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日本のスパイ組織はどこを向いているか~自衛隊情報保全隊の監視活動がリークされた [社会情勢]

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しんぶん赤旗9月4日 1面

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同 3面

 共産党のしんぶん赤旗9月4日付が、1面トップで自衛隊情報保全隊の不当な情報収集を伝えている。反戦・反基地運動を敵視し、ムスリムについては「テロリスト」扱いまでして、執拗に監視を行っているというもの。
 この手の情報は非常に慎重に吟味する共産党である。リーク情報は真実と考えて良かろう。トップ面の他、3面と15面にも非常に大きく紙面を割いている。気合いの入れ方がわかる。
 内部告発によって伝えられた、これら不当な情報収集の期間は、2010年11月から12月までの約一ヶ月間。詳しくはリンク先を参照されたい。一般的なニュースサイトと違い、この記事は多分共産党が存在する限りリンク切れにはならないだろう。

自衛隊 今も国民監視 違法な個人情報収集 情報保全隊の内部資料(しんぶん赤旗:9月4日)

国民監視、人権も民主主義も無視 自衛隊情報保全隊の実態(しんぶん赤旗:9月4日)


 ちょうど5年前、2007年にも共産党が情報保全隊(当時。現在は改組して「自衛隊情報保全隊」となったらしい)のスパイ活動をリークして話題になった。当時私もこんなエントリを書いたことがある。

やっぱりこいつらやってたのね、ってな感想が悲しい
立川警察とスパイ組織の連係プレーはどこを向いているかってこと

 2007年に明らかになった情報保全隊のスパイ活動は、2003年から2004年にかけて、イラク反戦運動などをターゲットにして活動を行っていた。そしてその結果、彼らが立川警察と共謀して、反戦ビラ弾圧事件を引き起こしたことは、未だに記憶に新しい。

 一般マスコミはほとんど沈黙している。あのときも、そして今回も。

 ざっと考え、いくつか気になる点がある。

情報収集期間が2010年であることは何を意味するか

 いうまでもなく、2009年には民主党政権が誕生して、一部では「革命」なんてもてはやされたものだ。情報収集の時期は菅政権の頃。官邸筋はこの手の情報収集を知らなかったわけではあるまいに、「市民派」のはずだった菅直人は、この活動をどう思っているのか。
 もちろんこのリーク情報は、情報保全隊が行ったスパイ活動の、ほんの一部であろう。それ以前からも、それ以後も続いていることだろう。ならば「小沢信者」とまで呼ばれる人々は、鳩山政権でも続いていたであろう、このスパイ活動をどう評価するのだろう。

今もスパイ活動は続いている~暴力装置である自衛隊が法律を無視する危険さ

 2011年3月11日、巨大な地震が関東東北北海道を襲い、福島で原発がメルトダウンしたことをきっかけに、反原発運動がこれまでになく盛り上がっている。
 思い出したい。2007年に明らかになった情報保全隊の活動は、反戦運動だけではなくかなり広範な市民の活動を監視していたことを。
 今、この反原発運動は、はたして自衛隊情報保全隊の範囲外にある活動だろうか。私は断じて違うと断言できる。
 多くの人々が集まったイラク反戦運動と同じく、自衛隊のスパイ組織は間違いなく盛り上がる反原発運動を監視しているのだ。人ごとではない。

 赤旗記事にも触れられているが、この情報収集は、なにも報道内容の集約や一般に配布されているビラなどを収集しただけではない。運動団体内部に潜入して、積極的に情報収集を行っているのである。もしくは自治体関係者に、彼らの内通者がいるということでもあろう。単なる資料集めの域を超えて、スパイと同様の活動をしている。

 情報保全隊が違法な情報収集をしているとして、情報収集対象者による裁判も行われた。その裁判のさなかにも、このような不法不当な情報収集が続けられている。これは何を意味するのだろうか。

 イラク派兵は違憲であると名古屋高裁の判決が出たとき、時の航空幕僚長、田母神俊雄は「そんなの関係ねえ」と放言した。その田母神は、ある格安ホテルグループの懸賞論文に現役自衛官時代に応募、その内容が極右丸出しの妄想全開だったことがさらに問題になった。
 今自民党の国会議員をしている、イラク派遣自衛隊員の佐藤正久は、イラクであえて交戦状態のところへ参集し、なし崩し的に交戦状態をつくるという、いわゆる「駆けつけ警護」発言を行って物議を醸した。
 自衛隊の逸脱行動は、古くは1978年の幕僚長来栖弘臣の「超法規発言」、そして「三矢研究」など散見される。

 このリークから見えてくるものは、自衛隊という軍隊は、そもそも順法精神などない、シビリアンコントロールなど「関係ねえ」、いつでも法律を無視して人民に襲いかかるメンタリティを持っているということではないか。
 これは暴力装置として機能している組織としては、決して持ってはならない思考である。

 そう。かつて日本がたどった道が、まさに軍によるこうしたメンタリティが招いたことだったのだから。

・・・・・

 昨年の震災時のことを書いたマンガが結構出た。タイトルは忘れたが、その中の一つに「自衛隊の皆さんには大変お世話になった、当たり前と思っている人もいようが、自衛隊の本来任務は災害救援ではない、だから本来やるべきではない仕事をしている自衛隊員の皆さんに感謝せよ」というような内容を書いたものがあった。
 語るに落ちるとはこのこと。自衛隊は軍隊であって、災害救援でいかに名を成しても、それは本来の彼らの姿ではないのである。

 自衛隊は軍隊なのだ。それも官僚的にきわめて腐敗している。

 だからこそ私は自衛隊を「軍」と呼ぶ。震災救援での活動を評価するならば、なおのこと「自衛隊」を災害救援隊に改組し、組織を民主的に刷新することが必要と、私は思うのだ。

 あらためて、日本に存在しないはずの、軍隊について考えさせられた、赤旗のリーク記事。この危険性に沈黙してはならない、と思う。

 単なる情報収集のみにとどまるわけがない。ゴーサインが出れば、暴力装置はたやすく牙をむく。そうなってからでは遅いのだ。
 弾圧されたたくさんの人々を間近に見ている私としては、この事件を他人事と片付けるわけには、いかない。
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ayu15

警察村どころか警察国家なんて恐ろしいです。国民主権はどこに??
by ayu15 (2012-09-05 21:24) 

Mosel

ayuさんこんにちは。
予想はされていたでしょうが、全くどこの監視国家だ、という感じですね。彼らが違法な情報収集するのは、その情報を使って何かをする準備をしているということでしょう。
それは何か。収集の意図からみて、時期がくれば調査対象者を弾圧するということでしょうね。あからさまなやり方ではなく、一部をつるし上げるように。これはイラク戦争時に実際にあったことです。逮捕前に彼らは執拗に監視をしていたことが、多くの裁判から明らかになっています。反原発運動すらその例外ではないでしょう。

このスクープを後追いしているメディアが一切ないことも不気味です。
by Mosel (2012-09-05 22:07) 

ponnta1351

恐いですね。
過激な言葉を発する私は、いつも亭主に「外でそんなこと言ったらだめだよ、公安などが目を光らせている」と言われています。
デモの参加もしかりでしょうね。

私は以前から思って居ますよ。自衛隊は軍隊だと。
戦車、戦闘機、潜水艦持って、これが軍隊でなくてなんですか?
富士の裾野等でで戦争ごっこしてどれだけの血税を使うのか?

先日、沖永良部島で私物を購入していた自衛官を内部告発した女性自衛官が、何と18年間も昇給も無く、いじめに遭いながら退官したことをTVでみました。
陰湿パワハラでした。 それを上官、防衛相にTVスタッフが取材に行っても認めませんでした。

大きな組織ではぐるになって隠蔽するんですよね。
そんな事は氷山の一角で、我々の知らないところで酷い事がまかり通り、内部は腐りきっているような気がしてなりません。

思ったことがなかなか書けませんが、自衛隊は軍隊の何物でもないです。
そして、マスゴミ(敢えて言う)も政治屋も自分に不利益な事は知らんぷり!
by ponnta1351 (2012-09-06 11:17) 

Mosel

マスコミやその他メディア関係は、警察や軍隊のような暴力装置や、ヤクザのような暴力組織にはからきし弱い。今回の件も、後追い報道しているところが今のところ一つもありません。ネット世論の反応もイマイチ薄い印象です。

まあ、こんなこと当然予想できているから、というのもあるとは思いますが。

女性自衛官がレイプされて、悲壮な思いで裁判に訴えているケースもあります。このケースでは自衛隊が女性に対して、事実上の解雇処分を行っていました。
ご提示のケースも含め、官僚組織は組織の流れに少しでもずれた者を、徹底的に排除しますね。批判者ですらなく、ちょっとずれただけでも。警察と自衛隊は全くこの点で腐りきっていると思います。

情報収集は、その次に続く行動の準備段階です。大阪の橋下の様な人物が国政に躍り出れば、たちまち収集した情報を元に行動し始めるでしょう。それが一番危ない。
by Mosel (2012-09-07 07:21) 

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