さて、最近「オルタナティブファクト(alternative facts)」とか「ポスト真実(post-truth)」
(*)なんて言葉がはやり始めたらしい。
北米合州国大統領になったドナルド・トランプとその取り巻きが、その就任式に集まった人たちがあまりに少ないことを写真入りで伝えた報道機関への批判として使ったり、EU離脱でもめている英国の、離脱派が使った数値があまりにもでたらめだったということなどがそれに当たるんだそうだ。
(*)「post-truth」を「事実の軽視」としている方がいた。こちらの方がよっぽどいい訳だと思った次第。「上級英語への道」(tempus fugit さんのBlog)
言葉でごまかしているが、要は「ウソ」だ。ウソをつく人々がこんな言葉で自分を正当化-出来ていないけれど-しようとしていることのようだ。
ネット社会では、あまりにも多い情報が、あっという間に拡散し、そして忘れ去られていく。だから情報の検証をしようにも、すぐに記憶が風化され、トピックとしては古くなっていく。そんな社会に「ポスト真実」という「ウソ」は親和性が高い。
そして「ポスト真実」や「オルタナティブファクト」は、ドナルド・トランプが選挙戦で使ったように、ファラージがEU離脱の投票で使ったように、そして日本では、安倍晋三が連日のごとくまき散らしているように、右派、というよりネット右翼系の言質と親和性が高い。
なぜか。
ネット右翼系は真実に対して誠実ではない。ウソを平気でつく。恥も外聞もないので、そうしたウソを大量に拡散する。そして「真実」をウソで埋め尽くす。
沖縄の反基地運動を検索すると、ウソの情報が山のように出てくる。基礎知識がないと、なかなか真実にたどり着けない。
これがネット社会の現実なのだ。誠実に真実に向き合おうとすると、時間がかかる。時間がかかるということは、情報発信量に差が出ると言うことでもある。
この現状を右翼系の政治が利用するという、現実がやってきた。そしてそれは無視できないレベルで世界に広がった。
冒頭の「ニュース女子」はまさに「ポスト真実」とか「オルタナティブファクト」と言うものを体現しているもので、ここまで極端にやったからこうして問題になっているのだけれど、ネット社会ではこれが当たり前で、ネット社会を常に気にしより所にしている安倍晋三が日々言い散らしている言葉は、一昔前なら政権の一つや二つ飛んでもおかしくないレベルのもので、日本の言論状況が深刻な状態に陥っていることの証左でもある。
SLAPP訴訟で恫喝するのとネトウヨ番組を制作する根は同じか さて、この「ニュース女子」。制作しているのは化粧品などを販売しているDHCの子会社であった。赤旗以外では当初あまり報じられていなかったようだが。
DHCと言えば、旧「みんなの党」代表だった自民党2世議員の渡辺に多額の献金をしたあげく、週刊誌に恨み辛みを言い連ねた吉田氏が会長をしている会社である。
この吉田氏、上記の件で自身を批判したブロガーや記者を名誉棄損で訴え、高額の慰謝料請求をしていることでも有名だ。
これを
スラップ(SLAPP)訴訟という。名誉回復とか賠償とかは関係のない、そもそも勝ち目のない訴えを、資力に物言わせ押し切るもの。その目的は多様な言論を萎縮させること。かつてサラ金で悪名をはせた武富士が常套手段としていたもの。
いつも参考にしているBlog
「澤藤統一郎の憲法日記」の澤藤弁護士も、この被害に遭われた一人。澤藤弁護士は昨年見事に最高裁で勝利し、先日その報告集会が行われ、私も参加した。
そのとき思ったのは、気に入らない意見を敵視して、高額の慰謝料請求で事実上の恫喝を行うことと、偏向した思考を嘘で塗り固めた「ニュース」として作成し、多くの株を保有しているTV局で垂れ流す、この両者には何か共通している。
金に飽かせて一方的な主張を垂れ流し、反対意見を抑圧する。この両者は同根だ。金さえあれば何でも出来るかのような、道義的退廃。似たような輩は他にもいる。
新年早々こんな話題。社会が狂い始めているのをまざまざと感じる。がしかし、上記報告集会ではDHCを、武富士のように倒産に追いやろうとの意見が聞かれた。武富士は確かに消えたのだ。DHCのみならず、ウソで世論を惑わす輩を、ともに排除していく理性を、私たちは持つべきではないだろうか。
*もう1月末なので、新年のご挨拶は控えます。なかなか文章が書けなくなりました。