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医療情報学会の大会に参加するついでに-懐かしい札幌のこと [旅行]

 医療情報学会の学術大会があった。仕事に大いに関係あるにもかかわらず、ケチな会社は費用を出さないものだから自腹で行く。11月1日から3日間、会場は東札幌のコンベンションセンター。だだっ広い敷地に、平べったい建物がある。まわりには何もない。内地の人がイメージする、いわゆる北海道的な場所にある。

こんな感じのところでした
 大会の内容は実にエキサイティングで、初日から充実した内容で実に楽しめた。特にオープンソースソフトのセッション、そして医療情報技師と上級医療情報技師の今後に向けてのセッションは知的関心をくすぐられる内容だった。病院でのコンピュータシステム運営に関する組織づくりについてのセッションでは私も質問したのだが、すぐ隣に演者のマスターが座っていてあいさつされたのには恐縮。これが実にいい人だった。

 札幌は5年ぶりだった。私の職場の患者に札幌の人がいて、ちょっとお話をしたら「ずいぶん変わりましたよ」と言われた。確かにそうだった。
 札幌駅前は再開発があったらしく、大丸や駅ビルが今世紀の建築然として存在している。かつてランドマークだった(元)そごうビルはうらぶれた様を見せていた。北側には高層マンションがたくさん建設されており、その点だけみるとずいぶん変化した印象がある。しかしそれは駅前の半径数百メートルのみ。
 やっぱり札幌は全然変わっていないよ。いつも使っていた道、アスファルトの舗装すらあの頃のまま。

 北大通りには、やっぱり学術的な色彩が強く古本屋がたくさんある。それがすべてなくなることなく営業していた。一番のお気に入りだった薫風書林は、相変わらず午後からの営業で、その日の夜便で帰宅する前に立ち寄ってみた。
 あれから20年。ただでさえ狭い店内は、ますます混迷の度を深め、店の建坪は10坪程度なのに、もはやレジがどこにあるかも分からない。あの頃売られていた、昔の左翼の雑誌がまだ在庫中だった。本当に久しぶりにこの本屋で買いものをする。「狭くてすみません」としきりに言っていたレジの店主。
 バブル期以降、本に関する意識や、インターネットなどで物流が変化し、東京では多くの老舗古本屋が廃業した。古本屋の数でその街の文化度を測っていた私は、東京の荒廃を静かに嘆いていた。札幌は違っているようだ。

 北大の構内は相変わらずで、よく学生のふりをして侵入した会館は当時のまま。散髪代金が安くてよく利用した。北大生協も同じ建物で残っている。
 その生協の建物-つまり北大の南端-からすぐに、「清華亭」と小さな公園がある。

建物の外観。小ぶりな建物
 ここは開拓時代に建てられ、迎賓館として使われていたらしい。戦後は公務員の宿舎として使用され、今は史跡として一般公開されている。何てことはない和洋折衷の古い建物。洋室にはちょっとした展示スペースがあるが、和室には何もなくて普通に休憩ができたりもする。

こちらは洋室で展示物がある

明るい和室は何もない。ゆったり一休み可能
 一応受付はあって、でも管理人は奥の事務所にいるから、あまり意識せずに勝手に入れる。9時から16時までやっているので、観光疲れにちょっとした休憩場として使える穴場だったりもする。

 この建物のすぐそばには共産党の北海道委員会があって、関係する本屋もある。20年前、この札幌で母子家庭での餓死事件があり、バブル経済最高潮期だったこともあって、大きなニュースになった。私も大変な衝撃を受けた。ここで共産党が出した事件の状況を記した小さなパンフレットを買った。その本屋は移転して委員会の建物内に入ってしまった。

 さらにちょっと南に行けば、そこには観光名所の道庁旧庁舎がある。時計台はさらに南の大通公園そば。

夜の札幌農学校演武場(いわゆる時計台)。この時計は実働しているが、このタイプの実働時計としては日本で最古とのことだ
 大通り公園まわりの景色はあまり変化はなく、けれど丸井今井デパート(丸井ではない)がずいぶん増殖していた。映画館もなくなっているし、南一条付近は建物は昔のままだけれど中身が変わっていた。行きつけだったロシア系居酒屋、狸小路のコーシカはまだ営業していた。

 変わらない札幌。いつまでもそのままで。


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