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裁判の経過や判決の問題点等について、詳しくは
JAL不当解雇撤回裁判原告団を参照してください。
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弁護団らからも説明があったけれども、どうやら裁判所は、日本航空が経営破綻した際、多額の債権放棄を要請するとか、結果株券が紙くず化したとかいう点を判断のバックボーンとして、だから労働者の首切りもやむないという、妙な「バランス感覚」をもって考えているのではないかということ。
だから計画を上回る巨額の利益を上げても、労働者を解雇するのはやむを得ないとする。更生計画を絶対視しているから、巨額の利益を上げているにもかかわらず、日航が「短期間で事業拡大するなどの状況がなければ、人員削減の必要性は失われない」というような法理を持ち出す。
一方で判決は「整理解雇4要件」(1.人員削減の必要性、2.解雇回避努力義務の履行、3.人選基準の合理性、4.手続の妥当性-原告団不当判決声明から抜粋)は適用されるとしたようだ。しかし人員削減は更生計画に盛り込まれているから、解雇は適法であるという。
最高裁が提示した整理解雇4要件は、更生計画の途上であっても守らなければならない。なら4要件に当てはまっているかというと、当時の会長、稲盛和夫自らが「雇用を続けることは不可能ではない」と言っちゃったことから、4要件を満たしていないことは明らか。
けれど判決では稲盛発言を「苦渋の決断としてやむなく整理解雇を選択せざるを得なかったことに対する
主観的心情を吐露したに過ぎない」として無視してしまった。
経営トップの、それも裁判所で証言した内容すらこんな理由で無視するんだったら、
何のために証人尋問を行ったのか。経営トップの発言とはそんなに軽いものなのか。まさに裁判官の見識が疑われるというもの。
報告集会の会場は人でいっぱい 大変な熱気共産党委員長の志位和夫も来ていた 空の安全についても、もはやこの判決はなにをかいわんやの珍論を持ち出している。
以前のエントリで、航空関係の職員が休むことは、空の安全を守ることでもある旨のことを書いた。
しかし判決は過去に休職や欠勤があった職員は「運行業務に対する貢献にあたっても相対的に劣る」としたそうだ。だからそうした人を解雇リストに載せるのは合理的である、と。
また職員の経験と空の安全の関係性については「証拠がない」ともしたそうである。「証拠」・・。「証拠が出てからでは遅いのだ」と話していた人がいた。そうだ。証拠が出てからでは遅い。だから未然に防ぐのだ。
いや、こうした安全性軽視の企業体を私たちは見ている。そしてその「証拠」を見ている。それは以前も書いた。同じ国策企業-当時は国営企業-のJR、鉄道会社各社だ。もう「証拠」は十分ではないか。何人死ねば、どれほどの事故が起きれば「証拠」になるのか。それともこれら鉄道各社の体質と、日本航空は違うとでも?
破綻を演出し、たたかう労働者の排除を目的に、行政と司法と、そして会社が一体となって首切りを進める。
国鉄民営化と日本航空、この気味の悪いほどの一致・・。
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原告団長の内田さんは判決を聞いて「(裁判長の)
白石ヘタレー!!」と叫びそうになった、と言っていた(実際に報告集会の会場でそう叫んでいた)。
誠実に事実を積み重ねると、解雇を無効としなければならない。するとそれは国策企業-日本航空-への反逆になる。国策企業への反逆は、つまり国への反逆になる。それはできない。
じゃあ「整理解雇4要件を認めない」とすると、今度は最高裁への反逆になる。それもできない。
だから会社側の主張のみなぞって、形式的に4要件に当てはまっていたと、苦しい弁解をする。
本当に「ヘタレ」だ。
しかし渡邉裁判長も白石裁判長もよく考えてほしい。あなたは真実を見なかった。何かにおもねいた判断しかできなかった。それが何を意味するか。
それはあなたたちが拠ってたつ、司法制度への反逆を行ったということだ。それを分かっているのか。自分が何をしたのかを。
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たたかっているパイロットも、客室乗務員も、発言はユーモアを交えた楽しいものだった。会場はしばしば笑いに包まれた。
支援してきた裁判で、何度も不当判決を受けた経験のある私は、その打ちのめされるような感覚を思い出し、笑いながらも、少し寂しかった。
一番つらいのは、原告の皆さんだと思う。しかしこの判決で、この解雇撤回闘争が、働く人すべての問題になった。だから私も、自分のこととしてとらえていこうと思う。