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金環日食で写真を撮ってみる [雑想]

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月では絶対にあり得ないこの状態が一番美しい

 5月21日は日食。しかも金環食である。マスメディア始めとして、あちこちで大騒ぎ。

 本当なら月が太陽を完全に覆ってしまう皆既日食が派手でいいのだけれど、こればっかりは仕方ない。金環食も十分に珍しい。

 私は基本、日食を楽しみにしている。けれどわざわざ日食の場所に出向いて観測することはない。そんなものぐさに今回は絶好のチャンス。ずいぶん前からいろいろと準備をしてきたのだ。

 金環日食を撮影する準備を。

 太陽というのは非常に強い光を発する。そればかりか、意外に視直径は小さい。強力なフィルターと望遠レンズが必要だ。早朝だからあとあとのことも考え、仕事も休みにしておきたいもの。

 さて。

・・・・・

 撮影機材、カメラはソニーα700。
 レンズはタムロンの70-300mm。A005という3万半ばで買えるリーズナブルなもの。望遠側(いわゆる「テレ端」)での解像度の高さに定評があるレンズ。
 フィルターはND100000(N5)というタイプ。可視光を10万分の1までに低減するのだそうだ。撮影2週間前に入手。大手のは完売でamazonなどではプレミア価格になっている。在庫のあったシュミット社のものを楽天で購入。
 三脚はいつも使っているものを準備。
 カメラの充電は前日に実施。メモリカードは予備含め3枚。出発前に電源を入れて撮影テスト。

 もう一台、風景撮影用にオリンパスペン(デジタル初代。妻用)を持って行く。

 準備はばっちりだ。

・・・・・
・・・・・

 前日まで曇りの予報。前日午後から厚く雲が立ちこめる。

 朝3時に目が覚める。薄暗い。天気は分からない。4時にも目が覚める。空はもう明るい。薄曇りかそれとも曇りかは分からない。午前5時。そろそろ準備の時間だ。空は朝焼けのような日差しが指している。やった!晴れている!

 午前6時、撮影場所に用意していたビルの屋上へと出かける。空は薄曇り。東の空に雲が多いのが気になるが、何とかなるかも知れない。
 機材を設置して撮影開始。

 基本的には晴れているのだが、雲は多めで撮影中もちょくちょく太陽に雲がかぶってしまう。しかしそこは太陽。多少の雲はものともしない。

*うまく写らなかったときのことを考え、シャッタースピードは写真ごとにやや変動させた。暗かったり明るかったりがあるのはそのためです。

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6時35分頃。撮影開始若干の後。太陽黒点が写っている。撮影中も雲がかげっている。

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7時14分頃。もう半分以上欠けている。通常の日食ならこのくらいでも感激ものだ。

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7時22分頃。太陽黒点が月に隠される。いよいよ金環食が間近。

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7時30分頃。金環間近。太陽が雲に隠された!!雲のブロックが太陽を隠している。実はこの時かなり焦った。

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7時31分頃。雲の合間から太陽が見え始めた。もうすぐだ。

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7時31分頃。月が太陽の中心に入った!金環食!!

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その頃まわりの住宅街はまるで夕方のよう

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7時33分頃。私の撮影した地域では、これが一番月が太陽の中央にきた状態。

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7時35分頃。再びリングの端が切れ始める。

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 300mmという一般的には結構な倍率の望遠レンズを使った。けれど上記の太陽写真はトリミングしてある(縮小/拡大はしていない)。実際に撮影すると、こんな映像なのだ。
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トリミングなし 35mmフィルムカメラ換算で450mmの大望遠なんですが・・

 やはりベイリービーズ(金環になる直前/終わる直前に食の縁が不規則に輝く現象)を撮るには、この程度の倍率ではちょっと厳しいか。

 それでも撮影後、家族や職場仲間などに見せると、案外好評だった。まあ、いいのだろうか。

・・・・・

 食の最大を迎える頃、空がうっすらと暗くなった。気温も少し下がって肌寒くもなった。これは皆既日食の時と似ているのだろう。
 近隣のアパート。ベランダに多数の人が出ていて、太陽を見ていた。不思議な光景。やはり日食は月食と違って人気がある。
 職場の人に聞いてみると、早くに出勤して太陽を見ている人が少なからずいたようだ。でもレントゲンフィルムをフィルター代わりに使っていたり、肉眼で太陽を見ていたりと、危険なことをする人も結構いた。日食の前からしきりに「日食時に失明する人もいるんだよ」と危険性を訴えてきたはずなのだが。
 
・・・・・

 81年のことだった。当時北海道でかなり太陽が欠ける部分日食があった。私の住んでいた地域でも7~8割が欠ける日食だったと記憶している。そのニュースを聞きつけて、四国に住む私のいとこが訪ねてきたりもした。
 あの時はロウソクであぶりススをつけたガラスを使っていたり、下敷きを使って見ていたりした。望遠鏡観測は、接眼レンズに「サングラス」というフィルターをつけて観測することが一般的だった。数分間の観測終了後、レンズを外してフィルターに触れると結構熱い。これが少しでも割れて太陽光が直接目に入ると間違いなく失明。今は生産されていないようだが、今から考えるとずいぶん危険なことをしていた。

 そんな楽しい思い出を、少し思いだした。


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コメント 8

ayu15

すごいですね。うちも撮ろうとしましたがいったいなにをとっているのかわからない写真になってしまいました。
by ayu15 (2012-05-22 08:43) 

cheese999

こちら、裸眼で観測してしまいました。。
(^_0)ノ
by cheese999 (2012-05-22 22:09) 

Mosel

ayuさんこんにちは。
太陽の光はすごく強くて、フィルターがないととても写真は撮れません。光を10万分の1にするフィルターを使って撮影しました。
よく太陽と風景が一緒に写っている写真がありますが、複数の写真を合成しているようですね。
by Mosel (2012-05-22 23:21) 

Mosel

ジョージさん、目は問題なかったですか。
太陽を直視するのは、すごく目に負担をかけるようで、日食後眼科にかかる人が増えたそうですよ。
by Mosel (2012-05-22 23:38) 

cheese999

はい、そんなに見つめていなかったので、大丈夫です!
(のはず。。)
(^_0)ノ
by cheese999 (2012-05-23 22:53) 

Mosel

大丈夫だそうで、良かったですね。

目が大事なお仕事ですものね。お気をつけて。
by Mosel (2012-05-23 23:27) 

ponnta1351

お久しぶりです。
金環日食もスカイツリーも、世間から隔絶した毎日を過ごしていた私には関係なかったようです。 

良く撮れていますね!! もう二度と見られない映像を見せて頂き有難う御座いました。
by ponnta1351 (2012-05-26 20:00) 

Mosel

お久しぶりです。まだまだ落ち着かない日々が続いているかと思いますが、いかがでしょうか。

お褒めいただきありがとうございます。金環日食の最中には、ずいぶんと興奮して見てしまいました。各地で撮影や観測がされて、太陽直径計測の精度もずいぶんと上がったようですよ。
by Mosel (2012-05-27 09:19) 

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