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悲しき派遣社員~ニコンは遺族に真摯な謝罪を [労働運動~働く人たち]

やっと終わったんだ・・。

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派遣社員の自殺は過労死 最高裁、上告退ける

 光学機器大手ニコン(東京)の工場に派遣された男性(当時23)が自殺したのは過労が原因だとして、男性の母親が、ニコンと派遣元の請負会社「アテスト」(名古屋市)の両社に約1億4千万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、両社の上告を退ける決定をした。

 9月30日付。両社に連帯して約7千万円の賠償を命じた2009年7月の二審・東京高裁判決が確定した。

 高裁判決によると、上段(うえんだん)勇士さんは1997年10月から、アテストの従業員として、埼玉県熊谷市のニコン工場で製品検査にあたっていたが、99年3月に同市の自宅マンションで自殺した。
(asahi.com 10/1)
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 数年前に問題になった「偽装請負」。その偽装請負会社から、事実上の派遣社員としてカメラメーカー、ニコンに勤務し、長時間過重労働の末、独り暮らしのアパートで自ら死を選んだこの事件。
 被害者の上段勇士さんは、上記の記事で「3月」に自殺した、とある。実は命日が分かっていないという。死亡から発見まで数日を要したため、死亡日は推定でしかないとのこと。

 地裁判決は確かに勝ったけれどひどいものだった。ご両親が離婚していることから、損害賠償額を減額したのだ(父は原告にはなっていない)。高裁はそれをただし、請求満額ではないものの約7000万円の賠償を、偽装請負会社アテストと派遣受入会社のニコンに命じた。大勝利だった。

 地裁判決(2005年3月)から6年半。高裁判決(2009年7月)から2年以上。高裁判決後、被告会社が上告してから今までずっと、支援団体が毎月最高裁に要請行動をしていた。
 私も過労死事件(川田過労自殺事件)を支援していた関係で、関係者と同席する機会も多かった。

 実は1年くらい経過した時点で、もしや最高裁は高裁判決の破棄を考えているのではないか-同じく偽装請負が問題になった「パナソニック偽装請負事件」は、最高裁が高裁判決を破棄したから-と、私は内心不安なところもあった。いつまでも上告受理されず、一体いつになったら、と思っていた。

 けれどこれで、ようやく、この事件が一区切りついた。

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 私はこの事件を知ってから、ニコンのカメラを買うのをやめた。行楽地で、イベントで、Nikonのロゴを見るたび、この事件のことを思い出す。
 だからニコンは、賠償額をただ払うのではなく、遺族に対して真摯に謝罪し、今後このような過労死案件を生まないよう、全社あげて取り組むことを、世の中に宣言していただきたい。
 それが、過労死を生んだ会社の社会的責務である、と私は思う。

 亡くなった人は還ってはこないが。ただ、それでも。
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コメント 2

ayu15

そういう悲しい事件があったんですね。犠牲者にお悔やみ申し上げます。


by ayu15 (2011-11-11 10:08) 

Mosel

切ない事件です。解決までに12年。これは勝利したからよいものの、似たような事案がたくさんあって、裁判にもならずに泣き寝入りという事案がほとんどです。こんな働き方はなくさなければならないと感じます。
by Mosel (2011-11-11 10:53) 

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