沖縄でオスプレイが墜落した。
空中給油中のミスで、ローターが破損。コントロール不能になって墜落した模様。
パイロットは全員脱出し死亡はなかった。兵員輸送中ではなかったため、事なきを得たようだ。
墜落地点は大浦湾の浅瀬、一番近い民家からわずか300mとのこと。
宜野湾市の普天間基地。オスプレイが見える。この中のどれかが墜落し、どれかが胴体着陸したのかもしれない。 報道から見ると気になる点がいくつか。
この機体は、かなり慌てて飛行していたようだ。空中給油用のプローブが伸びっぱなしで墜落している。普通は引っ込めるから。
エンジンは巡航モードのままだった。この状況での不時着は、間違いなく機体の破壊を意味する。この機体のローター破損は、ホバリングモードにすることも出来ないほどの不安定さだったのだろう。
そしてコクピットのドアが開いていた。おそらく不時着を狙って墜落大破後に、パイロットらが脱出したのだろう。この位置から空中で脱出することはまずない。ローターに巻き込まれるから。
通常の機体であれば、片側エンジンの破損程度ではなんとか着陸できる場合が多いのだけれど、オスプレイはそれが出来ない。
そもそも巡航状態のままで着陸は出来ないから、最終段階でホバリングモードに切り替える必要があるのだけれど、片側エンジンのみではそれができないのだろう。不時着しても大破は免れず、普天間や嘉手納基地に不時着すると一定期間基地の運用を停止する必要があるから、キャンプシュワブにほど近い、大浦湾の浅瀬を狙ったのではないかと私は思う。
陸地に向かえば沖縄県民を危険にさらす、という気持ちがあったのかどうかはわからない。たぶんあったのだろうと思いたいが、宮森小学校墜落事件(1959年)や横浜ファントム墜落事件(1977年)や、今時事故後の四軍調整官ニコルソンの態度から見て、優先度はどちらだったのかについての疑問はある。
沖縄「植民地意識丸出しだ」 オスプレイ抗議に米軍激怒(朝日新聞2016年12月15日) 事故から一夜明けた14日。沖縄県の安慶田(あげだ)光男副知事が、米軍キャンプ瑞慶覧(沖縄県北中城村など)を訪れ、事故への抗議文を読み上げた。
安慶田氏によると、その際、在沖米軍トップで第3海兵遠征軍司令官のニコルソン四軍調整官の表情はみるみる怒気に染まっていった。ニコルソン氏は「パイロットは住宅、住民に被害を与えなかった。感謝されるべきで表彰ものだ」と述べた。安慶田氏が「オスプレイも訓練もいらないから、どうぞ撤去してください」と伝えると、「政治問題化するのか」などと話し、テーブルをたたく場面もあったという。
会談後、安慶田氏は記者団に「植民地意識丸出しだ。私たちからすると、抗議するのは当然だ」と感想を述べた。(後略)
V-22オスプレイは危険なのだろうか~兵器として根本的な欠陥がある
そもそも今回の事故は、空中給油訓練中に給油用のブームかドローグがローターに接触して、オスプレイの飛行が困難になったとのことだ。
そんなことで飛行不能になるってどうなんだろう。
そもそもオスプレイの操縦はかなり難しいらしい。沖縄県東村高江で建設されているヘリパッド(「オスプレイパッド」としてもいい)は、通常のヘリを運用するはずだった当初計画よりも、かなり大きく作られている。それはこの機体の操縦が難しいことの証左だ。
ホバリング時には、左右エンジンの排気が地面に直接当たるため、大きな砂ぼこりを上げたり、アスファルト舗装を溶かしてしまうこともあるとのこと。
そんなことでまともな運用は出来るのだろうか。
これすべて、ティルトロータ式のオスプレイが構造的に持っている欠陥なのだ。
オスプレイのようなティルトロータ式の航空機は、実験機として1940年代から作られていた。小さい頃図鑑でよく見た記憶がある。けれども実用化されたのはこのオスプレイが最初。コンピュータ制御によってようやく運用可能になったのだろうと思う。けれど2000年代初めには大型事故を次々と起こし、米国本土での運用が制限された時期もあったはず。
事故率については、オスプレイに都合のいい数値が一人歩きしている感がある。実際は他機よりも事故率は高いようだ。さもありなん。
【使えない奴】オスプレイの事故率は高く、運用率が異様に低く、値段は超高い【1機200億円】。(宮武嶺弁護士のBlog)
日本はすでに法治国家ではなくなった 先日、このような情勢の中で政府による北部訓練場返還式典が行われた。沖縄ではすでに、何らの説明も検証もないまま、オスプレイの飛行が再開している。
返還される土地は、現地の人によれば、もともと米軍は運用していない土地で、沖縄県の基地負担軽減には全く関係がないのだそうだ。
むしろ東村高江に新しいヘリパッドを建設し、名護市辺野古に巨大な基地を建設し、市街地の中にあって運用に一応の制限がある普天間基地を閉じる。
これでは基地強化そのものではないか。
高江のオスプレイパッド「N-1ゲート」前。警備しているのは警察ではなくその指示下に動くALSOKの社員。写っているバスおよび警官は警視庁(東京都) 高江のヘリパッドを建設し、通常の建設現場ではとても認められない行為~違法改造したダンプが警察に守られ砂利を運搬し、工事現場から県道に大量の土壌汚染(主に石灰石)が行われ、中立公正に振る舞わなければならない公務員である警察が、反対住民を公然と敵視し差別用語をまくし立てる。防衛施設庁職員は「オスプレイは配備されない」と平気でウソをつく。
これが
法治国家であるはずの、日本国であるはずの、沖縄の現状なのだ。
政権に都合の良いところで「法の支配」を押しつけながら、都合の悪いところでは法を無視する。教員や報道に「中立」を強制しながら、政権の方針に反する相手には、中立を無視して敵意をむき出しにする。
「原子力ムラ」が、反対派をあからさまに敵視し、フクシマ原発事故後は放射能関連のこれまで基準を次々無視し、今になって賠償費用の多くを国民負担にしようとしている、それとよく似ている。
これで「法治国家」を名乗れるのだろうか。都合良く法律を適用したり除外したりを権力者が出来るのなら、それは独裁国家と何が異なるのか。
すでに日本国は、法治国家ではなくなった。そのことを沖縄の人はわかってしまった。だからこそ彼の地は保守までもが自民党政権に対抗する。この流れを全国のものにしないと、70年以上続いた「戦後」が、新たな「戦後」に置き換えられてしまうだろう。