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退職するメンター 異動するメンター [現場のシステム]

 上半期も終わりに近づき、人事に動きが見られる時期となってきた。そしてまた、今年も仲良くしている職員が退職してしまう。

 こんなとき、素直に、寂しいね、と思う。

 私は、何度か書いたことがあるけれど、いわゆる一人職場で働いている。もちろん同一フロアに他の職員は何人もいるが、いずれも私の業務とは違う仕事をしている。情報システム関連の業務はもちろんのこと、いわゆる医療事務的な業務、自治体や業者との折衝についても、私の担当する業務は私がすべて行わなければならない。一人職場なので何のバックアップもない。

 時折、そんな状況を振り返って、非常に強い孤独感を受けることがある。
 しかしそんなダウナーな状況になるときに、不思議なことに必ず周りのスタッフが、何らかのかたちで接触してくれる。その内容は、他愛もない世間話であったり、彼ら彼女らの仕事の相談だったり、逆に私に仕事のを依頼をする内容だったりもする。

 私の担当業務を替わって遂行してくれるのではない。私の仕事が減るわけではないし、難問が解決するはずもない。

 しかしそのような人々の存在が、私の仕事について、何かを見いだすきっかけを与えてくれる。モチベーションを喚起させる。仕事の道筋を与えてくれる。


 こうした人たちをビジネス用語で「メンター」と言う。メンタリングを受ける側は「プロテジェ」というらしい。

 メンターは、もちろん人生経験豊かな人材が望ましい、だろうが、必ずしもそれは必要条件ではない。先輩や上司でもいいが、実は部下や後輩でもいい。同じ仕事している必要すらない。
 ただ相手に共感し、受け止める能力がほんの少しあればよい。

 メンターの存在は、特に「新人」の管理職や役職者に必要な存在だ。マネジメント層は業務の画一性というか、「これは」というマニュアルのようなものはない。ビジネス誌をいくら読んでもそんな解法は載っていない。
*amazonでよくビジネス誌の書評に「具体性がない」などというものを見かける。具体的な内容はなくて当たり前。ビジネス書はあなたの個人コンサルタントではない。
 あいまいな業務だからこそ、特に経験豊かなメンターが必要とされる。道は自分で切り開くのだ。しかし立ちゆかなくなったとき、メンターの存在は大きな力となる。プロテジェにある程度の力があれば、メンターの経験によらず、自身の考えを整理してくれる人があればよい。

・・・・・

 以前マネジャー職をしていた頃、私にはメンターといえる人物はいなかった。あの頃、新人マネジャーの私は、こんなイメージを抱いた。
 案内板の通りに、必死になって飛び石を超えて川を渡ると、360度水平線に囲まれた大海に出てしまった、そんなイメージ。

 つまりは、途方に暮れていたのだ。

 マネジャーである私が途方に暮れて困るのは、私の下で働くスタッフだ。そして本来私を指導すべき人物は何もしなかったばかりか、私に業務責任を押しつけさえした。もはや「メンター」どころの騒ぎではない。

 そう、あの頃の私に必要なのはメンターだった。今、それがよくわかる。そしていわゆる部下であるはずの人たちが、「メンター」として私に接してくれていたことも、懐かしく思い出す。

・・・・・

 そんなバカげた会社の問題点を解明することから、今の私が始まったと思う。その問題点探しはあまりに簡単で苦労することはなかった。今の病院に転職し、一見孤独な職場にいる私が、何とかここまで業務を進めてこれるのは、そんないろいろな職種が、彼らは気づかずとも私のメンターとなってくれている、そしてそれを私が気付いている、そんな状況があるからだと思う。

 そして、そんな環境にいられることは幸せだと思う。

 だからこそ、そんなメンターが少しずつ、他の職場に行ってしまうのは、私にとっては仲間が退職する以上の意味合いを持つ場合がある。

 だから年度末や上半期末、退職や異動の多い時期に、私は少しく寂しくなる。

 頑張ろう。また今月も小さなプロジェクトがある。
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ponnta1351

病院の情報を有り難う御座いました。紹介状がないと自費料金を取られることをネットで調べて解りました。最近の病院は予約制でこのようになって居るんですね。

お仕事のことは良く分かりませんが、大変ですね。
いくら一人職場とはいえ、人との関わりはゼロとは言えず、人事異動では悲喜こもごもでしょう。 またお仕事上で良い出会いが有りますように。
頑張ってください。

by ponnta1351 (2010-09-02 13:28) 

Mosel

コメントありがとうございます。初診の自費料金は数千円単位で徴収するところが多いので、結構バカになりません。外来患者を診療所に誘導していた政策の名残ですね。

仕事ではいろいろ別れもありますが、新たな出会いも多くあります。一人職場ですが、年を重ねるごとに多くの仲間が会ってこそ仕事が出来ていると言うことを、実感できるようになりました。
ありがとうございます。
by Mosel (2010-09-03 07:03) 

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