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介護保険を食い物にする奴ら [社会情勢]

 知り合いが介護関連の地域ネットワークに参加しており、そこで年に数度講演会のようなものを行っているらしい。今回は東京都の介護保険審査課の人物を招いて講演をさせたようだ。又聞きなので正確ではないかもしれないが、大要こんな事を言ってひんしゅくを買ったのだそうだ。
「介護保険の監査については事業所からの異議は認めない。・・文句があるのなら介護保険の申請を取り下げて、自費でサービスを提供すればいい」「「私たちの事業所がなくなれば利用者が困る」というのは思い上がりだ」
・・これを「思い上がり」と言わずして何となす?

 ちょっと前の「赤旗」11月29日号に「介護保険では散髪に行けない 本当?」という質問が載った。要介護者へのサービス提供で「ヘルパーが付き添って散髪に行くのは介護保険の適用外だ」、「通院等乗降介助のサービスは通院以外だめだ」と行政の実地指導担当者が言っています。本当ですか?と大阪の読者から。
 共産党は厚労省に法令根拠を質したのだそうだ。で結局この実地指導担当者の言っていることはデタラメだったことが判明した。この記事では「行政担当者の指導があまりに乱暴だ」「あとで返還命令が出されるのが怖く、利用者の立場に立ったケアプランをつくれない」との意見が紹介されている。
 同じ紙面には東京北区の101歳の超高齢者と脳性まひの重度障害者の要介護度引き下げについての記事が掲載されていた。

 社会保険事務局による医療保険の指導監査とは異なり、介護保険の指導監査というのは実に独特である。ある人は「警察のガサ入れ」みたいと評する。それほどまでに高圧的で敵対的なのだ。はなから介護保険事業者を犯罪者扱いし、実際に行われているかどうかの判断はせず、書類上の細かな不備を重箱の隅をつつくようにネチネチとあげつらう。
 監査の最後には、監査のまとめを口頭で行う「講評」というものがある。そのあまりにも不当な姿勢に、講評途上で監査官に抗議した病院事務長もいると聞く。「あなた達は何のつもりで監査をしているんですか」。事務長の怒りは察するに余りある。

 私たちの病院へも介護保険の監査が入ったことがあった。どうも上記の事務長と同じ面々だったようだ。彼らの態度は実に横柄で、しかも介護保険法の条文や通達にすらないことを、拡大解釈して押しつけようとする。「それはおかしいのでは」と批判すると、自分でもまずいことを言っていると知っているのか、これがすぐに引き下がるのだ。その後の奴らとの交渉の中で、奴らの言い分は次第に後退していく。

 結局これらは-医療法や療養担当規則もそうなのだが-介護保険法が実にあいまいで適当な法律で、だからこそ通達、通知やQ&Aのかたちで出される解釈なるものがバラバラに存在し、それらを総合して実地しなければ法的要件を満たさないということになる。その困難さは一事業所のスタッフがやりきるなど到底できようがないほどだ。そんな法律の不備を勘案して、監査・指導は敵対的・攻撃的なものではなく、あくまで教育的視点にたったものであるべきだし、実際医療保険における監査は、ある程度その視点を持った内容となっていた。しかし介護保険は全然違うようだ。
 そしてその問題をますます悪化させているのが、そのような状況を何も知らない、都庁の事務屋(ウチに来たのも元都立病院の事務らしい)が監査すると言うことなのだろう。事務屋は介護保険の支出をいかに減らすかしか考えていないらしく、いきおい監査の内容も「指導」ではなく「ガサ入れ」になる。こんな「ガサ入れ」でただでさえ貧弱な制度でボランティアのように働いている事業者を萎縮させ、徹底的に支出を減らす。介護保険の支出を減らすと言うことは、要介護者に介護保険でのサービスを受けさせない、または事業者がボランティアでこれらを請け負えということなのだろう。
 しかし介護保険というものは保険料を負担するのは40歳以上のすべての国民。金を払わなければ罰則が待っている。金だけ取って使うなという制度になりつつあるのは、4月のエントリにも書いたが、これではかつて我々が指摘していた「保険あって介護なし」という事態になるということだ。介護保険の金だけ吸い取って制度を骨抜きにする奴ら。
 そして冒頭のエピソード。介護保険を利用できなくなって、利用者が困ろうが事業者が破産しようが、都は「オレの知ったことか」って言っているわけだ。

 介護保険は何のためになるのか、それを運営しているはずの自治体(この場合は東京都だが)がどのような態度で介護保険制度を見つめているのかよく分かるエピソード。要するに「介護保険なんか使うな。とっとと死ね!」が本音と言うことだろう。何と言っても彼らの大将はあの「石原」。大将があれだと下手人も横柄になる。
 もっとも都の監査官はその上の厚労省に指導される立場なものだから、それはそれで苦労もあるらしいのだけれども。

 さて、全国に散在する事業所も、このまま不当な監査に指をくわえて従うばかりなのか。組織的な行動が必要な時期に来ていると思うのだ。

 そしてこんな官僚どもに「死ね」と言われて、その通り、各地で介護関連の自殺やら殺しやらが頻発している。あなたは黙ってただ自殺するだけか。死ぬ前に何かやれることがあるはずだ。それをみんなで考えていこう(その手段は、官僚にとっては痛くもかゆくもない「選挙」だけではないはずだ)。
さあ、どうする?


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