日航にいくつかある労働組合、「日航キャビンクルーユニオン(CCU)」が、クリスマスの12月24、25日にストライキを計画しているとのこと。JASの乗員組合が前身のこの組合には、最大手の組合JALFIOと比較して整理解雇対象者が非常に多く、明らかな差別が行われている現状がある。正直なところ組合員はあまり多くなく、ストがもたらす影響も限定的なものとなるだろう。
企業再生支援機構が、組合がスト権を確立するなら融資しないと、あからさまな不当労働行為をちらつかせ、最大手のJALFIOがスト権を放棄する中で、あえてクリスマスにストを決行せざるを得ない・・これは苦渋の選択だったのだと思う。
大手マスコミがほとんど報じない中、共産党は日航の不当労働行為を追求し続けている。いくつか紹介したい。特記ない場合はすべてしんぶん赤旗から。
日航の安全性を危惧 「整理解雇」 操縦士国際団体が要請(11/30)(記事抜粋)世界100カ国以上、10万人を超えるパイロットが加入する国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)は29日までに、年齢や「病欠履歴」を基準とした日本航空の「整理解雇」について、安全性の危惧を表明し、日本政府に仲裁を要請しました。
IFALPAは、日航の「整理解雇」が日本の法律だけでなく、国際的な労働基準も無視するものだと強調しています。労働者を職場に戻し、日航を再生させるため、日本政府に仲裁を要求しています。
原文はこちら(IFALPAのサイトから。PDFファイル)・・
日航の強引な解雇は無効 最高裁判例でも明らか 再建企業でも4要件適用(12/2)
(記事抜粋)日本航空は、経営破綻を理由に、強引な人員削減を行い、それを超過達成しても、さらにパイロットと客室乗務員を「整理解雇」しようとしています。しかし、会社が経営破綻し、再建中であっても、「整理解雇の4要件」は適用され、合理性のない解雇は無効になる―。最高裁で確定した判例があります。山田紡績事件です。・・・裁判は、05年2月の名古屋地裁判決、06年1月の名古屋高裁判決で、労働者側が勝利し、07年3月の最高裁決定で、労働者の勝利が確定しています。
会社側は、一度経営破綻し、会社を再建するのだから、解雇は「やむを得ない」と主張しました。しかし、裁判所はいずれも「労働者に帰責性のない経営上の理由によってされる解雇」であるから「整理解雇法理」が適用されるとし、「整理解雇4要件」にもとづいて有効性を判断しています。
「整理解雇の4要件」では、(1)人員削減がどうしても必要である(2)希望退職や一時帰休など解雇回避努力がつくされた(3)解雇者の選定基準、人選が客観的、合理的である(4)解雇手続きが妥当である―が求められます。(後略)
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最大組合たるJALFIOが犯した犯罪は下記のとおり司法によって断罪されている。
JAL「監視ファイル」断罪判決を報告 リストラはね返す力 客室乗務員ら勝利に感涙・拍手(10/30)
JAL監視ファイル事件は、東京地裁で行われた28日の判決で、日本航空の客室乗務員約1万人の個人情報を会社と一体に収集していたJAL労働組合(連合・航空連合加盟)の人権侵害が断罪されました。勝訴した客室乗務員たちは、判決を生かして、「自由にものが言える職場」を取り戻そうと誓いを新たにしました。
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そしてJALは本当に経営危機だったのか?
日航側、経営危機でも献金 2250万円自民に 07~09年 融資決定直後にも(12/3)
「整理解雇」の強行を計画する日本航空(会社更生手続き中)の子会社が経営不振にもかかわらず、2007年~09年に、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)に計2250万円の献金を行っていたことが2日までに明らかになりました。09年分の献金は、日本政策投資銀行(政投銀)が日航に670億円の融資を決定した直後に行われました。融資にからんで、当時の自公政権が「支援宣言」を行った経緯があり、献金との関係が注目されます。(後略)
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こうした動きに対し、私のエントリでも他の方のBlogでも、「解雇は当然」というような意見を書き散らす人がいる。朝日新聞の社説のように、日航は破綻したのだから整理解雇もしなければならない、というような論調も目立つので、そうした意見を無知と嗤うことも単純にはできないかなとも思うが。
しかし日航破綻の原因は何だったのか、海外各国の航空会社が破綻したのと何が違うのか、その点を真剣に検証し、責任を追及する動きは少ない。たとえ破綻したとしても、倒産したとしても、再生・更生した会社だとしても、解雇は最後の選択肢としなければならないことは判例からさえも明らかだ。
その理由をここで書き連ねるつもりはない。先人たちが、無法状態だった労働環境を、時に血を流しつつ改善してきた結果が、これだからだ。知らぬのなら学ぼう。学びの敷居は(この記事を見られるような人ならなおさら)低くなっているのだから。
責任をとるべきものがふんぞり返り、汗水垂らして働き、空の安全と快適な運行を守り続けてきた労働者がやめさせられる。これは経営破綻の実質的な責任を働く人たちがとっているのと同意ではないか。こんなことは断じて許されてはいけない。
「ストをやめろ」とか「解雇は当然」と放言するのではなく、働く人たちが足を引っ張り合って沈みあうのではなく、お互い手を取り合って幸せになる社会。誹謗中傷を繰り返す人たちであっても、そんな未来を共にできればと思う。
自らの首を絞めあうのではなく、ともにたたかい幸せになる世の中をつくれれば。