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トランプ化でもアベ化でもない-自民党が公明党化したのだ [社会情勢]

 東京都議会議員選挙が終盤を迎えている。この選挙戦の序盤、公明党の公式Twitterでの発言が話題になった。
 もちろんネガティブな意味においてだ。

「公明党広報」が公式ツイートで「汚い」「危険」「北朝鮮」と共産党を罵倒、物議かもす(ハフィントンポスト日本版)
(前略)イラストも用いて投稿された内容では、共産党について「実績横取りのハイエナ政党」「公安の調査対象」「北朝鮮は『危険ない』と的外れな発言」として「汚い」「危険」「北朝鮮」の「3K」だ、と批判している。

「汚い」は「都議会公明党の実績を横取りされた」との趣旨のため、23日に告示される、東京都議会議員選挙に向けた実績アピールのためにツイートしたものとみられる。

強い言葉で「罵倒」とも取れる公明党の批判ぶりに、「下品な誹謗中傷団体になった」「ゲス」などと、Twitter上では違和感を表明する声が相次いだ。

また、日本共産党書記局長の小池晃・参院議員は「恥ずかしくないのかしらね」と応じている。(後略)


 いつも拝見しているinti-solさんのBlogが、下のBlog記事を紹介していたので、私も遅ればせながら引用する。

私立高校無償化は本当に公明党の言う通り、共産党の「実績横取り」なのか? 都議会の議事録を調べてみた。(ichiro-jeffreyさんのブログ)
(前略)都議会で私立高校の無償化を取り上げた回数(政党別2010年~)共産党23回、民主党18回、自民党9回、公明党5回、民進党2回、生活者ネット1回

民主党は国政が民主党政権時代にその成果であるところの高校無償化を誇示する文脈で、自民党はそれを批判する文脈での発言が主です。

共産党は里吉都議を中心に粘り強く私学への補助を訴えてきた一方、公明党の発言が初めて登場するのは小池都政になってからで、予算案を評価するかたちでの発言となっています。

もちろん、議会の外での働きかけがどの程度あったのかは議事録を漁っただけではわかりませんが、少なくとも共産党はこの問題を長年粘り強く取り上げていた一方で、公明党が議会で発言しているのは最近になってのことであることがわかり、冒頭に取り上げた公明党広報のツイートの「「私立高校授業料の実質無償化」※全て都議会公明党の実績です。」は言いがかりと言えるでしょう。


 この公明党公式ツイートを見て私は既視感を覚えた。「下品な誹謗中傷団体」?前からだよ。このツイートを書いた公明党=創価学会の人物のメンタリティはかつてのそれと同じだ。その「かつて」とは・・・。

 もう20年ばかり前になろうか。

20年前にも同じことを言っていた創価学会=公明党
 1998年頃から、創価学会=公明党が、なぜか共産党に対する激しい批判ビラを出すようになった。批判と言うより誹謗中傷と言っていい。公式にオフセット印刷されたビラも大量にまかれたし、「住民有志」を装って手作りのビラもまかれた。内容は基本的にデタラメやフレームアップだった。そう、「実績横取り」「北朝鮮」「暴力革命」の3点セット。今回のツイートと全く同じだった。

 こんなこともあった。

 昔住んでいた国立市でのこと。当時の自民党都議会議員だったMと同じく自民党国会議員だったOとの間で、ちょっとした勢力争いがあった。結局Oは国立から出馬できなくなったんだけれど、右翼団体(「ネトウヨ」ではなく街宣右翼)が嫌がらせの街宣にやってくるなど、ちょっとした騒ぎになった。
 そんな中「右翼を呼んだのは(共産党の市議会議員だった)Yだ」と、口コミ宣伝していたのが創価学会=公明党の婦人部だった。もちろんデタラメで、共産党の市議が右翼との接点などあろうはずがないので、呼びようがない。当の市議本人があきれていたことを覚えている。

 2000年くらいになると、創価学会=公明党の狂乱ぶりは度を超し始めた。誹謗中傷の類いは激しさを増し、極右とサンケイがタッグを組んで、あることないこと書き散らかした「謀略本」が、電車の中吊り広告で宣伝されもした。
 創価学会員の多い団地で共産党が宣伝していると、生卵が投げつけられるなどという事件もあった。
 異常な状況であった。

 もちろんこんなことは、彼らにとっても心苦しいものがあったのだろう。私の近所で常に公明党の政策ポスターを貼りだしている家があったが、共産党に対する誹謗中傷が激しかったその時期から、ポスター掲示するのをやめてしまった。

 振り返って今回のツイート。内容があの頃と全く同じだ。

公明党による「政策を実現しました」のカラクリ

 かつての創価学会=公明党による誹謗中傷も、「共産党は実績横取りの「ハイエナ政党」」が中心だった。暴力革命の政党、とも。
 20年前も、私が覚えているものでは、白内障眼内レンズの保険適用化や乳幼児医療費助成制度などに、公明党が噛みついていた。
 しかし実際は、今回の私立高校無償化と同じ、公明党のデタラメだった。
 ちなみにこうした政策の実現については、だいたいが下のような経過をたどる。

1.共産党らが住民の要求を組み上げ政策を提案する。
   ↓
2.(自治体与党の)自民党や公明党が反対する
   ↓
3.住民要求が大きくなり自民や公明が批判され、共産党らへの支持が増える
   ↓
4.共産党の提案には反対し廃案にしつつ、公明党が似たような提案をする
   ↓
5.共産党は反対する道理がないから公明党の提案に賛成する
   ↓
6.公明党が自らの実績として宣伝する

 私は以前、居住していた市の乳幼児医療費無償化運動に末席ながら参加していた。だからわかる。あの時も公明党は反対こそしなかったけれど、継続審議扱いにして請願を採択させなかった。そして政策が実現すると「私たちが実現しました」とやる。最後の採決に賛成しただけなのに。
 「ハイエナ政党」はどちらだろうか。
*ハイエナと称するのはハイエナに対して失礼なのであまり使いたくはないが、公明党が言っているのでこの場でだけ使います。

 自らがやっていることが恥ずかしいからこそ、口汚く相手をののしるのだろう。これが公明党だ。なんとあさましいこと。

 公明党については、「暴力政党」についても、ちょっとした思い出がある。あれは20年ばかり前、当事者の迷惑にならないように詳しくは書かないが、国立市で放火未遂事件があった。警察の動きも不可解だった。
 暴力を平気で振るう人たちは、いったい誰だとの想いがある。

 今、マスコミの大宣伝を受けて「都民ファースト」なる組織が注目なのだそうだ。この「都民ファースト」。この間都議会与党として30年以上自民党に付き従ってきた公明党の全面協力を受けている。
 そこのところも考えたい。

世界が「トランプ化」したのではない。アメリカが「アベ化」したのでもない。自民党が「創価学会=公明党化」したのだ

 さて、現在に生きる皆さんは、こうした公明党公式アカウントでの発言に、別の既視感を覚えないだろうか。
 事実をねじ曲げる、デマを流す。気に入らない相手には、論理的批判ではなく根拠ない罵倒をする。

 そう、今の安倍政権やトランプ政権と、よく似ていないだろうか。

 「トランプ化する世界」とはよく言われるが、法政大の山口二郎氏は米トランプや欧州での極右の拡大に先んじて成立した安倍政権を踏まえ、「トランプ化」というより、世界が「アベ化」した、という表現をした。
 私が思うにそれはさらにさかのぼることが出来る。

 自民党が「創価学会=公明党化」したのだ。保守でありながら護憲派リベラルも内包していた自民党に、多様性がなくなったとよく言われる。それは小選挙区の元で自民党執行部の力が極大化したのも理由だろう。
 しかしそこに、99年から、いやそれ以前の80年代から、明確に自民党とともに歩んできた、創価学会=公明党の陰を見るべきだろう。

自民党が劣化したのは小選挙区制と公明党が原因では

 創価学会は現世利益を大事にするらしい。それが腐敗を呼ぶ。議員や職員を使っての自治体などへの口利き事例も、接点のない私でさえも聞いたことがある。そして批判者に対しては事実がどうかも怪しい内容で口汚くののしる。そして時には暴力すら振るう。

 そのメンタリティが自民党を汚染し、反対意見に耳を貸さず、批判を顧みず、そして仲間にはあからさまな利益供与を行う、そんな現政権が生まれてしまった。「政権のブレーキ役」を自認している公明党は、むしろ政権をより劣化させている張本人なのではないか、と思う今日この頃であった。

 そんなことを、過去のメンタリティそのままにこのネット社会にツイートする公明党をみて、思ったのである。
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コメント 10

えんや

なんで宗教組織の創価学会=公明党がですね。
今や自民党の一派、、、それが都議選では「反自民」で、、、
与党の「ウマミ」を知った公明党、、、汚い党ですね。

by えんや (2017-07-01 18:30) 

majyo

公明党の三K発言はTwitterでも話題になりましたが
ここまで成り下がった党には亜切れてものも言えません。
強いものにすり寄る姿勢がとても嫌ですね

by majyo (2017-07-02 07:34) 

Mosel

えんやさんこんにちは。

何かもう、40年近く寄り添った都議会自民党に、あっさり見切りをつけて小池派にくっつくとは。そして小池派もそれに乗っかるという。政策そっちのけで、どっちも権力亡者なんでしょうね。どちらも汚い党ですよ。

選挙は免税の宗教施設でやり放題。公明党は憲法違反の疑義が根強くありますね。
by Mosel (2017-07-02 08:03) 

Mosel

majyoさん、こんにちは。

私公明党のこのツイートを見て、ああ、懐かしいな、連中全然変わってないな、と思ったんです。

ということは、相手を汚く罵ったり、陰で暴力を振るったりといった本性が、全然変わっていないということでもあります。

こんな組織が国政や多くの自治体で与党だという悪夢を、改めて認識しますね。
by Mosel (2017-07-02 08:11) 

いっぷく

「共産党ならそういわれても仕方ないんだろう」というように思わせないようにする、努力と実践も必要です。
日本共産党にそれを跳ね返す信頼と自力がないから、人々の心の底に沈殿している反共の思いが、そうしたデマゴギーでばっこするので、公明党はやっているのでしょう。やっても意味が無いと思えばやらなくなります。

日本共産党が、「共産党が首都東京で野党第一党」(民進と旧みんなはすぐには一緒にならなかった)という先進資本主義国では奇跡的な都民の押上げを受けながら、いったいこの4年間、何をしたのか。
民進党の下駄の雪を最優先し、宇都宮健児氏を道化にし、近年の補欠選挙では民進党のために候補者すら出さなかった。
野党第一党が候補者すら出さないなんて……。

宇都宮健児氏は、落選しても落選しても、都議会を傍聴し、自分の政策と都議会の動向を照らし合わせてきた。
しかし日本共産党は、他党もそうですが、その時限りの間に合わせの候補者をたててきた。
都政に対して誠実であったかと言われれば、決してそうだとはいえません。

公明党の行為など論外ですが、被害者ヅラしているだけでは何も変わりません。
「ああまた言ってるよ、つまらないことしてるね」と都民に思わせることが出来るかどうかは、日本共産党自身にかかっているのです。

by いっぷく (2017-07-02 08:46) 

ponnta1351

お久しぶりです。みなさんが仰っているので今更ワタクシメは書きませんが、今日の投票結果どうなるんでしょうね?
by ponnta1351 (2017-07-02 11:14) 

Mosel

いっぷくさん、こんにちは。長文のコメントありがとうございます。

都政がどうこうと言うよりは、公明党のメンタリティが自民党を極右化させ、それが世界にはびこっているというのが今回エントリの趣旨なのですが。昔の思い出もからめて。

でも、せっかくの場なので少々書きましょうか。

確かに昨年の都知事選については、野党共闘側の候補者選びには、私自身疑念も感じました。野党共闘候補として、民進党も妥協できる最低限の候補、という帰結点のように思います。鳥越氏の演説も当初はつたなく、急遽立候補したんだなと思わせるに十分。

とはいえ、ネトウヨ系まとめサイトの不可解な動きや、今まで「宇都宮健次=共産党」だと言って一顧だにしなかったような人が、鳥越氏が立候補したとたん、大騒ぎするなんてのも見ています。
ちなみに前々回の宇都宮選対には私の知り合いもいて、それを批判する弁護士さんの意見もまったく納得のいくもので、個人的には宇都宮氏立候補だと、うーん、どうだろう、と思っていたこともありました。

共産党というか革新側の首長候補がその場限りに見える点については、確かにおっしゃるとおりと思います。連続して候補になった人は、79年の大田候補以降一人もいなかったはずです。もっともそれは「保守」の側も落選すれば同じですが。
東京では野党第1党だし、共産党の支持率が民進党より高いところでも、候補を立てず、そして一方の民進側は「共産党との共闘が我慢ならん」と離反する議員が、私の住む立川市でも出る始末。もっとなんとかならんものか、と考えてしまいます。連立相手が民進党では難しいのでしょうね。

とはいえ都議会議員については、ちょっと違う面もありますね。前回首長選のやりとりだけ見れば不誠実にも見えますが、議員についてはそうではないし、現実の都政運営においては、もっとも誠実な勢力と思います。都政は「都知事選」だけではないので。

そして今回の公明党ツイートに対して、本文にも書きましたが、同内容の誹謗中傷を繰り返していた当時も、眉をひそめる人はたくさんいました。ただ創価学会=公明党の支持層には、ほとんど響かなかったのでしょう。おそらく今回も。だから20年前にやった手法がそのまま出てきてしまう。

そして今、多くの批判的意見が表面化し、だから公明党も「党の正式見解ではない」と言わざるを得ない。そのことは20年前と少し変わりました。口汚く誹謗中傷する相手を差し置いて「被害者ヅラ」とはずいぶんと厳しい言い方ですが、現実は少々変化しているようですね。

それは共産党がこの間行ってきた「努力と実践」の、たまものなのではないでしょうか。 結果的に不十分なところはあるにせよ。
by Mosel (2017-07-02 11:57) 

Mosel

ponntaさん、こちらこそご無沙汰しています。もはや月刊ペースの更新すらままなりません。

正直なところ、自民はそこそこの勢力、「都民ファ○スト」(○の中には「シ」か「ー」かお好きな文字を)が大きくなって、なんだかこれから、かつて大阪がたどった道になりそうな気がしてもいます。

そうなったら悪夢です。今はまだ烏合の衆である「都民ファ○スト」を、都民がしっかり監視しなければならないと思います。
by Mosel (2017-07-02 11:58) 

cheese999

う~ん、深いですね。
ニュースに流れている表面的な情報だけでは、1票を投じる先が決められませんネ。

正直、100%信用できる政党も、政治家もいないのですが。。
1.事故で福島を滅茶苦茶にしたクセに、原発を全廃できないし、
2.消費税増税はするけど、低所得者対策しているのか?
3.医者、看護師、保育士、介護職員の処遇改善、過労対策は?
4.地デジ化で難視聴地域を増やしといて、対策は無し?⇒テレビみたけりゃ、CATVに加入しろ?
5.北朝鮮に圧力かけるって、ここ数年、何か成果はあった? 拉致された日本人は?
6.それで、国会議員の年収は平均2,000万円以上?
7.何回失言しても、大臣辞めなくてOK!

他にも、言いたいことはたくさんあるけど。。。(^_0)ノ



by cheese999 (2017-07-09 23:20) 

Mosel

今回の都議選の結果は、予想していた以上に大胆なものでした。
自民党が23議席と半数以上も議席を減らし、新興勢力と左翼が議席を伸ばすという、フランス国民議会のような結果でしたね。
これは、あなたのおっしゃるような現状に、東京都民がいかに不満やおかしさを感じているかの表れではないかと思います。その受け皿が「都民ファ○スト」でいいのかどうかは、とりあえず置いておくとして。

政治家や政治勢力を100%信用するのは危険だと言うことは、ここ何十年かの私の経験で感じています。投票はするが、しっかり監視する、注意する、が大事だと思いますよ。
by Mosel (2017-07-10 07:02) 

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