メガーヌの車齢が９年を超えた。私がこれを手に入れてから５年と半年。３度目の車検である。
前回の車検でディーラーから、タイミングベルトの交換を勧められていた。このベルトが何らかの理由で切れたりすると、エンジン全損となってしまう。ただ、一般的な日本車は10万kmか10年で交換なのに、当時車齢７年程度、走行距離２万３千kmで交換を勧めるとは、まだ早いんじゃないかなあ、と思ってそのままにしていた。
それで今回の車検、ディーラーから見積もりが届いた。タイミングベルト交換だけで約15万くらいの金額が書かれていた。車検整備と合わせ30万円を優に超えてしまう。どうしたものか。
今や私のメガーヌは、中古販売価格で30万円だからなあ。
欧州車のタイミングベルトは早めの交換を 以前から、そろそろディーラーさんから離れて、近くの整備工場にお願いしてみようかな、と思いつつも、じゃあどこにしようかと思案していた。そういえば以前付き合いのあった人から、国立市にいい店があるよとの情報があったのを思いだし、国立六小近くのお店に連絡してみる。そこは口コミで客を募っており、ウェブサイトも宣伝もしていないところなんだそうだ。
電話をして、その店を知った経緯などを話すと、大変喜ばれた。
到着してすぐにボンネットを開け、ジャッキアップをして車の様子を見る。私も一緒に見る。そしていろいろと説明を聞き、こちらの要望を伝え、作業を開始してもらう。
カプラにコンソールを接続して、状態も見てもらう。
いろいろ話をして、こちらの要望も言う。タイミングベルト交換もあり、部品を発注する関係で、車検には時間がかかるとのこと。
代車として三菱のekワゴンを借りて帰る。小さな軽自動車だが、この工場であちこちいじっているようで、きびきびと走る。
20万円かからなかった
５日ほどで車検は終了。タイミングベルト・ウォーターポンプなどの部品は国内在庫があって、ほんの数日で届いたとのこと。車検を通してもらい、部品の交換とオイル交換をする。
メガーヌのエンジンルームは狭くて、タイミングベルト交換に大変苦労したという話をしていた。
交換した部品を見せてくれた。タイミングベルトは細かいヒビが無数に入っていて、いくつか大きなものもあった。「このタイミングで交換して良かったですね」と言われた。言われたとおり、確かにあと１年も走れば切れていたかも知れない。そしたら、よっぽどのことがない限り廃車だ。
ルノーに限らず、欧州車のゴムやプラスチックなどの部品は、日本車よりも劣化しやすく、早めの交換がいいのだそうだ。ディーラーが言っていた「タイミングベルトは７年で交換」は、あながち間違いではないということか。
支払いの段になって金額を聞く。税金等の諸費用込みで17万ちょい（店の取り分は12万円ほど）。安い。確かに20万はかかりませんよ、とは事前に聞いていたが。
これでも「チタンオイル」という、ちょっと熱に強いオイルを入れてもらっている価格だ（チタンオイルは約５リットルで２万円）。
明細を見ると、タイミングベルト交換に関する部品一式で３万円くらい。工賃で同じくらいの額がかかっていた。以前はディーラーでもこれよりやや高いくらいで交換を請け負っていたらしいけれど、今では違う。おそらくタイミングベルト交換ともなると車齢もそれなりになるから、高額の交換費用を設定して、新車への買換えを誘導しているのだろうと思う。
中古車天国の日本という国
かつて－20～30年ほど前－自動車は、５年で査定額がゼロになっていた。５年以内に買い換えないと損をしますよ、ということだ。そんな時代はとうに過ぎ去り、他の工業製品と同様、自動車も品質が格段に向上した。５年で買換え、10万kmで廃車なんてことはしなくて良くなった。
欧州では10万kmを超える走行距離の中古車が、結構な高額で売られていると聞く。日本ではそんな車はゴミ扱いでほとんど値段はつかない。実は走行距離約３万kmの私の車も、査定会社によっては値段がつかないんだそうだ。
日本の会社が設定する新車買換え誘導政策は、結局のところ中古車の価格低下を招き、結果として品質のいい安価な中古車があふれる状況をつくり出した。これは良いことなのか、それとも悪いことなのか。私には判断がつかないが。
いずれにせよ、私は気に入っているこのメガーヌに、あと何年かは乗り続けることになると思う。