ユニクロとかいうブラック企業がよく考えると未来を食い潰している件 [社会情勢]
ユニクロに関する記事が話題になっている。
話題、と言うかネット界隈では問題視されているのだが。
朝日新聞4月23日(火)朝刊一面トップは、なんとユニクロが全世界同一賃金を実施するという内容。シリーズ「限界にっぽん」の特集記事としてだ。ただ記事によれば「同一賃金」とやらは年収平均670万(平均であることに注意)で、それ以下の約4/5は賃金体系と評価基準を同一にするということらしい。
そして9面にはほぼ半面に、ユニクロ社長、柳井正のインタビューが掲載されている。
一見してどうしようもない内容だと思って批判を書き進めようとしていたら、いち早く秀逸な分析と批判をし、はてなブックマークでも高評価の方がいらっしゃった。朝日サイトでは記事のホンの一部しか読めないし、記事内容や的確な批判内容については下をご覧いただくのがよろしいかと。
Open ブログ 様 「ユニクロ社長の詭弁」(その後もいくつかユニクロ関連のエントリを書かれていらっしゃいますが、それもまた読み応えがあります。TBないので直リンクで。)
*5/21追記:と書いてこの方を高評価したら、昨今の橋下による従軍慰安婦冒涜発言に関連して、慰安婦の存在は日本軍兵士によるレイプの抑止にあり、効果があったともとれる内容を書いてやがる。確かに当時の軍司令部の動機はそうだっただろうが、レイプの抑止効果があったなどという事実はないし、だったとしてもこんな政策が許されるはずがないだろう、当時の倫理規範においても。と言うわけで、この方の「慧眼」はユニクロの、柳井の発言に関する点だけといたします。人って難しいね。
http://openblog.meblog.biz/article/15760682.html
・・・・・
未来を食い潰して何も残さないブラック企業
「正社員」の3年離職率が50%を超える-つまり現状に即して詳しく記載すると、3年間でパートではなく正社員が、この厳しい雇用情勢の中、半数以上が辞めてしまう-という企業が、一体どのような環境で社員を働かせているのか。
これは一度でも社会に出たことがある人なら、容易に想像できることではないかと思う。
岩波の雑誌「世界」5月号には、タイムリーなことに「人間らしい働き方が消えていく」としてNPO法人POSSEの今野氏の論文が掲載されている。そしてそこに悪徳企業の一例としてユニクロの事例が載せられていた。
さながら魚類の生存競争ではないか
つまり、柳井正が語るところのユニクロとは、つまりは働く人を使いつぶして成り立つ「ブラック企業」であるということ。ブラック企業はたくさんの人を食い尽くす。そしてたくさんの犠牲者を踏み台にして、一部の人がのし上がっていく。そうしてこの企業が成り立っている。
柳井氏はブラック企業批判をする人々を「一部の人」と言い放った。ブラック企業にかかれば、犠牲者はそれがどんなに多くの比率を占めようとも「一部の人」なのである(柳井氏から見るとそうなってしまう)。取るに足らない人物に成り下がる。過酷な、それこそほんの一部の人しか勝ち抜けないような、ほとんど勝ち目のない「職場」を準備しているのは柳井なのに。その「職場」とは、さながら魚類の生存競争のような世界ではないか?ユニクロが求める社会は哺乳類のそれですらない。
成功者だと思っているユニクロ上位の社員よ。あなた方は実力とやらのみで今の地位にいるのか?
それは違うだろう。
デフレスパイラルとやらよりはるかに深刻なブラックスパイラル
ブラック企業で、たくさんの人が使いつぶされる。使いつぶされた経験は、今後の生活にも支障を来す。それは今後の人生がねじ曲げられることを意味する。
病んでしまったのなら、働けなくなるかもしれない。
通院や入院が必要になれば、医療費を押し上げてしまうかもしれない。
老いれば年金もなく、生活保護となってしまうかも知れない。
それら一連の社会保障費の増大が、ブラック企業によってもたらされる。見方を変えると、結局のところユニクロおよびそれに類するブラック企業が、社会保障費を「収益」と称して吸い上げている、そうとも言えないか。肥え太った柳井氏らは、それを自ら勝ち取ったもののように喧伝するだろうが。
そして政府が「自己責任」の名目で膨れ上がったそれら社会保障費を削減する。ブラック企業と極右政府の、このブラックスパイラル。会社を辞めてもこのスパイラルに飲み込まれる(元)社員は・・。
こんな連中が仕掛ける「全世界同一賃金」なるものが何を意味するか。一部には朝日新聞の記事が、中国の店員の事例を挙げていたことをあげて、「途上国の賃金に合わせるという印象操作だ」なんて吹いている人もいるようだけれど、「実質的にはどの国でも同じ生活が出来る水準にする(朝日記事引用)」との文言が、日本の従業員が今より良い待遇になるなんて捉えた人がいたとしたら、それこそ「おめでたい人」とのレッテルを貼られるだけだろう。
朝日新聞はユニクロ路線をどう考えているのか
4月24日午後3時。妻を精神科に送り届ける途上で聞いたTBSラジオ「たまむすび」。そこでこの記事を問題視した小田嶋隆が明解な批判をする。内容は冒頭で紹介したBlogと、そして私の書いたことと同じ。彼が一番驚いていたのは次の点だ。
柳井正が何を言ったとか、ユニクロが何をするとかではなしに、朝日新聞が1面を使ってこんな記事を掲載する。批判的視点ならともかく、こんな内容を肯定的に取り上げている。
10年前の朝日新聞ならこんなことはなかったろう。たとえ柳井の発言を取り上げても、朝日新聞社としての意見を併記するだろう、と。
これが東スポが取り上げるなら、これでもいい。スポーツ紙なんてこんなの当たり前のようにあるからと。週刊東洋経済が取り上げるなら、朝日新聞が取り上げるなら、と掲載媒体による重みを指摘しつつ、大新聞で一応のリベラルと評される朝日新聞の現状を嘆く。
私は、この度の朝日記事は、単純にユニクロ礼賛だけの記事にはなっていないとは思っている。矢尽き刀折れた元社員の事例も載っている。柳井氏へのインタビューにもブラック企業批判への質問がある。ただ1面はユニクロの方針のみ。ブラック企業批判にしても、柳井の反論を載せてそれでおしまい。これじゃ小田島氏の批判もむべなるかなという気持ちはある。
極端な新自由主義を掲げる「日本維新の会」という組織があるが、朝日新聞やテレビ朝日などの朝日系メディアは、それを立ち上げた橋下徹を、当初から持ち上げていた。昨年の激しい報道攻勢は記憶に新しい。
なぜか朝日系は、政界に進出した橋下徹を、関西財界と一緒に持ち上げる。このことは彼を批判している人たちの間で、半ば常識となっていた。
日本のクオリティペーパーの、これもまた一つの現状と言うことか。
大きな声を鵜呑みにせず、自分で判断できる頭を、持ち続けたいものだ。
話題、と言うかネット界隈では問題視されているのだが。
朝日新聞4月23日(火)朝刊一面トップは、なんとユニクロが全世界同一賃金を実施するという内容。シリーズ「限界にっぽん」の特集記事としてだ。ただ記事によれば「同一賃金」とやらは年収平均670万(平均であることに注意)で、それ以下の約4/5は賃金体系と評価基準を同一にするということらしい。
そして9面にはほぼ半面に、ユニクロ社長、柳井正のインタビューが掲載されている。
一見してどうしようもない内容だと思って批判を書き進めようとしていたら、いち早く秀逸な分析と批判をし、はてなブックマークでも高評価の方がいらっしゃった。朝日サイトでは記事のホンの一部しか読めないし、記事内容や的確な批判内容については下をご覧いただくのがよろしいかと。
Open ブログ 様 「ユニクロ社長の詭弁」(その後もいくつかユニクロ関連のエントリを書かれていらっしゃいますが、それもまた読み応えがあります。TBないので直リンクで。)
「ユニクロの社員は、次々とやめていく。だから、このような企業は、本来、成立しないはずだ。人が集まらずに、とっくに倒産しているはずだ。 ところが、人がやめてもやめても、次から次へと補充される新入社員がいる。(だから経営が成り立つ。)・・これは一言でいえば、「焼き畑経営」である。あるいは「人材の使い捨て」だ」(引用終わり)
*5/21追記:と書いてこの方を高評価したら、昨今の橋下による従軍慰安婦冒涜発言に関連して、慰安婦の存在は日本軍兵士によるレイプの抑止にあり、効果があったともとれる内容を書いてやがる。確かに当時の軍司令部の動機はそうだっただろうが、レイプの抑止効果があったなどという事実はないし、だったとしてもこんな政策が許されるはずがないだろう、当時の倫理規範においても。と言うわけで、この方の「慧眼」はユニクロの、柳井の発言に関する点だけといたします。人って難しいね。
http://openblog.meblog.biz/article/15760682.html
・・・・・
未来を食い潰して何も残さないブラック企業
「正社員」の3年離職率が50%を超える-つまり現状に即して詳しく記載すると、3年間でパートではなく正社員が、この厳しい雇用情勢の中、半数以上が辞めてしまう-という企業が、一体どのような環境で社員を働かせているのか。
これは一度でも社会に出たことがある人なら、容易に想像できることではないかと思う。
岩波の雑誌「世界」5月号には、タイムリーなことに「人間らしい働き方が消えていく」としてNPO法人POSSEの今野氏の論文が掲載されている。そしてそこに悪徳企業の一例としてユニクロの事例が載せられていた。
さながら魚類の生存競争ではないか
つまり、柳井正が語るところのユニクロとは、つまりは働く人を使いつぶして成り立つ「ブラック企業」であるということ。ブラック企業はたくさんの人を食い尽くす。そしてたくさんの犠牲者を踏み台にして、一部の人がのし上がっていく。そうしてこの企業が成り立っている。
柳井氏はブラック企業批判をする人々を「一部の人」と言い放った。ブラック企業にかかれば、犠牲者はそれがどんなに多くの比率を占めようとも「一部の人」なのである(柳井氏から見るとそうなってしまう)。取るに足らない人物に成り下がる。過酷な、それこそほんの一部の人しか勝ち抜けないような、ほとんど勝ち目のない「職場」を準備しているのは柳井なのに。その「職場」とは、さながら魚類の生存競争のような世界ではないか?ユニクロが求める社会は哺乳類のそれですらない。
成功者だと思っているユニクロ上位の社員よ。あなた方は実力とやらのみで今の地位にいるのか?
それは違うだろう。
デフレスパイラルとやらよりはるかに深刻なブラックスパイラル
ブラック企業で、たくさんの人が使いつぶされる。使いつぶされた経験は、今後の生活にも支障を来す。それは今後の人生がねじ曲げられることを意味する。
病んでしまったのなら、働けなくなるかもしれない。
通院や入院が必要になれば、医療費を押し上げてしまうかもしれない。
老いれば年金もなく、生活保護となってしまうかも知れない。
それら一連の社会保障費の増大が、ブラック企業によってもたらされる。見方を変えると、結局のところユニクロおよびそれに類するブラック企業が、社会保障費を「収益」と称して吸い上げている、そうとも言えないか。肥え太った柳井氏らは、それを自ら勝ち取ったもののように喧伝するだろうが。
そして政府が「自己責任」の名目で膨れ上がったそれら社会保障費を削減する。ブラック企業と極右政府の、このブラックスパイラル。会社を辞めてもこのスパイラルに飲み込まれる(元)社員は・・。
こんな連中が仕掛ける「全世界同一賃金」なるものが何を意味するか。一部には朝日新聞の記事が、中国の店員の事例を挙げていたことをあげて、「途上国の賃金に合わせるという印象操作だ」なんて吹いている人もいるようだけれど、「実質的にはどの国でも同じ生活が出来る水準にする(朝日記事引用)」との文言が、日本の従業員が今より良い待遇になるなんて捉えた人がいたとしたら、それこそ「おめでたい人」とのレッテルを貼られるだけだろう。
朝日新聞はユニクロ路線をどう考えているのか
4月24日午後3時。妻を精神科に送り届ける途上で聞いたTBSラジオ「たまむすび」。そこでこの記事を問題視した小田嶋隆が明解な批判をする。内容は冒頭で紹介したBlogと、そして私の書いたことと同じ。彼が一番驚いていたのは次の点だ。
柳井正が何を言ったとか、ユニクロが何をするとかではなしに、朝日新聞が1面を使ってこんな記事を掲載する。批判的視点ならともかく、こんな内容を肯定的に取り上げている。
10年前の朝日新聞ならこんなことはなかったろう。たとえ柳井の発言を取り上げても、朝日新聞社としての意見を併記するだろう、と。
これが東スポが取り上げるなら、これでもいい。スポーツ紙なんてこんなの当たり前のようにあるからと。週刊東洋経済が取り上げるなら、朝日新聞が取り上げるなら、と掲載媒体による重みを指摘しつつ、大新聞で一応のリベラルと評される朝日新聞の現状を嘆く。
私は、この度の朝日記事は、単純にユニクロ礼賛だけの記事にはなっていないとは思っている。矢尽き刀折れた元社員の事例も載っている。柳井氏へのインタビューにもブラック企業批判への質問がある。ただ1面はユニクロの方針のみ。ブラック企業批判にしても、柳井の反論を載せてそれでおしまい。これじゃ小田島氏の批判もむべなるかなという気持ちはある。
極端な新自由主義を掲げる「日本維新の会」という組織があるが、朝日新聞やテレビ朝日などの朝日系メディアは、それを立ち上げた橋下徹を、当初から持ち上げていた。昨年の激しい報道攻勢は記憶に新しい。
なぜか朝日系は、政界に進出した橋下徹を、関西財界と一緒に持ち上げる。このことは彼を批判している人たちの間で、半ば常識となっていた。
日本のクオリティペーパーの、これもまた一つの現状と言うことか。
大きな声を鵜呑みにせず、自分で判断できる頭を、持ち続けたいものだ。
こういうときこそ、政治家、政府、裁判所、検察、弁護士の出番と思うのですが。。。(^_0)ノ
by cheese999 (2013-04-29 22:33)
対抗するには裁判で、となると金や人脈、手間もかかる。まわりからの誹謗中傷もある。また非常に時間がかかるので、その間の生活はどうするんだと思い、たたかいに踏み出せない人は多くいると思います。
それでも勇気を出して発言してきた、そしてたたかってきた、たくさんの人たちが、裁判で労働行政の問題を明らかにしてきました。これからは政治家の出番と思います。現政権では無理ですが。
by Mosel (2013-04-30 07:00)
少し前Yahooのトップページ「もう読んだ?気になる記事を斜め読み」
でユニクロの社員の事が出て居ました。実に3年くらいで止めてしまい、店長ともなると大変な過酷労働とか。
正に使い捨てですね。こんな事では優秀な人材は育ちませんよね。
今日の新聞の週刊誌の広告では「朝日を読まない安倍と朝日新聞の不適切な蜜月なんて」見出しを目にしましたが、労働行政に政治家の出番と言っても仰る通り無理ですね。
by ponnta1351 (2013-04-30 15:44)
ユニクロの柳井にしてみれば、過酷な労働を強いて、社員を「選別」しているつもりなのでしょう。人を使い捨てにするのと同義だ、という自覚はなさそうです。
こんな連中を何とかするような政治家を、私たちが育てていかなければいけないと考えています。
この記事をあげた直後、週刊ポストにご提示の記事が掲載されたようですね。私も広告で見ました。今日にでも買って読んでみるつもりですが、最近特に朝日の論調がひどくなっていることは気になっている点です。
by Mosel (2013-05-01 07:02)