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トラブル続きの日本航空に未来はあるか〜安心して働ける職場環境はJALにあるのか [労働運動~働く人たち]

 朝日新聞20日朝刊に次のようなニュースが出た。
 日本航空で、短期間に多くの事故やインシデントが発生し、異例の「安全キャンペーン」を実施しているとのこと。

 朝日では社会面のあまり目立たない記事だったのだが、この記事、実は後追いだ。赤旗18日朝刊の一面は次の通りだった。

120420jal1.jpg

トラブル続発
日航 異例の安全キャンペーン
尻もち事故 飛行中エンジン停止 カート客室暴走


 私は日本航空で多数の労働者が解雇されたことを、何度かここで批判をした。その中で空の安全性について、懸念を表明もした。

 ここへきてJALの中でインシデントやアクシデントが続いていることが、即これら不当な整理解雇が招いたものであると単純には断言できないけれども、しかしJAL内部での職場環境の変化が、こうしたインシデントの続出を招いているとは言えないか。
 明確に職場環境の悪化によるインシデントと思われるものが、この記事の中にある「パイロットが腹痛の薬を服用して搭乗した」ケースだろう。本来であれば搭乗せず休む、いや「休まなければならない」はずが、航空法を無視してでも搭乗せざるを得なかったこのケース。
 JALが、体調不良等で休んだことを理由に、労働者を整理解雇リストにのせたこと・・そしてそれがこともあろうに3月末の判決で追認されてしまったこと・・と、このインシデントは無縁ではあるまい。


事故やインシデントは個人の問題ではない 組織の問題だ

 「ハインリッヒの法則」というものがある。一つの重大事故には、29の軽微な事故があり、300のインシデントがあるという医療関係者にはおなじみの法則。そして医療事故・インシデントにおいては-航空機事故においても、だが-その要因を個人的な問題ではなく、組織的なものとして捉え対策をこうじる。これが医療業界で一般化している対策なのだ。
・・むしろ医療界におけるこうした考えは、航空機事故対応を参考に導き出されたもののはずなのだが・・。
 だからこそ医療の分野においては「インシデントレポート」-職員自身が見聞きしたり体験した、医療事故につながる、もしくはその可能性のある事象を報告するもの-の提出が奨励される。レポート提出が労働者の悪評価につながることは決してないばかりか、そのレポートが多い病院はむしろ評価される。

 さて、こうしたインシデントの続出に、空の安全を守る、最優先で守るという姿勢を日本航空は取り得るだろうか。
 赤旗記事によれば、JAL上層部は「「安全」に対する思いを再認識するために「特別安全キャンペーン」を実施すると述べ、組織長に向けて、不具合事例を自らのこととして考えること、短期間に発生していることを配下と共有し、全社員の力を結集して「安全の砦(とりで)」を守り抜こう」としたそうだ。しかしここからは、個々人ががむしゃらに「気をつける」、それ以外の内容が見えてこない
 不当解雇を筆頭とする会社上層部が発したメッセージ、それによる職場環境の悪化、それらがこのインシデント多発に結びついていないか、といった組織論に踏み込んでいる様子が微塵も見られない。

 私は日本航空、その前途に暗澹たるものを感じざるを得ない。

 今JAL〜日本航空が行うべきは、現場に責任を押し付ける空疎な安全キャンペーンではなく、働く人たちが安心して働ける環境を整備すること、それにはまず不当解雇した多くの労働者を職場に復帰させ、会社が発した誤ったメッセージを撤回すること、それこそが必要であると思う。

 それを今しなければ、遠からず大きな事故が起こる。
 そしてそれが起こってからでは遅いのだ。

 失われた命は、二度と戻らないのだから。

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コメント 4

cheese999

現場で働く人を応援したいですね。
(^_0)ノ
by cheese999 (2012-04-21 20:25) 

Mosel

ジョージさんコメントありがとうございます。
現場で働く人が、無用なストレスで悩まないような職場にしてもらいたいですね。意図せず職場を追い出されてしまった人たちも、元の職場に戻れるといいなと思います。
by Mosel (2012-04-22 08:21) 

ayu15

「無駄」と思われた人がじつはトラブルを事前にふせいでくれたなんていう話もあるそうですね。効率化が極めて重視する環境になってしまったのかもしれませんね。
疑問に思ってもぬけだせないような?
by ayu15 (2012-04-26 20:21) 

Mosel

ayuさんいつもコメントありがとうございます。

おっしゃるとおり過剰な「効率化」はかえって効率化を妨げてしまう。ゆとりのない職場はつらいものです。
ましてやJALは、問題点をきちんと意見してくれる貴重な労働者に的を絞って解雇してしまいました。残されるのは萎縮した労働者と危険な職場だけのように思います。

不幸な事故が起こる前に、人災は未然に防ぎたいものです。原発事故のように。
by Mosel (2012-04-26 23:32) 

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