歓迎の横断幕は初めて見たような 11月半ば、表題の学会に参加。場所は新潟市。
医療情報技師の10年 今年は医療情報技師認定事業が始まって10年ということもあり、初日は多くの時間を使って医療情報技師に関するセッションが行われた。
学会認定資格で私もその一人である医療情報技師。知名度は未だそれほど高くはない。けれどNECなどのベンダは確か技師の取得が、社員のキャリアパスの一環となっていたはず。そんなわけで医療機関よりはベンダの資格取得者が多い状況になっている。それは今でも変わらない。
医療情報技師は5年の更新制になり、これまで13000人くらいが認定されているのだけれど、そのうちざっと3000人くらいは更新をしていないようだ。そんな話を聞いて、ふと私と同年度に取得した顔ぶれを思い出し、アイツとアイツは更新してないだろうなあ、とか思う。
資格取得から5年も経つと、同じ仕事をしているとも限らないし、この程度の失効者は想定の範囲内だろう。
各地に医療情報技師会ができつつある 各地域での医療情報技師会の取り組みについても報告がある。現在稼働している技師会は、関東と関西。北陸(中京)、北海道、九州・沖縄はまだ活動が緒についたところ。大都市圏の関東、関西は人が集まりやすいけれど、北海道や九州は広くて参加するのが大変とのこと。北海道に住んでいた私にはよくわかる。あの頃と比べて、国鉄が大幅に路線を廃止してしまったものだから、ますます移動はしにくくなっていると思う。
ともあれ関東や関西でも、運営はボランティア的なものなので、業務のある中で運営していくのは、なかなか時間が取れないとも話していた。私も今年から
関東医療情報技師会には参加するようにしているけれど、運営は大変そうだなあと思いつつ、いつも優れた企画を用意してくれる皆さんに、感謝しています。
医療情報技師はより必要な存在になり得るだろうか その後の交流会では、今後の医療情報技師はどうあるべきかという点についていろいろと討論する。やはり医療情報技師の認知度を上げるには、何が必要なのかということを話す人が多かった。
診療報酬算定や病院機能評価の要件に医療情報技師を加えるとかいう即物的な意見が多いけれど、確かにそれはその通り。公定価格の医療業界において、特別な人員を配置するのに診療報酬の基盤がなければ、経営層はおいそれとは動かない。
今や看護協会の認定看護師でさえ、診療報酬算定要件になっているのだから、いい加減
医療情報に関する何らかの要件を、医療情報技師とセットで、国は定めるべきではないのかなあとも思う。
このBlogの
「医療情報技師の更新」でも書いたけれど、いい加減な情報システム運営体制は、医療の安全性にも危害を及ぼすものなのだから。それもきわめて広範な分野に。だからむしろ私は、
中小病院にこそこうした医療情報技師が必要なのではないかと思うわけだ。
病院機能評価については、評価機構の方もパネリストとして参加されていたので、来年の病院機能評価の新バージョンで、もっと突っ込んだ要件となることを期待したい。
それまでは、地道に、自分のやれることを着実にやり続けるだけだ。
医療情報の統一番号制は納税情報などと分離されることが明確になった この間興味を持って参加している、EHRや患者情報の管理についても、新しい知見が得られた。
ちょうどこの頃は、衆院が解散されたばかりとあって、マイナンバー法などが審議未了で廃案(継続審議かも)。この法律は医療情報の広域連携やEHRなど推進する上で重要なのだが、またこれらの歩みが遅くなる。演者の皆さんは「あと一年検討する余裕ができた」と前向きにとらえているよう。
その中で今まで明確にしていなかったと思うのだけれど、EHRなどの医療健康情報を管理するためのID-国民一人一人にユニークに与えられる番号-、これについては明確に、用途に応じた別々のIDが作成されるとの言葉があった。つまり医療情報と納税情報や住民情報など様々なIDを別々に作成される、医療は医療で単独のIDとなるということだ。
昨年の学会のことを書いた記事で私は「EHRを運用しているオーストラリアにおいては、EHRは「医療にしか使わない」ことを明確にして、ようやく国民各層の合意が得られた・・このオーストラリアの事例は、今後EHRを推進する上で、貴重な教訓となり得ないだろうか」と書いた。私ごときが書く程度のことは、この学会でいろいろ検討されている皆さんにとっては、もう織り込み済みだったと言うことなのだろう。
こうして明確にしていただけると、私も少し安心だ。今後も状況の推移を見守っていきたい。
さて、来年は神戸。再来年は千葉。いつまで参加できることやら。