数週間前から./-J(スラッシュドット日本語版)などで話題になっていた寝耳に水の問題がある。「電気用品安全法」とやらがそれだ。
知る人ぞ知る話題になっていたこの件が、とうとう共産党の「赤旗」が-しかも一面トップで-報道した。「赤旗」といえばかつて内閣官房機密費問題をすっぱ抜き、最近では冷蔵庫の「省エネ偽装」問題を暴いて消費電力○分の一なんて宣伝を止めさせた新聞だ。その記事にはこうある。
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「電気用品安全法」で、中古の電気製品の販売が四月一日から禁止されようとしています。これが強行されると、リサイクル店や楽器・オーディオ店、質屋、骨とう品店などが、倒産の危機に――。「これでは商売がやっていけない」と、関係業界に怒りの声が広がっています。また今月に入り、大手リサイクル業者や楽器店などで買い取りを中止するところもでているため、消費者側にも影響がでています。
四月一日から中古製品で販売禁止の対象になるのは、電気便座、電気温水器、自動販売機、テレビ、冷蔵庫、洗濯機や直接交流電源に接続する電子楽器、音響機器、ゲーム機器など二百五十九品目です。(引用終わり)
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って電機製品全部(笑)。これじゃ「電気用品ゴミ化法」だよ。早速記事にある「全国展開する大手リサイクル業者」と思われる「HARDOFF」に調査に行ってみると、
その通り2/11から「電気用品安全法」の基準に当てはまらない商品は買い取り不可の上、在庫は軒並み割引価格となっている。McIntoshやLuxmanのアンプ、BOSEのオーディオセットまでもが。ACに直結する電源内蔵の製品すべてが事実上該当するようで、多くがACアダプタを利用するゲーム機は対象外のよう。しかしパソコンはたいがい電源内蔵だから、これじゃ全滅だぜ。
-PCはCNETの記事によると対象外のようだ(2/22記)
思うに今後下記の通り3つの問題が発生するだろう。
一つ-機会の著しい減少;この手の店には掘り出し物がまれに現れる。また売れるかどうか分からないけれど、とりあえずストックして安価に展示している品も多くある。そんななかに(主に店員の無知からくる)珠玉のものが現れるというわけだ。
この手の業界が縮小することで、確実にその機会は減少する。
二つ-流通経路の崩壊;ネットオークションが隆盛で、珍品・奇行品はたいがいそこで見つけることができる。しかし多くの人はネットオークションなどでは物品売買を行わない。だからとりあえず換金できる、こういったショップが大きくなる。またこれらの業者は企業等から廃棄された産廃を回収して商品化しているフシが見受けられる。この中には当然掘り出し物も存在する。
これら所有者の無知からゴミと見なされた立派な商品が、商業ベースに乗る可能性が著しく減少する。
三つ-リサイクル店のストック廃棄;今現在多くのリサイクル業者が、これまた多くの「電気用品」を確保し、商品化し、店頭に陳列するかストックとして保存している。これがこの愚かな法律によって商品化できないのであれば、産廃として廃棄せざるを得ない(物品の保管にはコストがかかるのは当然の理)。
これら多くの「お宝」が、商品化できないという理由で廃棄される可能性が高い。特に安価なものであればなおさら。
99年成立で01年施行。そして猶予期間が最短のもので5年あったというが、業界すらほとんど知らなかった、まして電機関連に少なくとも一般人よりは詳しく、民法の知識もある程度備わっている私も全く知らなかったこの事態。記事のとおり周知徹底のあまりのお粗末さ-官報に告知し業界にパンフを配布しただけ(朝日2/18付夕刊)-は問われないのか。ここ数年、不況と格差社会を象徴するかたちで成長したリサイクルショップの皆さんには死活問題となるこの状況。リサイクル業界には全国展開している大手のショップもあり、また行政の不備も大きい。たたかうことで展望が切り開ける状況と思うのだが如何だろうか。
もう時間はない。周知徹底がお粗末だと行政が認識しているのなら、直ちに執行を停止すべきであろう。省エネ偽装を止めさせた共産党の力量にも期待したい。朝日も報道しっぱなしではなく、ジャーナリストの矜持としてキャンペーンを行ってもらいたい。
コメントの方の情報を元にいくつかTBをさせていただいた。伏して感謝申し上げる。