国」の裁判所がハゲタカファンドに有利な判決を下した。国際的な交渉によって、ほとんど全ての債権が減額され、そして返済が進められているというのに。

 ここに私はTPPでのISD条項が、どのように適用されるのか、TPP参加国の未来を見る。 米国は全く影響ないだろう。彼らは国際司法裁判所の判決でさえ、平気で無視してしまうことができる国だから。
 影響が出るのは、日本やその他の国-いやむしろ経済力の小さい国はなおさら-だろう。私はここに日本の未来を見る。



 最後に「ハゲタカ」という呼称を蔑称として扱ったことについて、鳥類のハゲタカに他意はない。
nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。