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「語るに落ちる」という言葉のチョー具体的な実例~東京都と神奈川県の残念な教育委員会の件 [社会情勢]

 なんかもう、どうなっちゃってるんだろう、と言うようなニュースを、ちょっと視点を変えて評価してみます。
*これらニュース記事ってすぐリンク切れするので、ほとんど引用してしまいますがご容赦のほど

神奈川県教委も教科書選び介入 実教出版使用、再考促す(朝日新聞:2013年7月28日)

 神奈川県教育委員会が、実教出版(東京)の日本史教科書の使用を希望した県立高校に対し、「一部記述が県教委の方針と相いれない」と再考を促していたことが分かった。高校教科書は各校が選び、都道府県教委が採択する仕組みで、各校の選定に介入するのは異例だが、東京都教委も6月、同じ記述をめぐって「使用は適切ではない」との見解を示している。

 神奈川県教委によると、24日の校長会の後、実教出版の「高校日本史A」「高校日本史B」を希望する28校の校長を残して再考を促した。国旗掲揚・国歌斉唱に関して「一部の自治体で強制の動きがある」とした記述について、「学習指導要領に基づくもので『強制』は行き過ぎている」と説明。「公開の教育委員会議で不採択になる可能性もあり、学校名が公になって混乱を招く」とも話したという。

 各校は希望する教科書を10日までに県教委に伝えた。23日の教育委員の協議会で委員から「(実教出版の)採択は難しいのでは」との意見が相次ぎ、校長に伝えることになったという。


 ちょうど1ヶ月前、先行して東京都教委も同じことをしている。

都教委、教科書選定に介入 高校日本史記述に「不適切」(朝日新聞:6月28日付)

 東京都教育委員会は27日、実教出版(東京)の高校日本史教科書にある一部の記述が都教委の考えに合わないとして、「使用は適切ではない」とする見解を議決し、都立高に通知した。高校教科書は学校が選んで都道府県教委が採否を決めており、教委が各校の選定に介入するのは異例だ。

 「不適切」とされたのは「高校日本史A」と「高校日本史B」。国旗掲揚、国歌斉唱に関して「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」とした記述について、「国旗国歌の起立斉唱は、児童・生徒の模範となるべき教員の責務であるとする都教委の考え方と異なる」としている。(引用終わり)

強制は悪いことと思っていながら、自分はそれをしている自覚はあるんだね

 ええと、東京都教委と神奈川県教委は、上記の行動から見るに、日の丸君が代の「強制の動き」は「違う」とか「考え方と異なる」としていることから、それらへの「強制」を好ましいことではないと判断していることがわかる。

 で、実教出版の教科書は、「一部の自治体」と表記しているんですね。東京都、とか神奈川県、とかではなく

 でも東京都教委や神奈川県教委は、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との表記に「それは違うだろ」とやっちゃったわけです。「オレたちは強制なんかしてねーぜ。実教の「強制」は言い過ぎだろ」と。
*言葉が乱暴ですが、国会議員に転身したことを後悔しているらしい前都知事のスタイルをまねています。都教委は彼のメンタリティに強い影響を受けていると考えますので

 で、教育委員会が教科書採択に「異例」の「介入」をしちゃったという経過。


 東京や神奈川以外の教委が、特にこのような動きを見せていないというのは、当然自分らはそんなことしていないという意識があるからで、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」とされても、それはよその自治体でしょ?ウチ関係ないから、と判断しているに他ならない。
*これから他の自治体でもこのような動きがあるかもしれないというのが、残念な点ですが

 つまりこれら神奈川県や東京都は、実教出版は自分たちの自治体のことを書いている、と勝手に感じて、勝手に反応してしまった。
 つまり「強制」ととられかねない行動を取っている自覚はある、ということを、問わず語りに自ら表現してしまったのだ。

 でもね、勝手に「強制じゃない!!」とうそぶいても、まわりから見れば「いやいや、それっておまえがやってる自覚があるってことじゃん」となる。
 こうした行為を「語るに落ちる」という。

身内で凝り固まって他者を排除する思考がこんな組織を生む

 こうした残念なメンタリティは、このBlogのちょっと前の記事「疑わしいことばかりする原発推進勢力と自民党と大マスコミのメンタリティ」で取り上げた、マスコミや東電のメンタリティに共通する。
 自分たちの価値観に凝り固まって、ちょっとでも違う意見があろうものならそれこそ「強制的」に排除しようとする。そうすると周りが見えなくなって、時にとっても残念な行動をとってしまう、ということだ。
 それはカルト宗教にも似た残念なメンタリティだ。ただこの教育委員会の行動を、こうして笑ってばかりもいられないのが、連中が「教育」に関わる活動をしている、よりによって教育に関わる組織が、このように強権的な態度をあらわにするという点。
 今首相をしている安倍晋三が、まず真っ先に手をつけたのは教育の分野であることも、あわせて考えたい。


 ちなみに、都教委による日の丸君が代強制は、それなりに司法で断罪されている。

「「君が代不起立による停職・減給は違法」と判断した最高裁判決の重み」B級記者、どん・わんたろうがちょっと吼えてみました

・・・・・

 そういえば私も、以前ある組織の話し合いで意見を言ったとき、「それはキミの意見だよね」と言われたことがある。これも問わず語りに「オレは正しく世間一般の意見を代表している。キミは違うよね」と言っているのと同様なのだ。
 こうした物言いを複数の人物が言う組織を見たことがある。

 これもまた身内で凝り固まった残念な組織の一例とも言えるだろう。
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ayu15

強制は好ましくないと陛下が言われています。
それに対して都教委「はいそうですね」と。

陛下にうそつく人は問題です。

by ayu15 (2013-08-24 14:35) 

Mosel

ayuさん、コメントありがとうございます。

国粋右翼なら、天皇の言うことは聞かないと(笑)ですよね。

都教委の動きを見ていると、日の丸君が代強制が、もはや自己目的化しているように思います。
(彼ら基準で言うところの)問題ないレベルのところから強制を始め、それから多くの分野で強制を進める。教員会議で挙手を認めず、校長始めとするトップダウンで、教育現場を進めようとする手法がまかり通っています。
都教委にとっては、日の丸君が代も、その「強制」こそが目的なんでしょうね。
by Mosel (2013-08-25 06:48) 

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