失われた30年 ~30年ばかり前のこととこれからのこと~ [社会情勢]
あの頃、レンタルビデオ店がやたら繁盛した。何せ同じ番組ばかりやっている。テレビ東京が相変わらずで、それが救いだった、のかな?当時北海道にはテレ東の番組を放送する局はなかったので(今はある。1989年にできた)。
お笑い番組がなくなった。
なぜかCMの言葉が削除された。「皆さんお元気ですか」の一言だったのだが。
天皇制の批判がしにくくなった。
あの頃は、裕仁(いわゆる昭和天皇)が病気になり、「自粛」なるキーワードがバズっていた。何かを祝ったり、笑ったり、喜んだり、そんな感情を大っぴらにすることがためらわれるような風潮があった・・というのはマスコミでの話しで、そんなことはどこ吹く風という人もたくさんいて、当時から共和主義者だった私もその一人だった。レンタルビデオが繁盛したのも、そんな庶民の本音であろう。
この30年、安価なDVDやネット配信に押されて、多くの店が潰れ、大手も苦しい「レンタルビデオ」。当時は小さな町にも必ずと言っていいほどあった。あの頃セル版のビデオは1万円を超えるのがザラだったから。
高校卒業時の文集に、その時勢を揶揄した私の一言は、周りをざわつかせもした。
裕仁はいうまでもなくアジア太平洋戦争時、最高権力者として君臨しており、敗戦の色濃い時期、近衛文麿の進言を拒否して戦争を継続する意思を見せ、結果沖縄はじめ多数の人々が犠牲になったことは、当時からそれなりに有名な事項であった。自身の戦争責任を「言葉のアヤ」として語らなかったことも。責任逃れともとれる発言を、いくつもしていたように記憶する。ならばこそ、息子の明仁氏の姿勢が左派からも評価されるのは、そこにあるのかなとも思う。
そんなあからさまな人に対して戦争責任を追及するのは道理とは思うが、裕仁に対してさえ、死んだのだから死者にむち打つようなことは止めよ、と言うようなことを書き散らしている文筆家や評論家の類いは、そこそこいた。そのうちの一人に厳しい批判を書いたら、後の彼のコラムが荒れた記憶がある。
今「崩御」「崩御」とかまびすしいが、この言葉自身にも当時は否定的な意見が多く、現人神ではないのだから「逝去」が妥当という指摘もあるなか、沖縄タイムスと琉球新報は「逝去」を使ったと記憶している。
振り返って今年5月、天皇が代替わりした。それに伴って「元号」とかいうものも変わったようだ。
私はめったに使わないのであまり気にしない。しかし世間ではそうもいかないので、新元号対応で電子カルテシステムのアップデート作業に連休中出勤することになり(そう、まだ請われて前の職場で仕事をすることがある。ワイズマン社の電子カルテは元号が基本なのだ)、迷惑きわまりないことだが、便乗セールがあちこちで行われているので、それはそれで利用価値はある。
相変わらずテレビは天皇ニュース一色で、しかも今回は老齢による引退ということもあり、お祭りムードでテレビがはしゃぎまくっている。今に至るまで、バラエティ化したニュース番組は、連日かなりの時間を割いて、天皇関係の内容を延々と放送している。
正直うんざりする。
そう言えば当時、改元発表は意図されたものではなかったが、やたらと懐古的ニュースに取り上げられ、逆にそれがパフォーマンスになった。
そのパフォーマンスに乗って、あの冷酷な官房長官とやらが、これまたはしゃいでいるらしい。
堕落の表れだ。
この30年で何が良くなったのだろう。格差が広がり、未来に希望が持てず、教育を受ければ受けるほど格差が広がっていく先進国で唯一の国になった。
あの頃の日本は物価が相対的に高く、それ故に住みにくい国とされていたように思うが、30年間の停滞が、すっかり他の先進国に、日本は物価が安い、特に外食が安い国と称されるようになっていた。
連休中に読んだいくつかの本を振り返って、実際に高等教育を受ける子どもを持つ親としてその出費に頭を悩ませつつ、暗澹たる気持ちでそう思うのであった。
「名前のない女たち」などで結構有名な著者。ただ介護業界をいささか批判的に見過ぎな面はある。確かに介護業界は「やりがい搾取」的な側面はあるが・・。
貧困当事者の本。彼女は類いまれな向上心で、ここまで来た。凄まじい経験に衝撃を覚える。
斎藤貴男氏の好著。失われた30年で何が起こったか、それは今原発反対派の寵児?となっている小泉純一郎よりさらにさかのぼる、国家の失政であったことが分かる。
お笑い番組がなくなった。
なぜかCMの言葉が削除された。「皆さんお元気ですか」の一言だったのだが。
天皇制の批判がしにくくなった。
あの頃は、裕仁(いわゆる昭和天皇)が病気になり、「自粛」なるキーワードがバズっていた。何かを祝ったり、笑ったり、喜んだり、そんな感情を大っぴらにすることがためらわれるような風潮があった・・というのはマスコミでの話しで、そんなことはどこ吹く風という人もたくさんいて、当時から共和主義者だった私もその一人だった。レンタルビデオが繁盛したのも、そんな庶民の本音であろう。
この30年、安価なDVDやネット配信に押されて、多くの店が潰れ、大手も苦しい「レンタルビデオ」。当時は小さな町にも必ずと言っていいほどあった。あの頃セル版のビデオは1万円を超えるのがザラだったから。
高校卒業時の文集に、その時勢を揶揄した私の一言は、周りをざわつかせもした。
裕仁はいうまでもなくアジア太平洋戦争時、最高権力者として君臨しており、敗戦の色濃い時期、近衛文麿の進言を拒否して戦争を継続する意思を見せ、結果沖縄はじめ多数の人々が犠牲になったことは、当時からそれなりに有名な事項であった。自身の戦争責任を「言葉のアヤ」として語らなかったことも。責任逃れともとれる発言を、いくつもしていたように記憶する。ならばこそ、息子の明仁氏の姿勢が左派からも評価されるのは、そこにあるのかなとも思う。
そんなあからさまな人に対して戦争責任を追及するのは道理とは思うが、裕仁に対してさえ、死んだのだから死者にむち打つようなことは止めよ、と言うようなことを書き散らしている文筆家や評論家の類いは、そこそこいた。そのうちの一人に厳しい批判を書いたら、後の彼のコラムが荒れた記憶がある。
今「崩御」「崩御」とかまびすしいが、この言葉自身にも当時は否定的な意見が多く、現人神ではないのだから「逝去」が妥当という指摘もあるなか、沖縄タイムスと琉球新報は「逝去」を使ったと記憶している。
振り返って今年5月、天皇が代替わりした。それに伴って「元号」とかいうものも変わったようだ。
私はめったに使わないのであまり気にしない。しかし世間ではそうもいかないので、新元号対応で電子カルテシステムのアップデート作業に連休中出勤することになり(そう、まだ請われて前の職場で仕事をすることがある。ワイズマン社の電子カルテは元号が基本なのだ)、迷惑きわまりないことだが、便乗セールがあちこちで行われているので、それはそれで利用価値はある。
相変わらずテレビは天皇ニュース一色で、しかも今回は老齢による引退ということもあり、お祭りムードでテレビがはしゃぎまくっている。今に至るまで、バラエティ化したニュース番組は、連日かなりの時間を割いて、天皇関係の内容を延々と放送している。
正直うんざりする。
そう言えば当時、改元発表は意図されたものではなかったが、やたらと懐古的ニュースに取り上げられ、逆にそれがパフォーマンスになった。
そのパフォーマンスに乗って、あの冷酷な官房長官とやらが、これまたはしゃいでいるらしい。
堕落の表れだ。
この30年で何が良くなったのだろう。格差が広がり、未来に希望が持てず、教育を受ければ受けるほど格差が広がっていく先進国で唯一の国になった。
あの頃の日本は物価が相対的に高く、それ故に住みにくい国とされていたように思うが、30年間の停滞が、すっかり他の先進国に、日本は物価が安い、特に外食が安い国と称されるようになっていた。
連休中に読んだいくつかの本を振り返って、実際に高等教育を受ける子どもを持つ親としてその出費に頭を悩ませつつ、暗澹たる気持ちでそう思うのであった。
「名前のない女たち」などで結構有名な著者。ただ介護業界をいささか批判的に見過ぎな面はある。確かに介護業界は「やりがい搾取」的な側面はあるが・・。
貧困当事者の本。彼女は類いまれな向上心で、ここまで来た。凄まじい経験に衝撃を覚える。
斎藤貴男氏の好著。失われた30年で何が起こったか、それは今原発反対派の寵児?となっている小泉純一郎よりさらにさかのぼる、国家の失政であったことが分かる。
2019-05-06 20:53
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コメント(4)
お久し振りです。
新元号だ、新天皇だの大騒ぎ。
腹立たしい思いの大型連休でした。
一部の人だけがこの連休を有難がって、私なんか全然関係ないです。
憲法違反の退位で次期天皇夫婦の能力も危ぶまれての即位。
14万人も祝賀に訪れる何も 知らない、騙されているバカ国民。
正直ウンザリです!!!!
by ponnta1351 (2019-05-07 12:48)
この30年間は、一部の富裕層に一層の富を与え、富を作った
汗し出した圧倒的な人々を一層貧しくした時代だった。
そして、国民の声を無視し思いのままの売国的な政治を許してしまった
時代だった。沖縄の声を、福島原発事故からの声を無視し続けることを
許した時代だったと思います。こんな時代・政権はいらないですね。
by えんや (2019-05-07 18:52)
ponntaさん、ご無沙汰です。
仕事をする側からすると、いっせいに休みになることは、悪いことも多く出てきます。各々が休みを取れる社会が理想的ですね。
天皇の退位は憲法にそもそも規定はないですが、能力を発揮されても困るのが天皇という存在。私は70年前に廃止すべきであったと思っています。
by Mosel (2019-05-08 06:13)
えんやさん。コメントありがとうございます。
中世からのスパンで、今は良い社会になったという本もありますが、実際のところいわゆる「冷戦崩壊」以降は、格差が進み、こと日本においては、未来を見通すことが出来ない世の中になりました。沖縄の、福島の、その声を無視する政治になっていることは直視すべきと思います。
by Mosel (2019-05-08 06:18)