クラウドファンディング(CloudFunding)というものがある。実験的なプロジェクトを公開し、有志を募ってお金を出し合い、プロジェクトを成功させるというものだ。
世界的には
Kickstarterなんかが有名でいくつか支援したいなあ、と思うプロジェクトがあるけれど、基本英語なので若干敷居が高い。しかも昨今は安倍政権の円安誘導政策のせいでますますドル建ての品物が買いにくいし、物価は上がるは倒産する会社が続々出るわで・・まあ話がずれるのでこの辺で。
で、このクラウドファンディング、日本にも
READYFOR?などいろいろある。
そこで私もひとつ参加してみた。私の選んだサービスは
「Makuake」。支援した(というより「買った」)プロジェクトは独自デザインのLED電球を製品化したい、というプロジェクト「Siphon」(サイフォン)。
このプロジェクト、Makuake史上4番目に資金を調達し、昨年12月に生産開始、そして1月半ば、私のところにも製品が届いた。4個セットで1万円。今時1つ2500円のLED電球。どうだろうか。
段ボールを開梱したところ みっちりと4個のLED電球が入っている。私が頼んだのは「エジソン型」のE26タイプLED電球。これが一番人気だった(他にも2種類ほど商品がある)。
要は「普通の電球ソケットで使える、エジソンが電球を発明した頃に作られていた頃の形状をした、LED部分もちょっとその頃のフィラメントっぽくした、LED電球」である。LED電球なので、電球内部は真空ではない。
箱もデザインがちょっとおしゃれクリーナークロスときれいな説明書もついてきた おしゃれなパッケージ、クロスと説明書。これは資金を潤沢に集められたからこそのおまけなんだろうと思う。「成功した!」という雰囲気がバリバリだ。
電球。フィラメントを模した部分にLEDがたくさんついている 昔の、発明当初試行錯誤していた時代のフィラメントをイメージした発光部分。ここがこの製品のキモだ。このデザインで電球のレトロさと格好良さを引き出している。そしてそれは間違いなく成功している。
どこで放熱しているんだろう このLED電球、普通のLED電球にある直交変換部分と放熱部分がない。一般的なLED電球って、金具の根本の部分が熱くなる。ここで交流電源を直流に変換するから、そのために熱を発するんだけど、このSiphonにはそれがないんだ。どういう構造なんだろうとちょっと不思議になる。
実際に使用して暖まる部分を探してみると、電球のLED部分の上がほんのり暖かい(横置きにして使うと発光部分の上が少しだけ暖かくなる)。LEDを分岐させている部分で、直交変換などの役割をしているんだろうか。たくさんの省電力低輝度LEDを使って、電力量をすごく下げているからこんな事ができるのか
フリッカー? この電球、使っていると気付かないが、写真に撮ろうとカメラの液晶画面を見ると、画面にスジのような影が映る。昔のブラウン管型テレビを写真に撮るときれいに写らないのだが、それと似たような感じ。
ブラウン管は走査線といって、画面表示を数十分の一単位で上から下へ書き換えているから写真にきれいに写らないんだけど、このLED電球もそのように、非常に細かく明滅しているのだろうか。
実際に使う時にはならないが、他のLED電球ではみられない現象だ。もしかしたら、気になる人には気になるかもしれない。
オシャレ電球の未来 このLED電球、非常に良いコンセプトの製品だが、電球型ソケットをもっている照明器具は、ずいぶんと少なくなってしまった。私の自宅にはE26型のソケットは4個しかなく、1つをのぞいて、おしゃれなシェードに完全に包まれている。
つまり、この電球の良さを発揮する環境が、ほとんどないということなのだ。
それは当然だ。そもそもデザインの良い電球が、これまでほとんど存在しなかったのだから。デザインの良い電球を作るということは、「電球を見せる」器具が必要で、その器具があってこそのSiphonなのだ。
もっとも、このようなニッチな市場を開拓するからこそのクラウドファンディングなわけで、そしてそれが成功したという現実は、そこに一定の需要があるということなのだろう。
バーなどではあえて裸電球をそのまま使った照明を使っているところもあるし、そんなところでは電力消費量も大きいだろうから重宝がられるだろう。セレクトショップやネットショップなど、この手の電球を使ったレトロな雰囲気をウリにした照明もなくはない。
ただそれこそ非常にニッチな市場と言えなくもない。
今後、持続可能性のある事業として、このような「オシャレ電球」市場を広げるには、ぜひ器具とセットでの市場展開が必要かな、と思ったりもする。その「器具」を加えた、トータルでのデザインおよび価格が、市場を広げるには重要かな、とも思わざるを得ない。そんなことを考える。
・・気になるのは、つい最近、ネットで準大手の企業が、似たようなコンセプトのLED電球を発表していたんだなあ。クラウドファンディングで出たプロジェクトを、大手がかすめ取るようなマネは、絶対にしてはいけないよなあ、と考える。
クラウドファンディングでの製品化、今後も応援していきたい。