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看護学術大会 [医療情報技師というお仕事]

 電子カルテに限らず、病院情報システムのキーパーソンとなりうる職員集団は、看護師だと思う。さて、なぜでしょうか。

答:数が多いから

 やっぱりユーザー層が大きい集団は、使用する頻度も高いし、声も大きくなる。そして何より、「7:1看護」のせいで世の中、空前の看護師不足。職員比率は今でも相当高いのに、それでも病院管理者は口を開けば「看護師不足」。ますます看護師の声は大きくなる。

 電子カルテ導入で実際に業務ストレスが上昇するのは医師なのだけれど、医師とは別のサブシステム-看護情報システム-を使用する看護師への対応も、電子カルテを活用する際には重要になる。
 で、医者の場合は(医者にもよるが)基本的な操作系を教えると、後は運用細則に従いつつ時に破りつつ、自分で操作を覚えていく。看護師の場合もそれは同じだが、職員数が多いものだから-そして使わなくても何とか仕事はできるものだから-中には基本操作しかできない、そもそも情報システムに怖がって触れない人も結構いる。

 こんな言い方は誤解を招くかも知れないが、妙な使い方をされて処理系がうまく機能しないのも困りものだが(本来、そのような使い方をされても問題ないように設計するべきだが、実際はあちこちに穴が空いていたりする)、些細なことで何でも質問されたり、小さなエラーを修正できずに、頻回にシステム担当者がフォローしなければならない状況というのも、結構ストレスがたまるものである。

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電子カルテのパフォーマンスアップ [医療情報技師というお仕事]

 先月に更新した電子カルテは、現場から大変評判が悪い。

 機能面ではずいぶん向上したように思うのだが、あまりにタイトな導入スケジュールだったために、既存業務の継続を主眼として導入計画を構築したから、現場には機能向上が見えない。だから今までとの違いをことさらに鮮明にしてしまう・・これはやむを得ないんだが。新機能を使っている部門では、おおむね良い評価をしてもらっているのだが。

 評判が悪いのは、処理速度が落ちたからだ。今まで数秒で表示された機能が、更新後は約60秒もかかる。ある程度予想されていたことだけれど、予想を超えたレベルに現場はフラストレーションを抱えていた。
 私はといえば、「必ず何とかする。4月の半ばまでに目処をつける」と宣言して、何とかそれまでに対応するよう調整してみた。・・別にそんなことを言う責任はないんだけれど。

 ま、実はこんなことを公言できたのは、サーバーのパフォーマンスチェックをして、おおよその原因を確定させていたからだ。原因確定できれば、対策はいくつか出せる。その対策が現実的だったからということだ。

 その対策、ネックになっていたのは、ベンダが作業しなければ解決できず、そのベンダがなかなか来院してくれないことにあった(いろいろ契約やらソフトの管理やらで、私たちが勝手にやっては問題が発生したときの責任が曖昧になるからだ)。

 ようやくベンダが今日対応した内容は
・問題となっている処理のSQLを最適化した
・・これによる処理速度の改善は25%程度だった
・データベースへのメモリ割当てを増加させた
・・処理速度はさらに25%改善した

 そんなわけで、費用もかけずに処理速度は倍になり、かつ処理内容によっては10倍近くも改善した場合もあった。原因が予想していたとおりであり、かつその対策によって改善が実感できるほどの結果が得られたというのは、実にうれしいことだ。この忙しい中、システムテストを行ったり、解析内容をもってベンダをせっついて対策させたかいがあった。

 あとは現場からの評価を聞き、最終的な判断をするまでだ。といってもこれ以上のパフォーマンスアップは、サーバーのスケールアップを行うより他ないのだが。

 こうして対策が成功すると、自身のレベルがそれなりに上がっていることを実感する。やっぱりシステム管理についての勉強を不断に進めていることが、座学なのに、意外にも効果を上げているってことなんだろうか。

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電子カルテを更新した [医療情報技師というお仕事]

 病院の電子カルテを更新して、半月が過ぎた。同じ会社の電カルだが、操作感覚が大幅に変わり、実質新規ソフトを導入するのと同じような内容だった。まだデータコンバートなど十分な検証ができておらず、パフォーマンスにも一部問題があるけれど、とりあえず導入当初の混乱はなんとか解消できたのではないかと思う。現場の職員には本当に頑張ってもらえた。ベンダも-一部問題はあったけれど-誠実に対応してくれた。

 正直、疲れた・・。

 ベンダがこの話を持ってきて、一方的にカットオーバーを設定してきたのが、ほんの数カ月前。実はシステム更新の話題が出たのはもう数年も前で、ベンダに新システムのマニュアルや仕様を伝えるよう要請していたのが、なぜか彼らがそれを出さずにここまで来てしまったというのが前段階にあった。こんな会社って他にあるのか?無責任極まりないと思う。

まあ、それでも・・(続き)


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社会に知識を還元するということ-医療情報学会連合大会にて [医療情報技師というお仕事]

 神戸で行われた表記の大会にまた参加。私はいろいろと思うところあって、電子カルテの導入や運用、分析にかかわるもの、そしてプロマネに関するセッションを中心に出席した。


ポートピアホテルそばのこんなところで開催
 導入前のプロジェクト進行方法、導入時の対応、そして神戸市民病院の宮原先生の関係からかプロジェクトマネジメントに関するセッションがいくつかあって、そうしたセミナーにはあまり参加する機会がないから、ちょっと得をした気分になる。

 徳島大学の電カル導入「ヘルプデスク」の充実した対応、導入一カ月で患者減を元に戻した大阪市立大学、裁判資料として見た電子カルテの機能と問題を指摘した都立府中病院、100件以上の病院に対して調査を行った近大姫路の研究結果など印象深い。
 ある程度うまくいっている病院は、やはりそれなりの人数を配置し、スタッフの力量もそれをマネジメントする人の能力も高いのだろう。やはり事前の組織づくりと能力を磨くことが重要であると再認識する。

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使えない電子カルテと、あるベンダのこと [医療情報技師というお仕事]

 電子カルテは紙のカルテやオーダリングのみのシステムとは違って、一般的には導入後、今までの業務からの変更を求められる。それをやらずに、同じ業務システムのままで電子カルテを運用しようとすると、紙で運用していた業務システムを電子カルテに置き換える作業が必要になるから、普通はその分手数が増える。
 コンピュータシステム導入が生産性の向上に寄与したとする研究が3年ばかり前に邦訳されて話題になったけれど(Brynjolfsson:Computers,Productivity and the Digital Organization:インタンジブルアセット)、そこではシステム導入により生産性を向上させた企業とは、そのシステムを活用できる企業風土(デジタル組織)を持っている、とか何とか書いていたと思う。要はシステム導入して生産性の向上を図るならば、組織の変革を進めなければならない、ということなのだ。

 だから業務を極力変更せずにシステムを改変したところはうまくいっていない、というか以前より生産性を低下させてしまう(このエントリ最後にコメント)し、逆にシステムに業務を合わせたところは-私たちの関連病院もそうだが-きちんとした職員間の合意ができていないと、それが実施できずに破綻してしまう。

 つまりは病院組織に、そのシステムを導入するべき思想や人材、そして評価システムがきちんと備わっているかが重要になると思うのだが、中小病院ではそうなっていないケースも多い-といっても中小病院で電カルを導入しているところはほとんどないのだが-みたいだ。

 「みたいだ」というのは最近、医療系コンサルタント会社と懇談する機会があったからだ。そこがコンサルトしている病院は、200床弱くらいのケアミックス病院で、安価なあるベンダの電子カルテを導入するという。導入候補として上がっているベンダの電カルは稼働させている病院が少なく、そのベンダから紹介された「モデル病院」は当然いい話しかしてくれない。たまたま私の知り合いが、このコンサルに我々の病院についての情報を話したようだ。それで私のところに連絡がきた。

 なんと言うことだろう。私たちの病院と同じシステムを導入しようという病院があるのだ。しかも私たちの病院の近所に、私たちと似たような体制で。

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マイクロソフトが医療分野に進出して効率化できるのか? [医療情報技師というお仕事]

 かようなメールが届いた。私は日経を読んでいないのだが、こんな記事が出たらしい。医療情報学会のトップページにも抗議が掲載されている。
-----
(医療情報学会の会長名にて)
>7月11日付け日本経済新聞朝刊一面に、「マイクロソフト社が中心となり医療情報
>システムに関する標準化を推進すること、これにより医療情報システムの導入費用が
>最大5割引き下げられること」などが報道されました。また同日にプレスリリースも
>発表されています。
>
>記事およびプレスリリースには医療情報学会をはじめとする関係機関のこれまでの標
>準化等への努力を無視するとも解される表現があり、また曖昧で医療機関等に誤解を
>与えかねない表現もあります。
>
>中間法人日本医療情報学会はマイクロソフト社の真意を質す等の対策を検討してまい
>りたいと考えております。
-----
 問題の日経の記事は以下のとおり
 マイクロソフト、医療情報システムの標準化呼び掛け

 そして医療情報学会やHL7協会の抗議を受けてマイクロソフトが出した返答が下記のとおり。
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>日本HL7協会関係者各位
>
> 7月11日付 日経新聞朝刊の記事について、皆様方に多大なご迷惑を
>おかけしたことを深くお詫び申し上げます。
>
> 当該記事にあります、下記内容については、弊社が意図したものではない
>ことを確約させていただきます。
>
>1.日本国内の医療機関向け情報システムの標準化、あるいは医療向けソフト
>をつなぐ基本的ルールを策定
>2.医療情報システムの導入費用を最大5割引き下げることができる
>
> 弊社としましては、日本HL7協会の活動を始め、各種医療情報の標準化活動に
>深く敬意を表すものであり、引き続き協会活動に参加させていただきたく伏して
>お願い申し上げます。

> 今後の対応についても、今回の記事に関する相談窓口を設置するとともに、
>関係各方面への説明等に最大限の努力をしていく所存です。
>
>マイクロソフト株式会社
>執行役 常務 大井川 和彦
>
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 日経の記事から見るに、MSが言うには「今まで誰もやっていなかった。だからみんな困っている。じゃあオレがやってやるよ。どうだ?えらいだろう?だからみんな参加してくれ。しかもこの業界にあった不効率も正せるぜ」ってなものか。当然今まで標準化含めて、人知れずがんばっている人たちはカチンとくるわけだ。

 それ以前にこの報道には疑問点がいくつかある。

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医療情報学会春季大会とやらに [医療情報技師というお仕事]


伊丹空港からのモノレール車窓から望む-傑作機ボンバルディアDASH8とMD87?が見える
 表題の学会に参加してきた。今回は大阪。秋は神戸で行うらしい。私は東京在住だが、この学会はなかなか首都圏で開催してくれないので困る。

 DPCを基にした診療報酬体系がスタートして、そのデータがどのように利用できるのか、どう活用するのかという点が中心だったように思う。関連してデータウェアハウスに関するものや、診療情報管理士との共同セッションもあった。データを医療や経営にどう活用するか、どこでも悩んでいることだろう。

 ・・さて、視点をちょっと皮肉っぽく変えてみる。
 日本の医療界がコンピュータを導入し始めたのは70年代から。はじめはレセプト作成用のコンピュータだった(いわゆる「レセコン」)。そして医療行為の実施や確認を電子化する「オーダーエントリシステム」(「オーダリング」は登録商標らしい)が各地で本格化したのが90年代。電子カルテも普及率5%とはいえ、全国の病院数は約9000施設あるから、だいたい500施設に電子カルテがすでに導入されていることになる。オーダリングは2000病院、レセコンに至ってはほとんど全ての病院が導入しているはず。
 DPCになってデータの活用がこんなにできる。ベンチマークもだせる」みたいな講演もあって実に興奮したけれど、じゃあ今までこれほどまでに電子化された状況の中で、医療統計や経営分析に耐えうる情報を、それらのシステムが十分出し切れていない、そんな病院が(私たちのところも含めて)たくさんあることが改めて明るみに出た、ということになるんだろうか。

 医療統計を出そうにも、病名は医事課がつけた「保険病名」。紙帳票とオーダー情報の混在。それらを扱う専門的なスタッフ(統計処理できる人やコンピュータによる処理ができる人)の欠如。たとえまともな内容でも各社バラバラのデータ構造。比較するにも比較できない前提条件すらガタガタな闇鍋データ・・。


医療業界はもう目いっぱい効率化している
私が参加した目的の一つが、データウェアハウスのシンポジウム。そこで愛媛大学大学院の石原謙先生のプレゼンが異彩を放っていた。つまりこういう事。「日本の医療は本当に効率化が必要なほどに問題山積なのか?」

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ものは考えようということで-エンジニアは何でもできるわけではないけれど [医療情報技師というお仕事]

 一般的な職場では、コンピュータ(の操作)ができると重宝される。私が入社した10年前と比べて、コンピュータの一般への普及もかなり進んだけれど、それでもまだこの流れに変化はない。特に元エンジニアだったなんて経歴があって、目の前で困っている問題をちょいと解決してあげたりもすれば、重宝さの度合いが劇的に高まることこの上ない。

 ただ前のエントリで、これからのシステム部のあり方を発表した際にも取り上げたんだけれど、いわゆるSEとかエンジニアと呼ばれる人たちは、専門分野が分散していて、仕事が細分化されている。だからシロートさんには「あれ?」と思うような単純なことが分からない場合もある。裁判でかかわっている元エンジニアはメインフレームが「メイン」だった方で「パソコンのことは分からなくて苦労した」と言っていた。
 わかりやすく上記の区分を大まかに上げれば、「パソコンを使って行う仕事」と「コンピュータを使う仕事」では内容がだいぶ違う。一般の人は前者、いわゆるエンジニアは後者。
 Dr.きたみりゅうじの“IT業界の勘違い”クリニック 「SEって、ExcelとかWordなんかも詳しいんでしょ?」 「どんなパソコン買えばいい?SEに聞けばイッパツだよね」こんな記事を見てふとそんなことを考えた。

 そうだよなあ、使いもしないExcelの操作について聞かれても、滅多に使わないWordの罫線や表について聞かれても-ちゃんとしたデータベースの制御は別のソフトを使うし、ページレイアウトはそれなりのソフトを使うし-、ましてやIMEの辞書エクスポートはどうやるの?このプロジェクタはどう操作するの?なんて聞かれてもすぐには分からない。意外にエンジニアは自分のまわり以外の技術は知らないものだ。だからシステム系部門のマネジャーは、それらの知識を組織に合わせて適切にマネジメントする能力、そして組織にあわせてスキルを開発する能力が問われる。それができないと「使えないシステム部」ができちゃうんだなあ。

 確かにわからない仕事を請け負うのは無責任だし、本来の仕事がやれないのならなおさらなんだけれど、けれど私はこう考える。

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プロ意識-専門職の作法 [医療情報技師というお仕事]

 私の職場は「何でも屋」だが、私自身は一応専門職として勤務しており、それなりに専門的知識を生かした業務が実に多くある。

 医療業界においては「専門職」とは、独占資格-つまりその人しか行ってはいけないという資格-を指すのであって、各分野にそのような独占業務がある。例えば診療行為は医師の独占業務であり、様々な医療行為の細かな部分にさえ、ある職種はよくても、この職種はダメとかいうのがたくさんある。
 私の「専門」であるところのコンピュータ関連は、そんな独占色はないけれども、実務上きわめて専門性が高いので、それなりの意識が求められる業務ではある。

 そんな中、専門職でやってはいけないことというのが、私の中で2点ある。それは
*「ならおまえがやってみろ」という台詞をいうこと
*専門外の人にウソをつくこと

 前者については、特に医療機関は独占業務が多いから、「ならおまえがやってみろ」というセリフは自身のプロ意識の否定に等しい。だって「やってみろ」と言っても、実務的にも法的にもやれるわけがないのだから(逆に相手がそれをやれちゃったら、自身の存在価値の否定につながる)。
 上記の発言をたとえると、店員にからむ「客」をイメージするとよい。つまり相手が何も言えないのをいいことに、優越感丸出しで、ここぞとばかりに威張り散らす人と同じ思考様式。私はどんな無理難題を押しつけられても、シロートさんにこんなことは言わない。

 さて、後者については、最近こんなことがあった。

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電子カルテはなぜ使えないのか [医療情報技師というお仕事]

 私が勤務している病院は、年に一度院内で職員による研究発表が行われる。職種間交流をふまえたもので、演題は各職場から集まり、職員数の割には盛況だった。
 別にこんな発表したからと言って査定に響くわけじゃなし-そもそも給与査定がない-そんな中で医療活動に関する発表に多くの職員が取組んだのは、医療関係者の専門性というか献身性のなせるわざと言おうか、この医療人の姿勢が、日本医療界が低予算にもかかわらず効率よい医療を提供している源泉となっていることを、改めて感じるものだ。

 去年は、ほとんど全員がスピーチ型の発表を行ったが、今年は病院全体でプレゼンソフトを使用した発表に取組もうと言うことになった。私が簡単な講習会で操作の概要を説明しただけで、それなりのスライドを作成できてしまうのは、やはり若い職員が多いからだろうか。・・もちろん課題はたくさん残っているけれども。

 私はというと、この間の電子システムに係わる組織作りを提起した。内容はこんな感じだ。

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