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プロフェッショナル・・一応・・として [医療情報技師というお仕事]

 こないだ、こんなことがあった。

 「国際モダンホスピタルショウ」という展示会がビッグサイトであって、機材更新を検討している私たちの病院に参考になる情報がないかと、出かけてきたのである。
 取引のある業者にあいさつがてら立ち寄ったり、業務改善に役立ちそうな機材やシステムをあちこち見て回る。肝心のサーバー業者選定には結びつかなかったが、結構な収穫を得て満足感に浸りつつの帰宅途上、大崎駅で電話が鳴った。知人からのそれは、こんな内容であった。

「職場のMacが壊れて困っている。何とかならないか」

 週明けに調査する約束をして電話を切ったが、確かあのPowerMacG4(M8570)は、結構重要な業務に使用しているはずだ。ちょっと気になり、やや早く職場に戻れそうだったので、現場に立ち寄り様子を見てみる。
 電話の通り電源が入らない。古いマックなので内蔵バッテリーがいかれたか、電源が故障したか。まあデータは大丈夫そうだと伝え、修理のスケジュールを調整。上記の「結構重要な業務」には、今月は間に合わないものの、とりあえず回避策を設定し、その場でヤフオクの互換バッテリーの新品を落札して帰宅した。

 後日バッテリーの劣化が原因ではなく、当初予想していたG4の「持病」である電源異常であることが判明。電源を別に買うよりも動作確認済みの同機種を落札して、電源交換し完了とする。
 故障した電源はSAMSUNG。これがよく壊れるらしい。購入したG4にはAcBelの電源が入っていた。後者の方が「故障対策品」として評判がいいらしい。しかし私はAcBel電源にはあまりいい記憶がないのだが・・。どうせ製造時期から一時期大問題になった台湾製電解コンデンサの不具合だろうに(注1)。

 知人は私を呼ぶ前に、パソコンにちょっとだけ詳しい人を呼んで対応してもらったそうだ。けれどG4のケースを開けることすらできず難儀していたとのこと。・・ボディサイドの取っ手をつかむだけで開くんだけどね。パーツ構成も素直でサクサクと解体できるし。「ポリタンク」G4は遠い過去の話になっちゃったかな。MacOS9を動作できる最速のMacとして誉れ高いモデルなんだけど。

 さて、「オタクのシステム部門は呼ばなかったんですか?」と聞く。「いやー、それが」と言い始めたスタッフを制止して私はこう言う。
「何も見ずに、「Macはあつかったことがないから対応できません」って言ったでしょ。」
「ええ、まあ。」
「簡単に予想つきますよ。しかし「できません」はいいけど、プロなら何か別の対応策を提案するとかしないとだめですよね(注2)。だって現場の人間に、プロであるべきシステム部門が「できません」って切り捨てたら、現場はそこで止まってしまう。」
「おっしゃるとおりで。」
「本来プロであれば、何らかの対応をするか、できなければ代案を出さないといけませんね。そうしないと仕事が止まる。つまりそれって、彼らが現場の仕事やスタッフを大事にしていないってことなんですよ。つまりプロであるべき組織がプロじゃないってことなんです。不幸なことですよ。」
「そのとおり。どうしたらいいんでしょうね。」

「プロの組織を作るしかないですね。」

・・・・・

 確かにやれもしない仕事を請けて困るケースを時々見る。その場を取り繕うだけの安請け合いは請ける側も依頼する側にも迷惑がかかる。特に医療機関では、例えば救急外来で診られもしない患者を受けたら、確実にトラブルになる。自分やチームの能力やリソースの範囲で仕事をすることは確かに正しい。
 しかし今回のケースは明らかにおかしい。たとえて言うならば外科の救急担当医が、単純骨折に診療拒否するようなものだ。内科救急医が喘息発作を拒否するようなものだ。断るにしてもあまりにスキルが低すぎる。今はこの程度のシステムトラブルに対応できるだけの情報環境は整っている。なぜに頭から否定するのだろう。「自分や周りの能力やリソースの範囲」で仕事をしているつもりなのだろうが、この程度に対応する能力すらない(私が本業の片手間にやっているくらいの仕事だ)のなら、その存在価値が疑われる。こんな部門がなぜ生まれるのか。(注3)

 それは苦労してやり遂げても、何らの評価がない、逆に単に断っても何の罰もないからなのだ。やってもやらなくても同じなら、やらないという選択肢をとる人は当然に出てこよう。仕事に対するプライドも、それを支える技術も、そもそも仕事に対する情熱も失せた人は、何もやらずに無為に過ごす。

 そんな人を見るにつけ、今は怒りの感情は消え、ただ切ない気持ちが残るのみ。

 これは組織の問題なのだ。努力する人が組織を支え、一方それに乗っかるだけの人も生んでしまう、これはまさに組織の問題なのだ。まず組織から。そう、組織からだ。すれば、かような人は淘汰されよう。

 私がそんな組織の中にあっても仕事を続けていられる理由は、以前書いたとおり。そしてそんな連中を淘汰するため、いろいろと画策している。

(注)2001-2年頃、台湾で生産された電解コンデンサに不具合が多発。非常に大きな問題となった。この事件の余波は今でもあり、当時生産されたコンピュータなどのリコール品が今でも無償修理の対象となっていることがある。突然電源が入らなくなった、動作が不安定などの症状を抱えている方はメーカーにご連絡を。
(注2)この場合の「プロ」とは、その仕事によって給与を得ていることを指す。
(注3)まあ、組織の問題もあるけれど、私思うにこの一件は、当該部門責任者のパーソナリティ(or Personality disorder?)の問題が大きいと思ってますよ、ええ。もちろんそんなのを放置している組織にも問題があるってことなんですけどね、まあ結局組織の問題?ま、そういうことなんですけどね(笑)。

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