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医療情報技師の更新~その存在価値 [医療情報技師というお仕事]

*2度目の更新をしました。医療情報技師の更新 ~2度目の更新とその存在価値

*ログから見て、かなりの医療情報技師または医療情報技師に関わる仕事や勉強をされている方からのアクセスがあると思われますが、2010年3月時点での内容です。一応民間資格なので、頻繁な制度改正が考えられます。資格取得や更新に関しては、医療情報学会の医療情報技師育成部会をご確認ください。
・・・・・

 2004年に取得した医療情報技師だが、05年に5年ごとの更新制となることが決まった。これまで取得した技師全員が対象となる。
 この更新制度、学会大会への出席や病院等での実務に従事するなどして「ポイント」を稼ぎ、50ポイントを集めると更新できるというものだ。学会の認定制度というのは更新制が一般的のようで、技量の維持なども考慮すると、これは面倒だが望ましいことと思う。

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認定証 以前にはなかった英語版の認定証も同封されていた 前と異なり有効期限が書かれている

 私の場合、今年の3月31日で有効期間が切れる。そして3月中頃、のんびりと更新資料を取り寄せる・・資料は医療情報学会のサイトからダウンロード可能。

 このポイント、割と簡単に貯まる。病院で実際に情報システム系に従事していれば、あとは大会に2年に一度程度、参加するだけでよい。学会が主催する生涯学習講座を受講すれば、それだけで5-10ポイント貯まる。インターネットで「e-learning」を申し込んでもよい。
 学会に入会しなくても、大会に出席しなくても、現業が病院のシステム系なら講座だけ申し込んでおいてもいい。

 簡単なのだ。・・・と思っていたら、更新には上記の生涯学習講座(e-learningでも可)の受講が必須とのこと。あわてて学会事務局へ申し込み、3月末に送付。何とか更新に間に合って、4月20日頃に到着、という感じ。
 e-learningのコンテンツは意外に面白かった。


・・・5年前のあの頃・・・ あれから5年。

 03年に始まった医療情報技師認定制度は、当初から割と好意的に受け取られていたように思う。考えてみると当時は「病院機能評価」とか各種のISO取得を医療機関が躍起になって取り組んでいた時期。診療報酬も下がり、激しい「サービス」合戦の中で過剰な権利主張する患者(とその家族)が増加・・。第三者評価をやたら求めていたのは、病院の自信喪失の裏返しだったのかもしれない。

 ちょうど同じ時期、大規模ICTシステム(電子カルテなど)の導入があちこちで検討されていた。その上で人材育成・組織作りをどうすればいいか悩んでいる医療機関、そしてICT関連製品を医療機関に売り込むのに手っ取り早い肩書きが欲しいベンダには、非常に時宜を得た資格だったと思う。だからたくさんの人が受験したし、認知度も少なくとも医療系ベンダや病院システム系の中では、高まってきているように思う。

 ただ当時、試験問題のレベルは、情報処理系ではITSSの「初級システムアドミニストレータ(シスアド。今はなくなった)」以下。医療関係の知識は「医事課経験3年程度」のレベルでよかった。マネージング的な知識を要求される「医療システム系」の問題も、それこそシスアド程度で十分だった・・04年度の話ですが。おまけに当時は受験科目の免除制度もあった。

 だから、というわけじゃないが、資格を取れたからといって、即戦力になるというわけではない。期待はずれの人材も多かったろうし、実際にそんな人を何人も見た。
 まあ、資格を取ってからの働きが、その人や資格の評価を左右する、ということは、どんな資格でも同じなのだが。

 とりあえずパソコンにちょっと詳しい医療系が、上からとれとれ言われて受験してみたら受かった・・そんな人は当然資格の更新に興味はない。04年以降、受験者が急増しているこの資格、興味がなくなったり、現業から離れたり(取得者はベンダの社員が多い)して、資格を喪失した医療情報技師も多いんだろうな、そんな人が増えるんだろうな、と思う。

・・・費用・・・

 さて、これらポイント獲得には結構な金がかかっている。
学会への入会:13000円/年
様々な学会大会への参加:7000-13000円/回
生涯学習講座:5000-10000円/回
医療情報技師更新料:10000円

 大会参加に係わる旅費分を除いても、私の場合トータルで10万円は優に超えている。ここ数年は費用の一部を病院に出させているけど、なかなか頭の痛い問題ではある。
 もう少し、値下げしてくれませんか?


・・・それでも医療情報技師の存在価値・・・

 更新時に書類記載のため、改めて私のポイントを計算してみると、100ポイント近くになっていた。別に無理をした記憶はない。必要と思われるものに出、興味のあることをし続けて、それを少なからず現場に還元してきた。その結果、私が今の病院に勤務し始めてから、ずいぶん改善が進んだと思う。不満の多かった電子カルテベンダも、赴任当時から見ると、ずいぶんと協力的になってくれている。
・・これは以前病院外から来ていたシステム管理業者(以前にこんなエントリを書いていますが、最後の事例のことです。というか「メンタル」になった社員の前の担当者の問題ですが)が、何の仕事もしていなかったことへの裏返しでもある。非常に低いレベルから出発したので、私だけでも何とかなった、と見ることも出来よう。

 とまあ、そんな意味でも医療情報技師の存在は、私の病院内や関係する医療機関では、それなりに大きなものになっていると言えるかもしれない。

 医療情報技師の存在は、現在のところ病院機能評価Ver.6で、HIS導入医療機関への「配置が望ましい」とされているくらいで、他に特別な何かがあるわけではない。一応民間資格だからこれはやむを得ないだろうが、診療報酬などで配置に優遇措置を付けてもらえないものだろうか。専任・専従配置の要件とはしないが、専任・専従者の十分条件として、医療情報技師を例示するとか、やり方はあると思う。

 当院みたいな小さなところは、担当者を配置せずに情報システムがグジャグジャになっちゃうところが、結構あるらしい。それって医療の安全性にも関わる問題。これから医療IT化を進めるにあたって放置できない課題だと思うのだが。
・・もっとも、大きなところでもきちんと担当を配置しきれず、大幅患者減で大損失出した病院も知っているが。

 まあ、加算がついたとしても、私のように医療情報のみならず、何でもかんでも兼任している場合には加算はつかないでしょうけれども。
 それはそれとして(笑)、今後もがんばっていければな、と思う。
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punpukinpie

とくに地方にいると出張・学会参加費等の費用面とからみて病院のサポートが無いと更新は厳しい現状です
診療報酬等・病院機能評価あたりで要件となれば病院も本腰を入れるでしょうが・・・

by punpukinpie (2012-11-28 02:23) 

Mosel

 まもなく記事を書く予定ですが、こないだの医療情報学会大会で、医療情報技師に関する大きなセッションが行われ、あなたと同じような意見が多く見られました。

 診療報酬の要件とすること、病院機能評価でのさらなる要件など。評価機構の方も演者になられていて、来年以降病院機能評価も大幅に変わるとのことで、その点は期待できそうです。
 診療報酬に関しては、医療費を下げようとする勢力が国会で多数を占める現状では期待ができない感じではあります。総選挙でどこが躍進するかにかかっているでしょう。

 地方の方のポイント獲得は難しい現状ですね。
 ただ各地域の医療情報技師会の例会では、更新ポイントがつくようになっています。関東や関西の方なら敷居も低く、北海道や北陸でも技師会の立ち上げに尽力されている方もいらっしゃいます。

 単純にポイント稼ぎなら、医療情報技師育成部会のe-learnigが手っ取り早くてオススメかなと思います。
by Mosel (2012-11-28 07:26) 

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