倒れた老人~こんな人がどんどん増えるが、政策は・・ [社会情勢]
こんなことがあった。
倒れた老人は認知症
私がよく利用するスーパーの前に交差点がある。そこで信号待ちをしていたらしい老婆が、突然ばったりと倒れた。
直立状態で、そのまま後ろ向きに倒れたのだ。まったく受け身も取らないまま。
「ゴツッ」
というすごい音がした。頭部を強打していた。その女性は倒れたまま動けない。私はすぐに自転車を下りてそばに行った。
声をかけると彼女は意識があり、そのまま起き上がり始めた。後頭部をさすると巨大なコブが出来ている。他にも男女何人かがすぐに駆け寄ってくれ、色々と世話をしてくれる。そんなこんなで帰ろうとする女性をとりあえずスーパーの店内に案内し休ませる。
彼女は二つの買い物袋(エコバッグ)と小さなバッグを持っていた。荷物の一つを持ってみて驚いた。10kgはある。もう一つも同じような重量だ。全部そこのスーパーで買ったもののようだ。
事情を聞いてみると、女性はスーパーの近く、巨大な都営団地群の一室に息子と住んでいるとのことで、女性を助けてくれたもう一人の男性が、女性の荷物を一つ持ち、家族を呼びに部屋に向かった。
暴れる老人
待っている間、女性は「私のカバンがない」「財布も鍵も入っている」「カバンを盗られた」と自分の杖を振り回して大暴れ。私がなだめても30秒もするとすぐに同じ事を繰り返す。
そうこうするうちに男性が戻ってきた。「どう考えても他の人が住んでいる様子はないよ」。
このままスーパーにいてもらちがあかない。激しく頭部を強打しているから救急病院に行こうと誘っても、頑として「病院には行かない。帰る」と。むりやり救急車などで連れて行ってもCT装置の中で暴れるだろう。ここで無理に連れて行くよりは、いったん家に帰し、落ち着かせるのがよいだろうと判断する。
心配だが・・。
居住地に近いこともあって、もう一人の男性と一緒に帰ることにする。彼女、杖はついているけれど、常に上体を反らせるような体勢で歩いている。ひっくり返った理由がよくわかる。付き添いながら、またひっくり返らないよう、背中に手を添えつつ帰る。
彼女の荷物は全部で約20kg。カートも利用していない。こんな大量の買い物、スーパーの店員もおかしいと思わなないのかね、と考えながら部屋に着いた。確かにこの人以外には誰も住んでいる気配がない。
一緒に来てくれた同じ団地に住んでいる男性には、後は私が関係機関に連絡することにして、その場で別れた。
女性はしきりにお礼を言っていた。話しぶりから状況を認識して恥ずかしさが出てきたかのような感じを受けた。
こんな時は地域包括支援センターへ一報を
帰宅してから直ちに市のウェブサイトを検索。地域包括支援センターの情報を調べる。担当地区を確認し、地元の老人保健施設内に併設されているセンターに電話する。しかし留守。そのまま担当者の携帯電話に転送されたので、事情を話し女性の名前と居住地を説明する。担当者は自宅待機状態だったので、職場に行かないと状況確認も出来ず、翌朝調べて対応するとのこと。
けれど30分ほどして、「担当のケアマネが分かりましたので、連絡しました。明日朝イチで対応するとのことです」との返事。
心配になって職場に戻り、調べて連絡調整したのだろう。
この一件はそれでとりあえず終了になった。
こんな老人がこれからどんどん増える
通勤経路上なこともあって、私がこの団地のそばで倒れている老人を見たのは、これが初めてではない。何の目的か、ふらふらと歩いている人もよく見る。
ここに限らず、私の住む市には、都営や旧公団の巨大団地があちこちにある。言うに及ばずこれらの団地は、住人の高齢化が深刻だ。高齢者の増加に伴い、加齢による障害を抱える人が急速に増加するだろう。
そして、このような事がこれからあちこちで起るだろう。
こども手当の廃止に見られるように、現政権は-旧政権も同様だが-子育て支援策を放棄した。少なくとも2009年選挙で高らかに謳った子どもに対する手厚い施策は、少なくともそれ以前の自公政権レベルに極めて近くなった。
それは先進国レベルの話でいえば、子育て支援をしない、ということを意味する。
子育て支援はしない、少子化なにするものぞ。年寄りばっかり、人口減少の何が悪い・・それが国の政策ならばそれもまた一見識とは思う。
ならばこれから増加するであろう高齢者への対策が急務と思うのだが、介護保険は来期の改訂に向け、軽度要介護者の切り捨てをする方針のようだし、年金は支給開始年齢を引き上げるやら、外来受診時の定額負担制を導入する(外来受診者は老人が多い)やらと、なんだかこちらもよくわからない。
とりあえずは、何ごとかと見守る地域の人たちがいる。業務時間外にでも調べて連絡してくれるケアマネがいる。献身的に超低賃金で働く多くの人たちがいる。
しかし少子化でこれらの人は確実に減っていく。医療崩壊に見られたように、現場のがんばりを放置していると、必ずほころびが生まれ、崩れていく。それを私は医療界で間近に見た。
いったいこの政府は、何を目指し、どこへ向けて政策を進めようとしているのだろう。 アメリカ合州国にひたすら追随すること、それだけははっきりと見えているのだが。
倒れた老人は認知症
私がよく利用するスーパーの前に交差点がある。そこで信号待ちをしていたらしい老婆が、突然ばったりと倒れた。
直立状態で、そのまま後ろ向きに倒れたのだ。まったく受け身も取らないまま。
「ゴツッ」
というすごい音がした。頭部を強打していた。その女性は倒れたまま動けない。私はすぐに自転車を下りてそばに行った。
声をかけると彼女は意識があり、そのまま起き上がり始めた。後頭部をさすると巨大なコブが出来ている。他にも男女何人かがすぐに駆け寄ってくれ、色々と世話をしてくれる。そんなこんなで帰ろうとする女性をとりあえずスーパーの店内に案内し休ませる。
彼女は二つの買い物袋(エコバッグ)と小さなバッグを持っていた。荷物の一つを持ってみて驚いた。10kgはある。もう一つも同じような重量だ。全部そこのスーパーで買ったもののようだ。
事情を聞いてみると、女性はスーパーの近く、巨大な都営団地群の一室に息子と住んでいるとのことで、女性を助けてくれたもう一人の男性が、女性の荷物を一つ持ち、家族を呼びに部屋に向かった。
暴れる老人
待っている間、女性は「私のカバンがない」「財布も鍵も入っている」「カバンを盗られた」と自分の杖を振り回して大暴れ。私がなだめても30秒もするとすぐに同じ事を繰り返す。
そうこうするうちに男性が戻ってきた。「どう考えても他の人が住んでいる様子はないよ」。
このままスーパーにいてもらちがあかない。激しく頭部を強打しているから救急病院に行こうと誘っても、頑として「病院には行かない。帰る」と。むりやり救急車などで連れて行ってもCT装置の中で暴れるだろう。ここで無理に連れて行くよりは、いったん家に帰し、落ち着かせるのがよいだろうと判断する。
心配だが・・。
居住地に近いこともあって、もう一人の男性と一緒に帰ることにする。彼女、杖はついているけれど、常に上体を反らせるような体勢で歩いている。ひっくり返った理由がよくわかる。付き添いながら、またひっくり返らないよう、背中に手を添えつつ帰る。
彼女の荷物は全部で約20kg。カートも利用していない。こんな大量の買い物、スーパーの店員もおかしいと思わなないのかね、と考えながら部屋に着いた。確かにこの人以外には誰も住んでいる気配がない。
一緒に来てくれた同じ団地に住んでいる男性には、後は私が関係機関に連絡することにして、その場で別れた。
女性はしきりにお礼を言っていた。話しぶりから状況を認識して恥ずかしさが出てきたかのような感じを受けた。
こんな時は地域包括支援センターへ一報を
帰宅してから直ちに市のウェブサイトを検索。地域包括支援センターの情報を調べる。担当地区を確認し、地元の老人保健施設内に併設されているセンターに電話する。しかし留守。そのまま担当者の携帯電話に転送されたので、事情を話し女性の名前と居住地を説明する。担当者は自宅待機状態だったので、職場に行かないと状況確認も出来ず、翌朝調べて対応するとのこと。
けれど30分ほどして、「担当のケアマネが分かりましたので、連絡しました。明日朝イチで対応するとのことです」との返事。
心配になって職場に戻り、調べて連絡調整したのだろう。
この一件はそれでとりあえず終了になった。
こんな老人がこれからどんどん増える
通勤経路上なこともあって、私がこの団地のそばで倒れている老人を見たのは、これが初めてではない。何の目的か、ふらふらと歩いている人もよく見る。
ここに限らず、私の住む市には、都営や旧公団の巨大団地があちこちにある。言うに及ばずこれらの団地は、住人の高齢化が深刻だ。高齢者の増加に伴い、加齢による障害を抱える人が急速に増加するだろう。
そして、このような事がこれからあちこちで起るだろう。
こども手当の廃止に見られるように、現政権は-旧政権も同様だが-子育て支援策を放棄した。少なくとも2009年選挙で高らかに謳った子どもに対する手厚い施策は、少なくともそれ以前の自公政権レベルに極めて近くなった。
それは先進国レベルの話でいえば、子育て支援をしない、ということを意味する。
子育て支援はしない、少子化なにするものぞ。年寄りばっかり、人口減少の何が悪い・・それが国の政策ならばそれもまた一見識とは思う。
ならばこれから増加するであろう高齢者への対策が急務と思うのだが、介護保険は来期の改訂に向け、軽度要介護者の切り捨てをする方針のようだし、年金は支給開始年齢を引き上げるやら、外来受診時の定額負担制を導入する(外来受診者は老人が多い)やらと、なんだかこちらもよくわからない。
とりあえずは、何ごとかと見守る地域の人たちがいる。業務時間外にでも調べて連絡してくれるケアマネがいる。献身的に超低賃金で働く多くの人たちがいる。
しかし少子化でこれらの人は確実に減っていく。医療崩壊に見られたように、現場のがんばりを放置していると、必ずほころびが生まれ、崩れていく。それを私は医療界で間近に見た。
いったいこの政府は、何を目指し、どこへ向けて政策を進めようとしているのだろう。 アメリカ合州国にひたすら追随すること、それだけははっきりと見えているのだが。
お久しぶりです。
他人事ではないと身につまされる思いで拝読。
今のところ、毎日の老猫の点滴で悪戦苦闘しています。
今朝も1回失敗して再度針を刺し直しました。
今年も残り少なくなりました。
お邪魔する事も間々なりませんが新しい年も宜しくお願い致します。
今年は大変な年でしたが来年への期待も持てそうにも有りませんね。
by ponnta1351 (2011-12-20 14:16)
こちらこそお久しぶりです。
愛猫の闘病をつづった記事を、切ない思いを抱きながら見ております。
いろいろな意味で今年は激しい年でした。来年もより期待が持てなさそうな雰囲気ですが、少しでもよりよい世の中を目指して、地道にやれることをやっていこうと思っています。
by Mosel (2011-12-20 19:21)
考えさせられます。定年延長反対。
生活保護減らそう。(高齢者も多い)
消費税は増税。
社会保障の負担金は増やす。
年金は減らそう。
こういう声でどんどんあせて停滞してしまったような??
アメリカは好きですがまねはしてほしくないような・・。
by ayu15 (2011-12-23 00:14)
ayuさん、コメントありがとうございます。
大新聞や財界人が消費税増税や社会保障削減を声高に言うのは、彼らの立場を見れば分からないでもないですが、「大所高所に」立ったつもりでそれらの意見に追随する、私たちと同じ貧しい庶民がいるのも悲しいものです。
アメリカのようになったら、それこそ将来なんて見通せないような気もしますけれどね。おちおち病気もしていられない社会なんて。
by Mosel (2011-12-24 09:57)