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旧軍の亡霊 -軍備は完全に撤廃すべきだが [雑想]


 私は以前から、日本の国家組織の中で、一番官僚主義に浸っているのは、警察組織と軍隊-自衛隊-であると思っている。
 官僚主義の特徴は、その組織をどのように維持するかと言うことに主眼がおかれ、その組織がどのような役割を果たすべきか、ということを考えないことにある。だから特権を維持する、問題が発覚しても責任を取らない、ということが恒常化する。その結果、組織内部で、末端職員のモチベーションの低下を招き、モラルハザードを発生させることになる。私もいくつかその「被害」にあった。

 公務員たたきに熱心なマスゴミも、なぜか警察や軍隊に対しては、ヤクザに対してと同様、報道のトーンがずいぶんとおとなしい。

 そんな中、週刊金曜日が8月8日の第一特集で「徹底検証 ムダな兵器 自衛隊の正体」という特集を組んでいる。
 90年に正式採用された90式戦車が、なぜ新型にチェンジされるのか、すったもんだの末に導入されたF-2がもはや生産中止。おおすみ型輸送船の惨状など、各種の事例を取り上げて批判を展開している。
 個々の兵器の「陳腐化」というのは、その兵器を使用する国の国情にあわせてのことだから、旧式な兵器をそのまま運用していることは、即それが問題になるわけではあるまい。またカタログスペックを見て「いや、90式戦車やF-2戦闘機は高性能だ」と強弁する人がいるだろうけれども、それでもこの特集に組まれている論点を覆すことは難しかろう。そしてモラルハザードを端的に示す、軍における2007年度の懲戒処分一覧の壮観ぶり。

 さてこの特集でのユニークな視点は、ムダな「兵器」という表現だ。本来ムダなのは、存在すべきでないのは「軍隊」。つまり日本においては「自衛隊」および「在日米軍」ということになる。
 ならなぜ「兵器」なのか。

 自衛隊や軍隊の類を廃止することは重要な論点だ。しかし「軍隊廃止」を前面に掲げることも大事だけれど、こうした「ムダがありすぎる」現状を批判して、効率いい予算の使い方を提起するのは、間違ったことだろうか。
 日本軍の現状を、このままではいけないと考えている軍事アナリストはたくさんいるはず。軍隊が必要とする立場の人々にも受け入れられやすいこうした論点は、少なくとも軍備撤廃という思想に対して、果たしてマイナスの方向性になるのか、それともプラスの影響をもたらすのか、ということを考える。
 今の軍隊がこれだけムダなことをしている。税金をムダに使っていることを知らせることもまた、反戦世論を広げる上では重要なのではないかとも思う。

 -もちろんその「ムダ」の理由を、「日本では憲法9条があるから自衛隊が効率的な運用ができない」だとか喧伝する輩がいるだろうけれども。その辺をいかに粉砕するかも考えなければならないけれども-

 特集の座談会最後に、パネリストからこんな意見があった。「・・提案したいのは、映画監督の宮崎駿さん的な軍備との付き合い方です。・・しかし、軍事を調べれば調べるほど戦争なんて嫌だというスタンスは強くなっていく」。私たちは、戦争を嫌悪するあまり、それにまつわるものすべてを嫌悪するあまり、それらに対して無知になっていないか。無知であるからこそ、奴らにつけ込まれてはいないか。なめられてはいないか・・。

・・・・・

 さて、この特集で組まれたような問題が、なぜ起こっているのかを考える。これはつまり冒頭に書いた「官僚主義」に起因するということに他ならない。そしてそれは旧軍から引き継がれた伝統であると言うことも。それはかつての戦争での戦略、戦術、個々の事例から見てもよくわかる。
 こうした組織を破壊的に変革しない限り、「戦後」というものは終わらないと思う。そして官僚主義は何も軍隊だけではなく、国家機関だけの問題ではない。それとのたたかいも、また私の重要な目的でもある。

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