はた迷惑な「マンション投資」電話のうさんくささ

　先日「ITproEXPO2009」に参加するため東京ビッグサイトへ出かける。仕事の関係でいろいろあって、結局昼頃に到着。ゾロゾロと参加者が国際展示場駅から会場へと歩いて行く。
　「あ、すいません」と声をかける人あり、見てみると若いサラリーマン風の人物。一瞬宗教関係かと思ったが、その人物はこんな理由で、手当たり次第に声かけをしているようだ。

　「私新入社員で、新人研修として30人の方と名刺交換をさせていただいています。」


　なんだそりゃ。


　今時つまらん研修させるなあ、かわいそうに・・。


　と思って足を止め、名刺を渡したのが運の尽き。「ライフコンサルタント業」を名乗る彼はこう言った。
「ワンルームマンション投資など行っている会社でして・・。」

　orz__

　「ウチの病院にもその手の電話良くかかってくるんだよね、すっごい迷惑してるんだ」と苦々しく返答。渡した名刺で営業電話されないかなあ、とちょっと心配になる。


　もう何十年も昔からある「マンション投資」。その内容は、ワンルームマンションをローンで購入して、住宅ローン減税で所得税を節税、そしてワンルームは他人に貸して賃料収入を得よう、というものだ。これはバブル経済期にいっぱいあって、軒並み失敗してたくさんの人が大損したが、いまだにこんな商売がまかり通っている。
　その商売について知識がなかったとしても、それがまともかうさんくさいかを判断するには、売り手の態度を見ればよくわかる。

　どの病院も非常に迷惑している連中の営業電話とはだいたいこんな感じ。

・・・
（以下に出てくる固有名詞は全て実際に聞いたもの）
「タカツですけどぉ。医局に鍵忘れちゃってぇ。医局もう誰か見えてますか。」
「病院をお間違えではないですか。こちらは○○病院（私の勤務先）ですよ」
「ええ、間違ってません。今日当直の先生誰ですかね。」
・・・それで医者のフリしてるつもりか

「ジーシーのサトウと申します。本日院長先生ご在院でしょうか」
「ご用件は何ですか」
「コンプライアンスの件で」
・・・なんのコンプライアンスだよ

「メディカルサービスです。お世話になります。「MRSAのサンプル」ができましたので、院長先生お願いいたします。」
・・なんだそりゃ。

　と、こんな感じで医者やらその他医療関係者やらを装って、電話を取り次がせようとする。医師などの職員名を特定できると取り次がれる可能性が高いからか、職員名を聞き出そうと様々な芝居をうつ場合もある。
　しつこいので業者を特定しようと連絡先を聞き出そうとするが、彼らは自身の連絡先は決して口にしない。ひどい場合は実在の病院の電話番号を伝えたりする（もちろんその病院の職員ではない）。

　電話をつながなかった場合の反応もだいたい一致している。

・・・
「タケマルですが、看護師の浅田美代子（仮名）さんお願いします」
「どちらのタケマルさんでどういったご用件ですか」
「どちらのって・・お電話つないでいただければわかります」
「最近ね、用件を伝えず職員につながせて、投資話するうさんくさい電話が多くて困ってんですよ。」
「それじゃボクがうさんくさいって言うんですか」
「ああその通り。」
　と、まあその後は、大体誰でもチンピラ口調に変貌。からかい続けると「ふざけんな」「ぶっ殺すぞ」「今からそっちに行くからな」となる。
　（この人物、同じ看護師に昼にも投資話をもちかけていたらしい。仕事が煮詰まって心がささくれ立っているときにこんな電話がかかってくると、こうして営業をからかうこともある。心がますますささくれます）。

　そんな連中が紹介している商品がまともなわけがないでしょう？

　こうした詐欺的不動産業は「医者は金持ち」との固定観念を持っているから、病院には執拗にこの手の電話がかかり続ける。休日勤務の医者はヒマだと思っているから日祝日に良くかかってくるようだ。
・・仕事がヒマじゃないとこんな電話相手にしてくれないからねえ。
　最近看護不足が叫ばれているから、今度は看護師が金持ちになったと勘違いした連中から、看護師あての電話も来るようになった。迷惑なことこの上ない。

　もっとも、一番いいあしらい方法は、個人名を出した場合は「今、不在」。役職名での電話は「多忙につき折り返し連絡させるのでそちらの連絡先を」だったりするのだが。


　冒頭の東京ビッグサイト。閉会後の帰路、よく見ると５～６人が同じように「名刺交換」しようとうろついている。昼に会ったヤツもまだいて、また私に声をかけてきた。営業なら顔、ちゃんと覚えなさいよ。

　自分がうさんくさい商売に身を染めていることを早く知って、とっとと仕事替えないと大変なことになるよ。
　身内に顔向けできない仕事だと言うことも、知っておいたほうがいいと思うよ。