会社に限らず、組織というものは、利害関係がぶつかったときに、そのどちらかを優先させざるを得ない場合がある。どっちも正しいんだけれど、組織の今後を考えるにあたり、どちらかに不利な状況を飲んでもらうことがある。

 そのワリを食わされる側、つまり妥協しなければならない側に、いかにして納得してもらうか。非常に難しいことなのだが、その対処の方法こそが、その組織の力量を端的に表すと言えると思う。


 以前フェアプロセスについて記した際、その中でふれた論文に、裁判で十分な審議が尽くされたとその人が感じた場合、敗訴したとしても、裁判への満足度が高まると言うことが書かれていた。

 厳しい意見や不利な状況を甘んじて受け入れる、そんな人に対して、組織は最大限の敬意を表さなければならない、これまで私が経験してきた多くの事象から、そう思うのである。

-----
「正しい苦言の呈し方」(原題:A better way to deliver Bad news:Manzoni,2002)