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安保法制=戦争法案審議の異常性に、保守派からすらも批判される安倍自公政権の異常 [社会情勢]


【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみた
夏休みの自由研究か何かで、戦争法案を調べている子がいるみたいなので、良いパロディ動画をご覧ください

 7月19日の朝日新聞朝刊に、憲法学者と政治学者の対談が掲載されていた。この時期一番重要な政治課題、戦争法案についてである。「憲法学者」とは長谷川恭男氏。政治学者とは杉田敦氏である。
 この鼎談には、7月15日に自公与党単独で衆院強行可決された戦争法案の強行採決に至るまでの問題と、現政権の思考的問題が端的に表現されている。

「「違憲」指摘でも安保採決強行 民主主義とは」(朝日新聞:2015年7月19日)

 立憲民主主義の危機が新たな段階に入ったと思います。・・しかも安倍首相が米議会で「夏までに成就させる」と約束してしまったので、何としても成立させねばならないという、「個人的事情」への配慮が背景にある。主権者たる国民をなんだと思っているのでしょう(長谷部)


 「日本の防衛」ではなく米国との約束であるから、安倍晋三はこの法案を強行したい、ということ。これでは日本は米の属国である。

 「国民に丁寧にわかりやすく説明していきたい」。委員会裁決後の、首相の発言には驚きました。説明とは、決める前に、合意形成のためになされるものでしょう。(杉田)
 反論を聞いたり、説得したりする気は全くないと(長谷部)
 自らの結論をただ押しつけることを、安部さんは「説明」と言っている。福島第一原発事故まで当然視されていた「リスクコミュニケーション」のやり方と似ています。原発が安全だという結論はもう出ている、反対しているのは知識が足りない感情的な人たちだ、専門家が丁寧に説明して安全であることを理解させねばならない、と。(杉田)
 ・・・政府側の答弁はまったく誠実さを欠いていました。・・・安部さんは「総合的に判断する」ばかり。時の政権に白紙委任しろと言っているに等しく、不安が広がるのは当然です。(杉田)


 そもそも国会が議論の場になっていない。手続き上国会審議を経なければならないからそれに従っているだけ。だから強行採決しても平気の平左。それが現状の自公政権と。

 そしてこの対談、野党への論議批判を絡めて、傾聴に値する指摘が。
 危機の想定は無限に可能なので、安全保障を巡る議論の土俵は、構造的に拡大推進したい側に有利になっています。その傾いた土俵の上では、安部さん流の「危機に備えるのが政治家の責任」と言う論法が妙に説得力を持つ。(長谷部)
 ・・憲法論に拘泥するのは本質的でないといった批判が、推進側の周辺から出ていますが、それは違う。・・・憲法論を外してしまえば、もうブレーキはどこにもない。拡大路線を止めることがいかに難しいかは、戦争と原発の歴史が示している。(杉田)
 そもそも野党は「違憲だ」と言うだけで十分責任を果たしています。・・・「批判するなら対案を出せ」という政府・与党の論法は、検察官が弁護士に「批判するなら真犯人を見つけてこい」と言うようなもので筋が違う。野党の本分は対案を出すことではありません(杉田)。


 上記の通り、立憲国家の元では、違憲立法は認められない。これほど多くの-与党推薦の学者すら意見を表明している-現状で、この戦争法案を推進することはできないはずだ。しかしそれが衆院を通過してしまった。
 そして民主党やらみんなの党(死語)が「マニフェスト」だの「アジェンダ(死語)」だの公言し、野党は対案を出さなければ無責任、的な論調が10年ばかり前から出始めたが、それがおかしな論理であることを杉田氏は指摘する。
 そもそも日本では、政府機関を縦横に使える与党と、自前の調査しかできない野党で政策提言能力に差があるのは当たり前であって、その点も指摘している杉田氏は、やはり政治学者なのだなと改めて思う。

 そして最後に・・

 外国向けには日本は民主主義や人権、法の支配など普遍的な価値観を共有していることを盛んにアピールしていますが、本音は違うということでしょう。民主主義の根幹である表現の自由を威圧する。法の支配を守らず、政権の思う通りの法案を通そうとする。日本はどんどん中国に似てきています。(長谷部)
 だからこそ国民が・・危機感を募らせ、何とかしなければと動き出しています。敗戦を経て戦後70年続いてきた立憲民主主義という国のあり方を、これからも維持できるかどうか・・国会に声を届ける。選挙で勝てば何をやってもいいということではない。主権者は白紙委任しているわけではない・・(長谷部)
 法案が衆院を通過しましたが、勝ち負けはまだ決まっていません。・・岸信介元首相の安保改定は通ったけれども、反対運動が戦後民主主義を定着させた面があります。・・憲法に違反する法律をつくることは、政治体制の転換にも等しい問題なのだという認識が世論に浸透しています。・・主権者が主権者であり続ける限り、勝負は続きます。(杉田)


「保守系」からさえも批判される安部自公政権

 これは朝日新聞の対談なんだけれど、では二人ともリベラルなのかと言えばそんなことはないようだ。杉田氏は保守派のようだし、長谷部氏に至っては、昨年の特定秘密法に当たって賛意を表明していたような学者なのだ。
 そのような学者にさえ-いやだからこそというべきか-この戦争法案を巡る審議は異常に映るのだ。それはとりもなおさず、民主主義の基本を理解していない、それを根本から覆す政治運営を、現政権が続けているということなのだ。

昔、と言っても20数年+前ですよ。

 私、高校の図書館で、60年安保闘争について叙述している本を読んだ。当時の首相は戦争犯罪人だった岸信介。そいつが、怒号の中で1960年に強行採決をして、それが今の今まで自民党の軍備拡張の野望に供されてきたってわけだ。
 岸信介、このクソが、と思った。高校生だったからね。
 あれ程までに反対運動を押し切るなんて、こいつは世論をなんとも思わない、民主主義に敵対する人物だなって、思った。

 そしてその孫であることを誇りに思っているらしい安倍晋三が、まったく同様の手法と思考方法で、55年前の愚を繰り返す。
 今、若い人がたくさんデモに参加している。70年安保以来だと言う人もいる。それは今の現状が、私が本を読んで憤りを覚えた高校生の時と、同じような感情を共有しているのではないかとも思う。
 今まで保守派であることを公言していた学者連中が、公然と安倍政権のやり方を批判しているのも、同じような思いがあるのだろうと考える。

 そう。

 これは戦後民主主義の危機であると。それはとりもなおさず、第二次世界大戦後に構築された、人権尊重、民主主義的な価値観(*)を覆す動きであると、判断しているからなのだろうと思う。
 政治思想はいろいろあれど、戦後民主主義という価値観は多くの人と共有できるのではと思う。そして戦争法案の異常性を、現在の日本の民主主義が異常事態になっていることを、そしてそれらを何とかしなければならないと思っている人たちと、声を上げよう。

 街頭で、マスコミで、ネットでも。自分たちのできることを、できるところから。

(*)各地の国際紛争への対応を見るととてもそうではない現状はあるけれど。
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コメント 2

cheese999

シンゾー君は臆病者なのでは、と思っています(^_0)ノ
by cheese999 (2015-07-25 05:57) 

Mosel

私も同様に思っています。だからこそ、まともな審議もせず(できず)、強行採決を繰り返す。戦後最悪の政権との認識です。
by Mosel (2015-07-28 06:15) 

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