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ヤンキー化する自民党 ヤンキー化する社会 [社会情勢]

 雑誌「Sight」春号に、安倍政権と自民党について、いくつかおもしろい考察が載っている。
 特に昨年12月、朝日新聞紙上で発表されて、一部で話題になった「自民党は、保守というよりヤンキー政党である」(斉藤環氏)が、より深い内容でしかも平易にインタビュー形式で掲載されている。
 ここで言う「ヤンキー」とはYankeeではなく、日本でチンピラを意味するそれだ。
*まあ対米従属がひどい自民党については、どちらの意味でも間違ってはいないのだろうけれど。
 斉藤氏によると「ヤンキー」とは・・・過去を振り返らず-つまり過去を反省せず、過去に学ばず-、長期的視点を持たず-つまり近視眼的に-、思慮深くなくその場のノリで政治を進めてしまう、それがヤンキー政党、とまとめればこんなところだろうか。

 悪いことは何でもかんでも民主党のせい。従軍慰安婦や南京大虐殺はなかったんだと本気で世界に訴えて顰蹙を買っている今の自民党のあり方を見ていると、民主党だって政策面では自民党と大して変わらなかった(注)だろうに、そう考える私から見ると、ものすごく合点がいく見方だった。
 さて、そう考えた人が多かったからこそ、こうして雑誌にその考えがインタービュー記事として再掲されることになったのだろう。

(注)民主党政権が自公政権と変わらなかったことが、2009年の政権交代に期待した人たちをどれだけ裏切ったことか。それが結局昨年の民主党大敗につながったのだ。

・・・ヤンキー化は自民党だけじゃない

 よく考えるとこの「ヤンキー化」は、何も自民党や政治世界のものだけではない。今のネット社会に通じるものもあるんじゃないかと思う。


 ネットではたくさんの情報が保存されている。そして検索することで多くの情報が確認できる。自身のあいまいな記憶をトリガーにして、より正確な情報に近づけることもできる。
 そんな利点とは裏腹に、あっという間に膨大な量の情報が流れ去ってしまう。そしてものすごいスピードで情報を更新し続ける人々がいる。思慮深くなくても、手軽に情報発信できるツールがある。
 膨大な情報がすさまじいスピードで流れる状況で、人が処理できる情報量は限られる。結果多くの情報がなかったことと同じになってしまう。

 すると私たちは、過去を振り返るヒマもなく、せいぜい数年前のことすら思い出せず、将来を見据える思慮もなく、現状をただツイートすることしかできなくなる。膨大な情報は、アーカイブとして存在するけれども、それはいざというとき役に立つけれども、その情報に接するまでにも、多くの情報をかき分けなければならないことがしばしば。

 そうすると私たちは力尽きてしまうのだ。

 力尽きた私たちは、ヤンキーになるしかない。「細けえことはいいんだよ」「そんな昔のことほじくるな」「今しのげばなんとかなるっしょ」「おもしろけりゃいいんだよ」・・そんな人間に。

・・・ヤンキー化とは無責任体制のこと 過去を振り返らないから「ヤンキー」化する

 この「Sight」では内田樹と高橋源一郎(と渋谷洋一)の対談が掲載されていて、上記斉藤環論考を補完するような内容になっている。つまり自民党には総括と反省がない。なぜ野党になったのか、なぜ政権交代になったのかという分析もない。
 それを1945年の戦後、日本が戦前を総括していないことにからめて、自民党は3・11以前の日本に戻そうとしていると評している。

 アジア太平洋戦争後も、この度の3・11後も、日本はきちんとした総括をしてこなかった。そんな状況に絡めてこんなエピソードを司会の渋谷洋一が取上げる。

 「・・かなりの発言力を持ったジャーナリストで、前は民主党政権になったことを肯定的に語っていたけど、今は「今は自民党に戻ってよかった」って言っている人に話を聞いた」らその人物が「気の迷いだった」と言う。そこで渋谷氏が「・・民主党に投票した自分たちの投票行動そのものを肯定してみませんか?変えようっていう思いだけは正しかったっていうふうに議論を進めませんか?」と聞いても、「民主党はひどかった」と譲らないと・・。

 発言力のあるジャーナリストが「気の迷い」だけでこの状況を済ませてしまう。そこには何の分析も反省もない。分析も振り返りもないから、またいつか、この「ジャーナリスト」は「気の迷い」で人々をミスリードするのだろう。それが日本マスコミの現状なのだ、と言えば言い過ぎか。

 今の政治やマスコミ-そうだ特にマスコミ-に私が「なんかヘン」と、どうもしっくりこないのは、過去に共有された集合知、それは例えばジャーナリズムは権力となれ合わないとか、単純に政府の方針を垂れ流すだけではないとかそんなものがあったはず。それがすっぱりと、小泉政権が誕生したあたりから、消え去ってしまった。
 今じゃ現役政治家がずいぶんと頻繁にバラエティー番組に出てくる。与野党含めて。それが何を意味するのかを、制作者側はわかっていない。トップ幹部を除いて。

 そんな社会は何かおかしいと思う。

・・・

これでいいのか大手メディア 首相と会食 とまらない 社長に続き政治部長・論説委員長らも(しんぶん赤旗:4月11日)

 安倍晋三首相と大手メディア幹部との会食が止まりません。本紙3月31日付で「大手5紙・在京TVトップ 首相と会食」と報じて以降も、4日には曽我豪・朝日新聞政治部長、小田尚・読売新聞論説委員長、田崎史郎・時事通信解説委員らが永田町の高級中国料理店で会食。翌日には、大久保好男・日本テレビ社長が東京・内幸町の帝国ホテル内の宴会場で会食しています(引用終わり)。

・・・

 そんなわけで私のBlogは、ゆっくり、時々、更新しています。
 ・・うわなんか言い訳っぽ(ry



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ponnta1351

「全くその通り!」と頷きながら拝読。
TVに出まくりの何々評論家、政治家、いい加減にせい!って言いたい。
私だって言いたい放題言えるわよって。

タレントを集めての安倍総理の桜を見る会も、被災地の人が見たらどうなの?浮かれて「返り咲きました」なんて言ってる場合じゃない。
ぬけぬけと恥ずかしげもなくよくいえる。帰り咲いたなんて、結果を出してから言ってよね。 スミマセン言い過ぎ?
by ponnta1351 (2013-04-21 14:51) 

Mosel

ponntaさんこんにちは。ありがとうございます。

なんだか話題が流れ去っていくのが早くなりましたよね。民主党政権誕生なんて3年前ですよ。たった3年で、あれほど自民党はもうダメだと言っていたのが、あっさりと元に戻る。
でも元に戻ったのはマスコミだけなんですよね。総選挙で自民党に投票した人は2009年とそんなに変わっていないんですから。
またぬけぬけと評論家なるものが自民党にすり寄り始めましたよ。さて官房機密費がどれだけマスコミに流されているのやら。

安倍も「返り咲いた」なんて騒ぐなら、失敗した一般人に再チャレンジできるような政策を立てるべきなのでしょうが、この人は絶対にやりませんね。やるそぶりすらない。
by Mosel (2013-04-22 07:22) 

ayu15

仮称 巨人党機関紙読んでたら現政権は次々せいかだしてうまくいってるかのように書いてます。

普天間も尖閣も民主党の時とそんな大差ないようにみえますが・・・。


あ~~~一つだけ成果出てますよ。
物価上昇です。
マクドナルドが(100円の)約20パーセント値上げです。
小麦粉もまた値上げだし
早くわかるように出てます。
by ayu15 (2013-04-22 14:45) 

Mosel

ayuさんいつもありがとうございます。

そう、なんだかポジティブな報道多いですよね。麻生太郎なんか「何もしてないのに景気よくなっちゃった」って言ってたそうですよ。

物価は上がり始めてますね。そもそもデフレって、低所得層にとってはほとんど実感ないはず。だって税や公共料金は、下がっていないどころか、この間一貫して上がっているんですから。
人為的なインフレ誘導は私たちの生活をより苦しくするだけです。必要なのはお金を人々に行き渡らせる政策と思います。それは安倍政権では絶対にできないですね。
by Mosel (2013-04-23 07:01) 

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