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「書の至宝展」に行ってきた [雑想]

 「書の至宝展」に行ってきた。会場は上野公園にある東京国立博物館である。聖徳太子の真筆といわれる「法華義疏」(肉筆原稿では日本最古らしい)や上海博物館から出品されている王義之の「淳化閣帖(最善本)」などが目玉のようだ。
 ・・でも目録を見ると王義之の書は国内からの出品が多いみたいだけれど。上海からは前述の「淳化閣帖」だけ。で、これに人が常に群がっている。聖徳太子の書は面相筆でも使ったかのような小さな文字で、あちこち間違いを訂正した後がある。丸っこい字で均整のとれた書だった。
 *「法華義疏」についてはその出所や真贋について議論がいろいろとあるようだ

画像はasahi.comから。草聖(草書のうまい人)とよばれた酒飲み僧「懐素」の、唯一の真筆とのこと。「うまいタケノコと茶があるからすぐ来い」という意味らしい。会場で売られている上海博物館名のおみやげには、この書をデザインしたものがたくさんあった。この書の左右には、これを褒め称えているらしい多くの文があり、異様に多い押印があって、この本文がかすむほどであった。
 文字を見てもどうせ読めないし、古い書画の多くはあちこち切り取られて割り印が押されている。どうも掛け軸などにされているようだ。だから追っかけて読んでも意味をなさないものが多い。だから絵画のように見るのだが、それでも字面を追って意味が分かるとうれしいのは、漢字圏に住む私たちのさがなのか。

 古書集めの習性がある私にとっては、書画のすばらしさというよりも、西周時代の鼎に書かれた篆書や、法華義疏などの古文書をみると、その状態の良さに驚き、所有欲を駆り立てられる。

 ところで会場は2つに分かれており、第2会場はかなり空いていてゆっくり閲覧できる。特にここは仮名の文書や一休さんなどの豪快な書がある。また上海から明清代の巨大な掛け軸が多く展示されており、ここに時間を割くよう動くと合理的だろう。
 といいつつ第一会場を3周、第2会場を2周し3時間閲覧したのでさすがに疲れた(笑)。

 国宝・重文なども多いが、どう考えても国宝クラスだろう、と思うような文書がそうではない場合がある。そんな文書は所蔵先が「御物」とか「宮内庁」。目玉展示の「喪乱帖」や「法華義疏」がそうで、これは天皇家が独占しているので国宝ではないということのようだ。国宝や重文はその保管や公開について義務が発生するとのこと(文化財保護法)。女性、女系天皇などの下らない議論がかまびすしいが、こんな展示会を見ると本当に天皇家は廃止すべきだと感じる。共和制となった国で多く見られるが、皇居等の天皇系施設を博物館として活用し御物等を常時公開してくれれば、どれだけ良いことだろうと思うものだ。


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コメント 4

yamashina

今上天皇のときに、天皇家所有の文化財は殆ど国家に移管してしまいましたので、貴方の心配は無用と思います。
明治天皇が藤原などの旧貴族や寺社から献上されたものが、昭和までの御物になっていたようですので、今上で、正常になったというところでしょう。
もともと皇室には、中世の貧窮のせいもあり、あまり文化財はなかったようです。
by yamashina (2006-02-14 21:21) 

Mosel

コメントありがとうございます。
現状で天皇家に保管されている「御物」の総量はどのくらいあるのでしょうか。また天皇陵とされている遺跡が、宮内庁との関連でなかなか発掘できないとも聞いていますが、その点に関して情報の真偽と貴殿の見解もうかがいたく存じます。
その辺の情報公開はどの程度進んでいるのでしょう。また実際にそのような情報が公開されていると仮定して、その情報の信ぴょう性はいかほどでしょうか。コメントいただいた身で恐縮ですが、ご教授いただけましたら幸いです。
このエントリにあるとおり、実際「喪乱帖」や「法華義疏」は国宝ではありません。その理由について貴殿の見解もお聞かせください。
また「今上天皇」とありますが、とすれば御物の文化財移行は最近のことと推察されますが、移行時期についてもご説明お願いします。
by Mosel (2006-02-14 22:51) 

でくあん

国宝について検索していてこちらにたどり着きました。この国の官の発想は明治から何も変わってないように見えるときがあります。トラックバックしました。よろしく。
by でくあん (2006-03-26 22:51) 

Mosel

コメントありがとうございます。
こちらもTBとコメントさせていただきました。
by Mosel (2006-03-28 23:19) 

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