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フェアプロセス-公平な結果ではなく公正な手順が大事ということ [現場のシステム]

 まずいなあ。
車止め残し交通開放 練馬区撤去 反対派の抗議続き(Source:東京新聞)

 「練馬区はいつもこんなやり方ですよ」という区民の声を聞いて思ったことは、なんか国政にしても、東京都政にしても、南米の「ゴリラ政権」みたいな強権的手法がまかり通る傾向が見えて実に不快。民主国家が何もかも決めてしまってから住人に押しつけるなよ・・勝手に決めてしまったために町長が追放された高知県東洋町の例もあるから、あまり悲観的でもないけれど。
 本日こんな前代未聞の事件があって特集:松岡農水相自殺(Source:asahi.com)
事実の解明が求められる中、ネットではこのような論評が飛び交っている。
きっこの日記とかね。

 昔はスキャンダルに際して消されるのは秘書とか運転手とかだったけれど、とうとう閣僚が消される軽い時代になったか、という感想。安倍さんよ。経過説明ちゃんとしないとまずいぜ。

 さて、人材マネジメントの観点からこれらの行政手法を見ると、昨今よくあるこんな話しをふと思いつく。最近はやりの「フェアプロセス」という概念

社員のモチベーションを高める方策は3つしかない。
「公正さ」・・自らが公正に扱われていると社員が感じること
「達成感」・・何かを成し遂げたと社員が感ずること
「連帯感」・・他者と共同で何かを進めること

 「熱狂する社員 プロセス志向の意思決定マネジメント(原題:The Enthusiastic Employee/How companies profit by giving workers what they want)」という本には、社員のやる気を高める方策として簡潔に上記の3つが載せられていた。しかも「達成感」「連帯感」はそれ単独、またはその両方が達成されていてもモチベーションは上がらず、しかし「公正さ」が達成されていると、連帯感や達成感が低くてもモチベーションをそれなりに上げる。

「決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント(原題:Why great leaders don't take Yes for an answer/Managing for conflict and consensus)」でも似たような論立てがある。「正しいプロセスを追求する」
 いかに合理的な決定であっても、たとえ多数派の意見であっても、その意思決定プロセスに不公正があれば、合意形成が妨げられる。「有利な判決を受けた人の満足感は、不公正な手続でも非常に高い。しかし、公正な手続で不利な判決を受けた人も、有利な判決を受けた人に近い満足感を抱いている」という研究が複数あるとのこと。

 HBR2006年12月号の「フェア・プロセス 負の感情を緩和する方法(原題:Why it's so hard to be fair:Brockner)」にも同じような内容と、フェアプロセスの実施方法について記されている。

 つまり隠し立てせず公正であれ、ということである。結果の公正ではなく、結論に至る過程が「フェア」であること。それがフェアであれば、社員のやる気は増し、紛争は減り、結果として組織の体力と生産性は上がる。
 上記の論文ではフェアプロセスは「民主主義を意味するものではない」とされているけれども、しかしこの概念は民主主義の基礎なのではと思う。だから民主国家においては人民(「国民」ではない)に対するフェアプロセスが必要であり、「民主経営」とか「民主団体」とかいうのには、なおさらその点が強く求められることになろう。

・・・・・

 以前の会社で私が置かれていた状況たるや、仕事の全体像どころか一部すら見えず、会議にかけられるのは決定してしまったものばかり。しかも決定時点ですでに破綻が明白なものすらある。で、問題を指摘したら「貝」になるやら逆ギレするやらで(笑)。あまりに愚かすぎて、むしろこんなヤツらのために私が腐るのはもったいない、と逆にモチベーションを上げてしまったほどだ。
・・当時の私を知っている方には、私があの頃、ますます活動的に仕事をしていく様を不思議に思っていた人もいるかも知れない。まあ、そんなわけだったんです。そして当時の状況に、なぜ私が怒っていたのかということも。ほったらかして適当にやれば楽な職場だった。その「楽」な手順をなぜ踏まなかったのかということも・・。

 陰に陽にサポートしてくれたたくさんの仲間が、そのモチベーションの行き先をすくい上げてくれたことも重要な要素だった。そのことにはどんなに感謝しても感謝し足りないと思う。


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