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アルフォスのスクロール [雑想]

 昔「ゼビウス」というゲームがあって、今はバンダイナムコホールディングスになっている会社の片割れ、namcoが作ったものだった。
 非常に美しいグラフィック、高いゲーム性とほどよい難易度、当時珍しいゲームの「設定」なるものがあって、大変な人気になった。

 私が住んでいた北海道の片田舎では、ゲームセンターすらまともになく、とある喫茶店に町内でただ一つのゼビウスがあった。それも純正品ではなく、これまた当時は当たり前にあったコピー製品「バトルス」だった。

 一応ゲームセンターや喫茶店に出入りすることは校則で禁じられていたのだが、ゲーマーにはそのような規則は無用。友人数名と堂々と出入りし、そこで何時間も粘るのだ。
喫茶店なので何かを頼まなければならず、一番安いのはバタートーストだったが、時々フルーツパフェなどを頼んだりする。しかもグループで一つだけ。

 今大人気のマンガ「ハイスコアガール」からさかのぼること約10年。バブル景気前、1ドル240円だった頃、ゲーセン黄金期はそんな感じだった。


当時の空気を知る人が読むと最高に面白い。知らない人でもやはり最高に面白い。



さて。

 ゼビウスはゲーセンで大人気のゲームだったので、パソコンなどへの移植板が多く出た。けれど電波新聞社から発売されたX1(シャープ)版のゼビウスは画面こそ美しいが、スクロールがカクカク。満を持して発売されたFM-7(富士通)版は画面はひどいわ、スクロールは、X1版よりは早いがこれまたカクカクと、どうしようもないシロモノだった。

 そんな中で、当時のエントリー機だったPC-6001(NEC)用に「タイニーゼビウス」という製品が出ていた。完全版ではないが、うまく移植されており、スクロールもなめらかだった。性能の悪いPC-6001でなぜ、と思った。

 そして当時の高級機、PC-8801(NEC)に、今はスクウェアエニックスとなっている会社の片割れ「ENIX」が「アルフォス」という製品を発売した。アルフォスはゼビウスに非常によく似たゲームで、エニックスのオリジナルではあるけれど、ナムコのコピーライトがついていた。似ているからとナムコの許諾をとったのだ。パクリが当たり前の当時のゲーム界では珍しいことだった。
 親友がPC-8801mk2を持っていた。アルフォスはそこで見せてもらったが、スクロールがなめらかで画面もきれい。キャラクターの動きが若干早く、キーボード操作ということもあり、難易度はゲーセンのゼビウスよりかなり高かったが。

 アルフォスのロード時間はすごく長く(当時はHDDどころかFDDも搭載している機械が少なく、カセットテープからプログラムを読み込んでいた)、あまりプレイする機会は多くはなかった。

・・・・・

 このアルフォス、そしてタイニーゼビウス。それを作ったプログラマの名前は森田和郎と言った。当時のスタープログラマだったと思う。
 当時(1984年頃)エニックスの広告にはアルフォスの他、森田のバトルフィールドという製品がエニックスから出ていて、これは当時のプログラムコンテストでグランプリを取ったのだという。

 ちなみにこのコンテストで次席になったのが「ドアドア」を作った中村光一だった。当時確か19歳。数年後、エニックスと組んでドラゴンクエストのプログラムを組む人だ。
 当時の雑誌のインタビュー、確か「テクノポリス」誌と記憶しているが、相当悔しかったのだろうと思う。「森田のバトルフィールドなんて全然売れてない」(ドアドアは当時空前の大ヒット作だった)と書かれていたことを思い出す。

 しばらくして森田さんは「森田和郎の将棋」というソフトを出した。当時はまだビジネス機だったPC-9801用だった。チェスこそ当時プロ級の強さを持つソフト(SargonとかMyChessとかChessMasterとか)が出ていたけれど、将棋のそれはまだまだ。
 けれど森田の将棋はようやくアマチュア10級程度の力ながら、まともな将棋を指すとして有名になった。

 そんな昔のことを、ふと思い出した。

将棋ソフト開発者の森田和郎さん、12年7月に死去(朝日新聞6月4日)
 森田和郎さん(もりた・かずろう=コンピューター将棋ソフト開発者)が2012年7月27日に死去していたことがわかった。57歳だった。葬儀は近親者で営まれた。
 富山市生まれ。将棋ソフトプログラマーの先駆者的存在で、1985年に発売された「森田将棋」シリーズはヒット商品になった。(引用終わり)



 次第にスタープログラマがゲームの表舞台に出ることも少なくなって、けれど森田さんは最近まで現役のプログラマとして活躍されていたとのこと。

 昔のコレクションを出す時間もなく、文章だけですが、ご冥福を。

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コメント 4

ponnta1351

過日はサイトをご紹介頂き有難う御座いました。
今回の記事、アルフォスのスクロールって初めて聞く言葉です。
でも、そういう物も有るんだと解りました。
by ponnta1351 (2013-06-06 19:15) 

Mosel

ponntaさんこんにちは。こちらこそいつもありがとうございます。
以前紹介しましたサイトは、参加者の皆さんが少々冷たいコメントを寄せていることがありますが、これはネトウヨが長らく同じ論争ばかり繰り広げるもので、うんざりしていることのあらわれと御寛恕ください。

さてアルフォスの発売から今年でちょうど30年。そんな昔に発売されて、当時超絶なプログラムテクニックで話題になったゲームです。
その作者が亡くなられました。
by Mosel (2013-06-07 07:07) 

cheese999

なつかしいPCの数々ですね。学生時代、学校にあったPCはMZ-1200でカセットでOSをロードするのに30分くらいかかっていたかなあ。PC-9801VmのFDをみたとき、あまりの速さにベックリでした。
(*_*)ノ
by cheese999 (2013-06-08 05:54) 

Mosel

カセットは遅かったですよね。今ではテープや機材の劣化で、ほとんどのプログラムが読み出しできないんじゃないでしょうか。自宅のデータレコーダーももう10年以上使っていないし。
私が初めて買ったPCはFM-77ですが、FDDのノコギリのような音が印象的でした。
近所の電気屋にはPC-8001mk2とMZ-80があって、特に何をするでもないですが、簡単なプログラムを作って遊んだりしていました。
PC-8801,9801,6001,6001mk2,MZ-731,X-1c,そして各社のMSXと私のまわりにはパソコンを持っている人が多くいました。それもファミコンが普及してからは、みんなさっぱりパソコンでは遊ばなくなってしまいました。
by Mosel (2013-06-08 07:30) 

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