同時代人として、この異様な言論空間にコメントせざるを得ない。

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 何となく朝日新聞を取り始めて、もう何年にもなる。先日も契約更新のために営業所の人が訪問してきた。いつもはNHK番組改編問題とか、原発問題とか、一応報道しているのに何か煮え切らない、そんな朝日の報道姿勢にイライラもしていたので、いつもは契約を更新すべきかどうか思わせぶりにしているのだが、今回は即決だ。で、この間の情勢から、ちょっと質問してみたんである。

 「解約する人って、やっぱりいるんですか?」

 「おかげさまで、私の担当地区ではまだ誰も解約いただいていないです」

 それはよかった、と言おうとすると、営業の人はこうも言う。
 「この辺の地区の方はいいのですが、集金と営業を別々にやっている地区ではいろいろとあって」
 「配達していたら突然アパートから「朝日新聞、コノヤロー」みたいに怒鳴られて、バイクを蹴られて倒されたなんてこともあって」などという。

 それは器物損壊や威力業務妨害って言う立派な刑法犯じゃないか、と思う。

 少々前にこんなニュースがあって、ようやく「略式」起訴なんだそうである。

北星学園大に脅迫電話、容疑の男を略式起訴 札幌区検(朝日11月7日)

 慰安婦問題の記事を書いた元朝日新聞記者の植村隆氏(56)が勤める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫電話をかけたとして、札幌区検は7日、新潟県燕市の元施設管理人の男(64)を威力業務妨害罪で札幌簡裁に略式起訴した。求めた罰金額は明らかにしていない。

 札幌地検によると、男は9月12日、自宅から同大に電話をかけて「(植村氏を)辞めさせないのか。ふざけるな。爆弾を仕掛けるぞ」などと脅し、業務を妨害したとされる。5月以降、植村氏の退職などを要求する脅迫文が同大に届いた3件の事件について、地検は別人による犯行とみている。(後略)


このような状況に、支援団体も立ち上がり、広範な層からの支持を得ている。

「負けるな北星!の会」(マケルナ会)

 先日7日には、これらの事件に関して、多くの弁護士が連名で、札幌地検へ告発を行った。事件の概要やその問題点は下記告発状の中身に詳しい。

弁護士380名が北星学園大学への脅迫者を告発(澤藤統一郎の憲法日記)

 こんなニュースを前に、さすがにネトウヨ商法が事件を招いたことに気付いたか、読売、産経、小学館や光文社といったメディアによる朝日新聞叩きは、若干少なくなりつつある。



 今月8日に発売された岩波書店の「世界」11月号は、この異様な言論空間への警鐘を鳴らす優れた特集を組んでいる。
 なかでも上記で当事者となった北星学園大学を巡る問題を、コンパクトかつ丁寧に報じる記事がある。
 新聞紙面やテレビ報道ではうかがい知れない、異様なバッシングの内容や、当事者らの苦悩、それを支える多くの人々の動き、そして言論・学問の自由と高額の警備費用との狭間に苦悩する大学の状況が描き出されている。

「世界」2014年11月号
「私たちも北星だ」
大学の自治を守ろうと立ち上がった市民たち


「朝日狩り」なのだという。かつて慰安婦報道に携わった朝日新聞OBのいる大学に、「辞めさせないと爆破する」などと脅迫状やメールを送りつける策動だ。・・北海道札幌市の北星学園大では、市民が「大学の自治、学問の自由を守ろう」と立ち上がった。(10月23日に大学を脅迫した容疑者が逮捕されたが)だが、わずか一カ月前まで、脅迫事件の一端を知りながら新聞、テレビは一切報じていなかった。民主主義の根幹をなす自由な言論を守るため、先陣を切るべき報道機関が、なぜ沈黙したのか。

大学への脅しは週刊文春2月6日号が発売された1月末にさかのぼる。・・


 この記事を書いたのは北海道新聞の記者。

 北海道新聞といえば、道民の多くが購読していて、編集方針は比較的リベラル。私が札幌で一人暮らししていた頃にも購読していた。
 そんな時にたくさんの景品(協定違反)を持ってきて、颯爽と新聞勧誘を繰り返していたのが、読売新聞だった。東京などでは読売が右翼やくざとつるんで、部数拡大に躍起になっていたことは以前にも書いた。(読売と右翼とナベツネ ~かつてこのようなことがあった)