ハンドボール問題は確かにクウェートに問題あるけれどさ、だからといって侮蔑したらだめなわけよ [社会情勢]
最近クウェートがアツい。ハンドボールのアジア予選で、韓国や日本との試合で不当な判定があったとのことで、国際ハンドボール連盟が予選のやり直しを命じ、中東各国がそれをボイコット。アジア・ハンドボール連盟はクウェートの王族が支配しており、彼らの試合への介入は当たり前。疑惑の判定を行った審判は、アジア・ハンドボール連盟に評価されて北京オリンピックに審判として参加するという・・。
日本で報道されている内容を信ずるならば、こりゃスポーツとして成り立ってないよって思える(アジアの)ハンドボール世界。何とかならないかって思っている人が多いのではないだろうか。
スポーツでルールがきちんと守られないなら、それはスポーツではないってこと。去年の亀田一族のボクシング試合がスポーツといえなかったのもこれが理由。だから、多くの批判を浴びたんじゃないだろうか。
そうしたら13日、日テレの「真相報道バンキシャ!」という番組で、元検事の河上和雄なる人物がでている。
その河上コメンテーターが大要こんな発言をして、私は耳を疑った。
「(クウェートは)何百年か前には砂漠を歩いていただけの連中が、たまたまオイルが出てこうなっているだけですから」
こんな発言するやつって今時いるの?中東への知識が「アラビアのロレンス」レベルなのかいな。世界史くらい勉強してくれよー。オウム事件の時もそうだったが、なんで「ヤメ検」ってのは人権感覚ってものが狂ってるのかね。
クウェートあたりの「何百年か前」って時代はさ。オスマン帝国の時代であって、オスマン帝国が軍事的にも文化的にも当時の超大国だったことは、中学生くらいの知識でもわかることだよね。
翻って日本を見れば、当時は世界との接触をほとんど断って、チョンマゲに刀をもった連中が町を闊歩する状況。その後開国したかと思えばアジア太平洋地域で大量の人民を虐殺し、「たまたま」無謀な戦争で大敗して平和憲法を得、アメリカにくっついて経済大国となったわけで、しかも鎖国時代以前は150年間にわたって国内が内戦状態にあった、大変な野蛮国・・
ってアラブから見れば日本なんてそんな感じに見えないかね?
いやアラブや日本が昔どうだったかなんて、それこそどうでもいいことなんで、それぞれの地域・人民には、それぞれの生き方やそれぞれの文化がある。それをあたかもさげすむかのような表現をとることが問題なのであって、それこそ人権感覚が欠落した、クウェートの非民主制を批判したって説得力を持たないってことなんだ。
さらにまずいのは、(日本での報道内容を信ずるならば)クウェートとアジア・ハンドボール連盟が絶対的にまずいことをしていて、それがために国際ハンドボール連盟が予選のやり直しまで命じたってのに、こんな差別発言がフレームアップされて、人種差別・地域差別と結びつけられて、彼の国で宣伝されないか、ということだ。
そうすると問題解決が一挙に困難になってくる。よけいな苦労を背負わなければならない人が出てくる。
マスメディアが多様化していない国なんていくらでもある。そうした国の公認メディアは圧倒的な力を持っているから、こんなつまらない番組のくだらない人物の些末な発言が、彼の国の国民にとって見れば、それは日本国の意志とまでとらえられかねない、そのように情報操作されかねない
・・というのはちょっと大げさかもしれないけれど。
・・・さてハンドボール、再戦は当事国じゃなくて全然関係ない、距離的にも中間地点みたいなところがいいと思うんだけれど、何でまた日本にしたのかね。
そんなわけで、とりあえずイスラームについては、こんな本が参考になると思います。
「イスラームの歴史(2)拡大する帝国」 著者:ジョン・エスポジト
雑誌の論文ばかり読んでいたから、単行本はあまり紹介できないなあ。
ヤメ検ってのはこういう奴が多いんですかね・・。やれやれ。
by solea01 (2008-01-25 20:38)
「過激発言」と「差別発言」を混同してますよね。激しい発言をしても安心して聞いていられる人もいれば、この人みたいにいちいち差別意識丸出しの人もいる。ヤメ検ってそんな人が多いなと言う印象があります。
by Mosel (2008-01-26 08:47)