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矢田部過労死裁判で東京高裁が不当判決 [労働運動~働く人たち]

 7日夜から、やたらと矢田部過労死事件関係でのアクセスが増えて、なぜだろうと思っていたら、なんとこんなことになってしまったようだ。

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 昨年4月、東京地裁で矢田部さんの労災が認められたときに、私もエントリを書いたのだけれど、その後国が控訴したことは知っていた。私には、ここ十数年間における労災関連の判例は、全般的に労働者の労災を認める方向で進んでいるという認識があった。だから高裁での審理も、やや楽観的にとらえていたことは事実。

 しかし裁判はそのような方向では進まなかったようだ。こちらのブログ(労働組合って何するところ)によると、今年の8月に裁判長が交代し、結審が延期。そして変わった裁判長が原告敗訴の不当判決を書き上げたということのようだ。

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過労・病気の因果認めず 矢田部過労死裁判で逆転敗訴 東京高裁(しんぶん赤旗:11月8日)

・・「矢田部過労死裁判」で7日、東京高裁(加藤新太郎裁判長)は地裁での原告勝訴判決を取り消す不当判決を出しました。
 判決は、2カ月以上の連続勤務や長時間の深夜労働を強いられた暁則さんについて、「1カ月当たりおおむね80時間を優に超える時間外労働」や「1日5時間程度の睡眠時間さえ確保できない状況が続いた」とのべ、「著しく過重なものであったと評価することができる」と認定しました。
 しかし判決は、クオーク退職後に暁則さんの血圧や心拍数などを記録した客観的な身体的資料が存在しないと強弁。クオーク時代の過重労働での蓄積披露などがくも膜下出血の原因と主張する原告らの主張を「(血圧など)客観的な身体的資料に乏しく、証明を欠いている。発症と業務の間に相当の因果関係があることを認めることはできない」と、一審判決を覆しました。(引用終わり)

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 そうか!死んでしまったら、死んだ側が「客観的な身体的資料」を提出しなければならないわけか!原告側は医師らの鑑定書や意見書も当然出しているわけなのだが。それは客観的な立場に立った専門家の意見としては認めないというのだろうか。
 これでは誰も救済されない。驚くべき話しである。


 とはいえ東京高裁、この加藤新太郎という裁判官もまた、初めに労災棄却ありきの判決を書くことを求められたのだろう。労働行政の犬として。そのための裁判長交代だったのだろう。

 2009年の川田過労自殺事件高裁判決で、その頃すでに増え続ける労災事案について、局長クラスが労災認定外とするよう通達を出しているとのうわさがあった。そのとき藤村啓という裁判長が出した判決は、それはそれは驚くべきひどさだった。
 こうした労働者軽視の流れは、JALやいすゞ、ホンダなどで相次いだ不当解雇裁判の労働者敗訴にもつながっているものと思う。

 解雇撤回のたたかいと、過労死・過労災害のたたかいは、全く同じものなのだ。

 進歩する流れには、必ず押し戻す反動が存在する。そのせめぎ合いに勝ち抜くことが、労災・過労死をなくしていく流れにつながる。

 がんばろう。
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コメント 4

cheese999

うちの会社も、経営が厳しくて。。。
上司の給料を下げて、若い人たちにもっと十分な報酬と休養を与えればいいのにと思います。

(^_0)ノ
by cheese999 (2012-11-09 23:04) 

Mosel

働く人たちを低い給与で使いつぶすのって、それは経営陣の無能をさらしているだけって思うのですよ。
過労死を出す会社は、恥をさらしていると言うことを、もっと自覚すべきと思いますね。
無理せず頑張ってくださいね。
by Mosel (2012-11-10 07:37) 

ayu15

世の中、ネットを中心に?「規則守れ!!」と厳しく言うのが目につくんですがどういうわけか労働にはあまり行かないみたいですね。


by ayu15 (2012-12-14 10:01) 

Mosel

「規則守れ」は最近本当にうるさくなっているような気がします。メンタリティとして、状況が厳しくなると、「長いものには巻かれろ」的なものが出てくる人がいるんでしょう。
そうすると最後は国家権力に迎合し始めることになる。その流れかと思いますね。

でもそんな人たちって、権力や組織に対して人々を守る法律には無関心なんですね。労働法制なんてまさにその典型ですよ。

まずここを守らせることこそが、自分たちにも一番大事なことなのにね。
by Mosel (2012-12-15 07:41) 

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