先月に更新した電子カルテは、現場から大変評判が悪い。

 機能面ではずいぶん向上したように思うのだが、あまりにタイトな導入スケジュールだったために、既存業務の継続を主眼として導入計画を構築したから、現場には機能向上が見えない。だから今までとの違いをことさらに鮮明にしてしまう・・これはやむを得ないんだが。新機能を使っている部門では、おおむね良い評価をしてもらっているのだが。

 評判が悪いのは、処理速度が落ちたからだ。今まで数秒で表示された機能が、更新後は約60秒もかかる。ある程度予想されていたことだけれど、予想を超えたレベルに現場はフラストレーションを抱えていた。
 私はといえば、「必ず何とかする。4月の半ばまでに目処をつける」と宣言して、何とかそれまでに対応するよう調整してみた。・・別にそんなことを言う責任はないんだけれど。

 ま、実はこんなことを公言できたのは、サーバーのパフォーマンスチェックをして、おおよその原因を確定させていたからだ。原因確定できれば、対策はいくつか出せる。その対策が現実的だったからということだ。

 その対策、ネックになっていたのは、ベンダが作業しなければ解決できず、そのベンダがなかなか来院してくれないことにあった(いろいろ契約やらソフトの管理やらで、私たちが勝手にやっては問題が発生したときの責任が曖昧になるからだ)。

 ようやくベンダが今日対応した内容は
・問題となっている処理のSQLを最適化した
・・これによる処理速度の改善は25%程度だった
・データベースへのメモリ割当てを増加させた
・・処理速度はさらに25%改善した

 そんなわけで、費用もかけずに処理速度は倍になり、かつ処理内容によっては10倍近くも改善した場合もあった。原因が予想していたとおりであり、かつその対策によって改善が実感できるほどの結果が得られたというのは、実にうれしいことだ。この忙しい中、システムテストを行ったり、解析内容をもってベンダをせっついて対策させたかいがあった。

 あとは現場からの評価を聞き、最終的な判断をするまでだ。といってもこれ以上のパフォーマンスアップは、サーバーのスケールアップを行うより他ないのだが。

 こうして対策が成功すると、自身のレベルがそれなりに上がっていることを実感する。やっぱりシステム管理についての勉強を不断に進めていることが、座学なのに、意外にも効果を上げているってことなんだろうか。