ヤガラという魚を捌いて食べる

　これは、何だろう。


60cmくらいはあります

　これはヤガラ。赤ヤガラ。

　近所のスーパー、鮮魚コーナーで珍しくも売られていた。しかも800円。
　ヤガラは沖縄などをダイビングしていると、比較的よく見られる魚だが、食べると非常に美味しいということを10年ばかり前に知った。
　関東のスーパーで売られているのを見たのはこれで３回目。全く見かけない。

　目の位置が変なところにある。眼から先は細長い口。これで小魚などを吸い込んで食べるのだ。海で見かけると、口をパクパクしながら大体２匹くらいでゆったりと泳いでいる。海の中で見てもヘンテコな魚だなあ、と思うが、鮮魚売り場で見るとなおヘンテコに見える。
　買ってきて、捌く。

　レジ係の中年女性が「これは何ですか」「どうやって食べるんですか」なんて言っているので記事にする。ヤガラは美味な魚なのだ。

ヤガラは基本刺身

　ヤガラは白身の魚で、写真の通り筒状の体をしている。まず頭を落とすのだが、頭の後ろは長い骨になっていて、通常の魚のようにエラの後ろあたりに包丁を入れても、まず硬くて落とせない。そもそも頭から後ろは長い腹部で身がほとんどない。
　こんなに長い魚だが、可食部は全長の半分ちょっとほどしかない。


背開きにした状態。可食部は全長の半分といっても、まな板にのりきらないほどに長い

　筒状の魚なので、通常の三枚おろしではなく、ウナギのように背開きにする。骨はこの大きさにしてはやや硬め。それでもあまり苦にはならないだろう。身は弾力があってプリプリしている。
　皮を引く。皮の身離れはすごくよく、切り身の端の皮を手でつまんで、ゆっくり、一気に引きはがす。


皮を剥がした状態。身は左右に二つに分かれる

　さて、どうするか。この手の魚はやっぱり薄造りであろう。身に小骨が残っているので、骨抜きであらかじめ取っておく。あらかた取り終えたら、柳葉を使って斜めに薄く切っていく。


IKEAで買ったオリエンタルな皿に盛りつける

　薄造りはやっぱり、箸で一気に４，５枚ごそっとつかみ、まとめて食べるのが一番よろしいのでは。白身だが肉食魚なのでしっかりとした味わい。やはりうまい。
　なかなか食べられないので、貴重な旨さが格別だ。

　肝も取れた。ヤガラの肝はカワハギと同じように珍味なので、捨てずに酒蒸しする。あ、酒がない。みりんで軽く煮る。これをおろしと醤油でいただく。これもまた美味。

　今回は刺身だが、ヤガラは焼いても結構いけるのだ。以前小さなヤガラの切り身が売られていたので買ったのだが、小さくて刺身はとても無理。塩焼きにするとこれも美味しい。

　家族はヤガラのグロテスクな容姿に圧倒されていたが、実際に食すると味はいいのでパクパク食べる。量が多いかなと思っていたが、すぐになくなってしまった。

その後のスーパー

　ヤガラを買った件のスーパー。１週間後に行ってみると、またヤガラを売っている。こないだ私がすぐに買ったから、気をよくしてまた入荷したのか。サイズも同じだ。しばらく悩んでまた買った。
　すると別のレジ係、ベテラン女性。

「これは・・魚、ですか？」

　なんて言っている。
　そう、魚ですよ。美味しいんですよ。

　と、返事する。

　もっと定期的に入荷してくれれば、うれしいな。