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読売と右翼とナベツネ ~かつてこのようなことがあった [社会情勢]

 巨人軍のゼネラルマネジャー清武氏が、読売新聞グループの会長である渡邉恒雄氏を記者会見で告発した。(リンク先はとりあえずWikipedia)
 渡辺氏の口汚い「反論」めいた文章が、彼自身が受けたその衝撃を物語っている。

 こうしたかたちでの告発記者会見は、清武氏のGMとしての立場を考えると、個人的にはオリンパスのウッドフォード元社長のように、もう少し社内で抗争を続けた後に行われるのがよいのではとも思う。会見内容をざっと聞く限りでは、これは読売グループ組織のガバナンスの問題で、この程度の状況で記者会見をしてしまうのは、批判相手の渡邉氏に、格好の処分材料を与えてしまったとも考えられるからだ。
 もっとも、読売グループが渡邉氏の強権的独裁下にあることは、私自身も言論機関として大きな問題があると考えるし、一企業のガバナンスの問題にとどまるものではないという、ジャーナリストの青木理氏の意見にも十分納得は出来る。

 いずれにしても、重要な記者会見であったと思う。

 さて、渡邉恒雄といえば、バブル経済末期に読売新聞社社長として部数1000万部を誇る同紙を率いていた人物。しかしこの頃、末端の販売店では部数獲得競争の中、すさまじい事態が発生していた。
 以下、当時の私の個人的な経験を記す。読売新聞はかつて、このようなことをしていたのだ。
・・・・・

 大学に入って一人暮らし。引越しの翌日にはもう新聞の勧誘が来た。三大紙各紙の営業が来たが、読売の勧誘員は格段にしつこかった。なにしろ断っても帰らないのだ。
 ドアを開けようものなら、むりやり商品券をねじ込んで、券を受け取ったのだから契約しろという。バカなこというな、と何度も言い合いになった。
 ある日、またも読売を勧誘に来た人物に私はこう言った。

「湾岸戦争や(当時大論議になっていた)PKO法、日米安保などの報道姿勢が私と相容れない。こんな新聞は読めない。」

 件の勧誘員、はっきりこう言った。

「あ、オレ右翼だから。そういうのダメだから。」

 その人物が右翼団体の構成員なのか、単に思想的に「右翼」なのかは正確なところはわからない。柄の悪そうな風体は、いかにもヤクザっぽかったが。
 事の真偽はともかく、しかしその後数日おきに、嫌がらせのように勧誘が増えた。当時私は夜中家に帰らないことも多かったので、実際はもっと多いだろう。ドアを蹴ったり叫んだり、挙げ句の果てにはつかみかかろうとする輩もいた。ヤクザそのものだ。

 そんなわけで、勧誘員を追い出した後、近隣の読売専売所に電話をかけまくり「オマエの店はヤクザや右翼を雇っているのか」と抗議する。当時国立市に住んでいた関係で、読売新聞立川支局にも抗議の手紙を出した。
 言論機関である貴紙が、暴力団や右翼などの反社会勢力を使って部数を伸ばしている。それでよいのか、と。

 販売店はしらばっくれ、立川支社は無視。これが世界最大の発行部数を誇った読売新聞の態度だったのだ。

 しかしほどなくして、92年半ば頃からすっかり暴力的な勧誘は少なくなった。読売のしつこい勧誘は相変わらずだが、少なくとも暴力的ではなくなった。
 どうもこの頃、あちこちでこのような事件が勃発して、ある意味社会問題化していたようなのだ。私もこの問題で学生向け新聞のインタビューを受けた(記事にはならなかったようだが)。確度はそれほど高い情報ではないが、その頃に新聞社間で販売勧誘に関する紳士協定のような、申し合わせのようなものがあったと聞く。

・・・・・

 現在、かつてのような暴力的勧誘はなくなった。だが私は、勧誘に来る読売の販売員に、必ずこのことをいう。「昔あなたがたは右翼やヤクザを使って勧誘をしていた。私も被害にあった。そのような新聞を購読するわけにはいかない」と。

 読売新聞は、私が支援していた川田過労自殺裁判で、赤旗を含めた各紙で一番この事件を報道してくれていた。社会部が送り出す記事にはなかなか良いものもあると聞く。
 しかし「読売新聞」と聞くと、私がまず真っ先に思い浮かべるのは、反社会的勢力と結託した部数獲得競争、私自身も被害にあったあの暴力的勧誘なのだ。
 読売はこの件に関していっさい反省をしていない。事実があったことも認めていないだろう。未だに販売店の人間もしらばっくれている。

 そんな姿勢が、2003年のイラク戦争で世論をミスリードし、結果的に誤報だったことを反省しない、そんな態度にも現れているのだろう。そしてそれは、社主の渡邉氏を頂点として、読売グループ全体に貫かれている悪弊なのだろう。

 だから、私は読売新聞を購読しないのだ。

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コメント 4

ponnta1351

そうそう、そんな事有りましたよね。

ナベツネもいい年をして独裁者を気取ってないで引退した方が可愛げがあるというものです。言いたくても言えないでいたものが噴出したんじゃないですか? 家族も居るでしょうに、良く思い切って言ったと、私は拍手したいですけどね。これからどうなるのでしょう。

あ、是非キューバに行ってきてくださいよ。
by ponnta1351 (2011-11-17 16:15) 

Mosel

ponntaさん、こんにちは。
ナベツネの「反論」は、読売グループの「独裁者」にしては、ずいぶんと残念な内容でした。表に出す文書はもう少し大所高所に立った内容にして、裏で手を回せばいいのに。清武さんも準備不足の感は否めませんが、ナベツネは輪をかけて拙速なことをしてくれました。
ともかくよく言ってくれたものです。追随者が出るといいのですけれどね。

キューバには行ってみたいのですが、今回は日程面から完全に無理でした。行くメンバーが面白い顔ぶれで、もしかしたらフィデルに会えるかも、なので実に悔しいですが。
by Mosel (2011-11-18 07:11) 

ayu15

いやな思いされたんですね。他にもそういうことあった人もいたかも???

原発推進が基本方針らしいですが、事故に対する反省まるで書かれていません。
「安全神話」に貢献してたのに。
by ayu15 (2011-11-23 20:31) 

Mosel

ayuさん、こんばんは。
読売の勧誘で嫌な思いをしていた人はかなり多いと思いますよ。

そんな体質がイラク戦争も、原発事故へも反省が一切ないことの証左なのでしょう。野球チームに留まらない、組織的な問題ですね。
by Mosel (2011-11-24 23:18) 

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