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「過労死防止基本法」の制定を実現する集いで川田さんが発言されました [川田過労自殺事件]

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 3月7日(木)衆議院第一議員会館で、「過労死防止基本法」の制定を実現する集いが行われました。

“ストップ!過労死”実行委員会

 川田過労自殺事件の原告、川田キヨ子さんも遺族の一人として発言されました。川田さんのご了承をいただきましたので、以下に全文を掲載します。

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発言する川田さん

*事件の経過

 1996年(平成8年)9月26日、長男「川田直」24歳が安田コンピューターサービス(現みずほトラストシステムズ)に入社後、約半年で過労自殺しました。
 入社時「コンピューターは未経験でも大丈夫」との説明に反し、研修も不十分なまま銀行業務部門の中でも、中枢を担う職場に配属されました。現場は繁忙で、研修は十分に行ってもらえませんでした。長男はうつ病を発症し、8月には同期の社員にも不調が分かるようになったにもかかわらず、会社は病気を放置しました。退職届を受理後も会社は出社を指示するなど、うつ病を一層悪化させる対応を行い自殺に追い込みました。
 裁判の中では長男が入社した年から、コストダウンを理由に研修期間が短くされた、研修担当の社員が担当の自覚がなかった、新人には困難な業務をやらせていた等のことが明らかになりました。が、思いは届きませんでした。2010年10月8日に最高裁第2小法廷より不当決定の連絡が入り、長い裁判のたたかいの全てが終了しました。

*遺族の思い

 私はこのたたかいの中で夫を病で亡くしました。夫は息を引き取るまで、長男が生きていた証を立てることを強く願っていました。今、私は二男と共に長男と夫の無念の思いを胸に生きています。
 このたたかいの中で、全国の皆さんから多くの支援をいただきました。二度とこのようなことがあってはいけない、若者が未来に希望を持って生きていける社会にしなければいけない、との思いを共有しあって、自分のこととしてたたかってくださいました。

 長男と同じ世代の青年を見ると、胸がきつくなります。長男もきっと家庭を持って、子育てを楽しんでいきいきと生活していただろうなと思ってしまいます。家庭を持って子ども3人に恵まれた二男と身近に接しているだけに、このような幸せな人生を体験できなかった長男が不憫になります。犬を連れての毎日の墓参りで長男と夫にいつも悔しい思いを話しかけています。

*国会に望むこと

 労災と認めない行政にも司法にも見放された私たち遺族の願いとして、もう亡くなった子どもや夫は戻ってきませんが、このようなことのないように、私のような遺族をつくらないためにも、ぜひ過労死防止基本法(案)を立法化して下さい。立法化した時には、私は真っ先に長男と夫に報告したいと思っています。
 ここにご参加の議員のみなさん、関係者のみなさん、ぜひ力を貸してください。お願いいたします。

・・・・・ 今回の集会は第6回目。2010年10月から始まったこの院内集会に、川田さんは第1回目から参加して、発言されている。第一回の開催日は、川田裁判の上告棄却の直後だった。
 この集会では7名のご遺族が発言。川田さんと同様に裁判で敗訴された方も、悲痛な思いを話されていた。

過労死の労災申請・認定は氷山の一角だ

 冒頭の講演では、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博弁護士が、自殺による労災認定は2011年度で66件。自殺の労災申請件数は200件ほどであるが、内閣府の調査では、自殺の原因・動機が勤務問題にあるとするものは2011年で2689件。たったの2.45%しか労災とされていないと報告していた。労災申請をし、裁判をたたかっているのは、あくまでも氷山の一角と。
 過労死防止基本法の制定で、過労死はあってはならないこと、と国が宣言する。基本法を制定することは、国がこの問題に関して強いメッセージを送るということだ、ということを話されていた。

・・・・・

 2010年10月の第一回集会は、参加170名。議員及び議員秘書の参加は29名。今回は参加300名弱。議員は実数で19名。秘書参加を合わせると50名を超えていた。主要政党は自民党から共産党までほぼ全てが出席。出席がなかったのは公明党と社民党だが、社民党は照屋寛徳議員(沖縄)が賛同意見を寄せている。
*公明党はどうしたものか。よくわからんが。
 みんなの党の浅尾議員は、過労死防止基本法案を今国会にも上程する予定であると言っていた。内容からこの法案に反対する人はいないだろう、とも(条文を修正することはあろうが)。

 早ければ今国会で成立するか。期待を持ってみていきたいと思う。

・・・・・

ちょっと気になったこと

 参加していた国会議員・元議員は、ほぼもれなくあいさつをした。その中で複数の議員が「ご苦労様です」と言っていた。
 「ご苦労様」は目上が目下に使う言葉である。新人が誤用する言葉の代表的なものだ。発言した議員の思いはそうではなく、純粋にねぎらいの気持ちと思うが、少し気になった。国会議員ならばこの点、気をつけるべきと思う。

 あともっと気になる点があったのだが、ここでは控えます。あくまで私はこの基本法制定に関しては、一つの過労死裁判を原告らともにたたかってきたとは言え、一市民として周辺部にいる者であるから。

 過労死対策基本法、今国会の上程、そして成立、期待しています。

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コメント 6

cheese999

ほんと、労働者にやさしい社会を目指して欲しいです。
(^_0)ノ
by cheese999 (2013-03-11 22:55) 

Mosel

ここ10年間は、新自由主義的政策で、労働者が使いつぶされる社会でした。
基本法制定に取り組んでいる政党には、さらに新自由主義を進めようという政党もありますが、少なくとも過労死や過労障害をなくす法整備は、進んでくれそうです。
そしてあわせて司法も、変わってくれればと思っています。
by Mosel (2013-03-12 06:54) 

ponnta1351

過労死、ニュースでよくみますが法の整備がなされて居ない事が悲しい結果を生む原因ですね。少しでも前進してくれれば良いです。

先ほどもヤフーニュースで「東京メトロ駅販売店の販売員6名がスト」とありましたが正規労働者と同じ様に働いて賃金は13万円前後、退職金も出ない。その上、定年制だけは正社員と同じではたまらないと言う事のようです。一生懸命働いたら色々な面で報われるようになってほしいです。 同じ働くのにも不平不満では良い成果も出ないでしょしね。
by ponnta1351 (2013-03-18 13:49) 

Mosel

ponntaさん、コメントありがとうございます。
本来であれば、こんな法整備をしなくても「過労死」が異常なことであると、企業が認識しなければならないのでしょうね。企業に限らず自治体の公務員も数多く過労死・過労障害を負っていますから、この問題は企業に限らず、日本の組織全体に関わる問題と思います。

非正規も含めた労働者が、きちんと生活できるような賃金や待遇であることは、働く人のモチベーションも上がり、企業にとっても必ずプラスになることと思いますが、まずは働く人を使い捨てにしてしまうという、組織の意識を変えていくことが必要かと考えます。
by Mosel (2013-03-19 07:02) 

ayu15

ほんと厳しい目をむけるとこがなんかずれてるような気もしますけど?
by ayu15 (2013-03-25 13:23) 

Mosel

ayuさん。お返事遅れました。
順法精神がどうとかよく言われますが、こと労働関連については、全くの野放し状態と言っていいですね。社保庁の分限免職問題に顕著ですが、国が率先して労働法を無視している。そんな社会だからJALの不当解雇も裁判所が認めてしまうなんてことになります。

この世の中、厳しい目を向ける、その視点が狂っています。
by Mosel (2013-03-27 06:56) 

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