会場から、人工島のマンションを見る

 神戸で開かれた表題の大会に参加する。演題も出していないし、発言もしなかったので参加しただけ、なんですが。
 2007年の大会も神戸で開かれ、あの時はポートピアアイランドだった。今度の会場は同じ人工島の六甲アイランド。


六甲アイランドから六甲ライナーで本州へ

 いつもだと全体講演に参加することが多いのだけれど、今回は意図して一般口演になるべく参加するようにした。
 システム運用でとびきり驚いた演題が二つあった。

人にはきちんと金をかけないと流出しちゃいますよ

 金沢大学附属病院。
 フリーソフトなどを用いて低予算でシステム管理を実施していた。
 この病院は、割と最近まで情報システムのセキュリティ対策がきちんとなされておらず、セキュリティインシデントが頻発。ネットワーク構成や機器構成などが把握されておらず、その点から手を付ける必要があった、というような報告だったように思う。

 私が今の職場に赴任したときと似ているなあ、と思う。ただ規模(病床数や業務量、想定される職員数などから比較)がウチの10倍近いんだけど。
 中小病院ならともかく、大病院でもこのような体制がほんの数年前まであったことは驚きだった。システム管理にフリーソフトを多用しており、コスト意識と技術が相当高いことが伺えた。座長からも同様の指摘があったが、相当苦労されたんだと思う。

 システム管理は金をかければ割と何でもできるんだけど、コストとの関係でなかなかやりきれない部分も出てくる。その辺を技術力でカバーするというのは、純粋にカッコイイ話だ。

 鈴鹿中央総合病院。
 情報システムを半年でリプレース。それもすごいが、そんな短期間でオーダリングシステムから電子カルテへの移行をやりきったとのこと。2013年にサーバーの保守期限切れから、システムリプレイスを迫られたことが発端のようだ。
 当然ノンカスタマイズ導入。各部署やワークグループでミニリハーサルを多数実施。旧システムからのデータ抽出と移行作業については院内情報システム部門で実施。

 一番驚いたこと。この情報システム部門が、たった2名だというのだ。460床の大病院。どんなに少なくとも7~8名は必要ではと思う。しかも1993年から稼働しているオーダリングデータを、この2名で移行作業を行っている。そんな中で職員に対しても、ずいぶんときめ細やかな対応をしており、座長が感心していた。

 私も感心した。というか驚いた。
 手前味噌ながら、私は一人で病院の情報システムやら医事業務やらをしていて、出入りの業者や他院の人たちに感心されることが多々ある。けれどこの二つの事例には素直に脱帽。上には上がいるものだと思った。
 感心する一方で、彼らの苦労も察したい。私も似たような状況で働いているからこそ、彼らの苦労と努力が、どれほど大変かということが具体的に分かる。
 現場で、あり得ない体制で身を粉にして働いている人々、そんな人にきちんと報いるような職場であって欲しいと思う。鈴鹿や金沢は、そのような病院になっているだろうか。便利で、「できる人」がいるからと、情報システム部門をほったらかす、よもやそんな病院ではないだろうか。