- 雑想
春先には、毎年こうして見事な花を咲かせる
スモモの木を庭に植えて10年。初年度はアブラムシが大発生して、この木もひからびてしまうところだった。
台風で倒れてしまったけれど、近くにオリーブの木を植えていたとき、先に植えていたはずのこの木は、小さなままで貧相だった。
いっそ切り倒そうかと思ったくらい。
けれどオリーブが倒れてからは、この木はすくすくと成長し、毎年春先にはたくさんの花を咲かせるようになった。高さは二階の窓にまで達し、大きく張り出した枝は、夏場の格好の日よけになった。
けれどそこまで大きくなっても、不思議なことに実はできなかった。
ソルダムは栽培が難しいんだと
後になって知った。スモモ、特にソルダムの栽培は農家でも難しく、なかなか結果しないんだそうだ。もちろん単独では実をつけず、たまたま家の近くにスモモの木があって、それが花粉を運んできたようだ。
他にもいくつか実がついている
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私が現住地に移って、もう10年たった。同じような世代が移り住んでいるから、同じような世代の子どもたちがたくさんいる。日曜毎に外ではしゃぐ声も、ずいぶんと質が違ってきた。小さかった近所の子どもが、すらりと背を伸ばし、もう声変わりさえしている子もいる。
この木を購入した店もすでになくなって久しい。
いずれは今日のことも、懐かしく思い出す日が来るのだろう。
こうして、ゆっくりと、年をとっていく。