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JAL-日本航空にはもう乗りません [労働運動~働く人たち]

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TDA/JAS歴代DC-9とMD-81のピンバッジ 上から下にかけて塗装の年代順に並べています

 日本の航空会社では、私は日本エアシステム(JAS)が好きだった。2000年頃には、世界でもっとも安全な航空会社との評価を勝ち得ていたし、その頃導入された新鋭機B777には、レインボーシートといって1000円プラスでゆったりとしたシートに座れたからだ。
 そして何より私が子どもの頃に乗っていた国内長距離路線では、日本エアシステム(当時は東亜国内航空)にはなかなか乗れなくて、1度乗ってみたいという思いが強かったからかもしれない。


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「空からの贈りもの」 確か1990年頃に乗客に配布していた冊子。飛行機に関する情報やエピソードが34ページにわたって書かれている。右のステッカーは一緒に配布していたもの。非正規雇用が労働者の過半となっている現在では、ますます重要性のあるスローガン。大事に保管しています。

 そんなJASが日本航空(JAL)に吸収されて、現在のJALになった。この2社のコンピュータシステム統合は、大規模システム統合の成功例として、システム屋の間でもなじみ深いものとなった。
*実際に成功したのかどうかはわからない。ただ2004年当時は日経のメディアではもてはやされていた。

 ほんの5年ばかり前の話だ。JASはなくなってしまったけれど、JALのマイレージ会員になって優先的にJALを利用していた。しばらくはJASのレインボーカラー機(デザインは映画監督の黒澤明)も飛んでいたから。

 しかし私は今後2度とJALを利用することはないだろう。

「日航、整理解雇を決定 パイロットと客室乗務員」(Source:朝日新聞 11/13。特集記事だからしばらくは削除されないでしょう)

「日航が整理解雇発表 最大で250人対象」(Source:朝日新聞 11/15)

(記事抜粋)日航は9日を期限にパイロットと客室乗務員の希望退職の最終募集をしていたが、パイロット約110人、客室乗務員約90人の計約200人が目標に届かなかった。休職者など約50人を含め、最大で計約250人が解雇の対象になり得る。

ところが実態は・・
日航「整理解雇」 まやかしの「稼動ベース」 削減目標は二転三転(Source:しんぶん赤旗 11/20)

(記事抜粋)日本航空が、客室乗務員を「整理解雇」する口実にしているのが「稼動ベース」というまやかしです。
 日本航空は希望退職が目標を下回ったとして、パイロット110人、客室乗務員90人、休職者50人の合計250人を「整理解雇」すると15日に発表しました。
 ところが、客室乗務員は人員削減目標660人に対し、733人の希望退職応募者があり、73人も超過達成しています。・・
 日航は「稼動ベース」で目標を下回っているといいます。これは、休職中の人は「0人」、育児・介護中で部分就労の人は「0・5人」などと、応募者数を実際より低く見積もるものです。・・
 日航は、退職させたい客室乗務員を「自宅待機」にし続けています。更生計画案を上回る退職者がありながら、特定の労働者に狙いをつけて、無理やり解雇するやり方は、およそ4要件を満たしているといえません。

その「整理解雇」前段階に日航がやったこと
日航、仕事奪い退職強要 パイロット320人以上に空白のスケジュール(Source:しんぶん赤旗 10/20)


・・・・・

 もうなんというか、JAL上層部が行っていることは、不当労働行為のオンパレード。人員整理目標を出して、ターゲットになった社員には勤務をさせず、解雇に応じなかった社員には、シミュレータ使用までも有料化する(これがべらぼうに高い)。
*長期間フライトしないパイロットには訓練が義務づけられている。
 それでも解雇撤回を求めてたたかう人々に対し、今度は組合から争議権まで奪おうとする。当初会社が計画していた解雇人員数を満たしているにもかかわらず、さらなる解雇を行おうとすらしている。これは整理解雇による合理化だけではない、何か別の目的があるのでは、と勘ぐりさえしてしまう。

 JAL-日本航空といえば、かつての国営企業。今でも国の力が強い半国営と言っていい企業である。
 その同じ国営企業が民営化された折、何が行われたか。国鉄のことを思い出して欲しい。激しい組合差別によって労働者を分断し、「一人も路頭に迷わせない」などと国会で約束したにもかかわらず、1047名もの労働者が解雇され、そしてようやく今年、23年も経って一応の解決をみたこの件を。日航は再びその愚を繰り返そうというのか。

・・・・・

 かつて単独機事故として世界史上最大の犠牲者を出したことのあるこの日本航空は、空の安全という点に関しても、許されざる蛮行をはたらいている。
 それは、整理解雇リストに労働者を載せる条件のひとつとして、病休の多さを上げていることだ。当然か?いや違う。空の安全を守るには、体調不良なまま搭乗することは許されない。

 航空機事故を記録した本の中には、事故にあった乗員が、事故機の中で自らが所属する航空会社の過酷な働かせ方への不満を述べている事例があったし(1995年12月にコロンビアで発生したアメリカン航空965便事故。ボイスレコーダーに会話が残っている)、5月のインド機事故も、機長が1時間以上にわたって居眠りをしたことが原因との結果が先日出た。
機長の居眠りが原因=158人死亡の墜落事故-インド紙(Source:時事通信 11/17)
 過酷な労働や病気などで、乗員の体調を万全でなくすると、時に大きな事故を起こすことは自明のこと。だからこそ乗員は休むのだ。そのために会社は休みを取りやすい体制をつくるべきなのだ。

 しかし日航の不当解雇のやり方では「休むと会社を首になるかもしれない」というメッセージを、日航上層部が発していることと同様である。これは非常に危険なことだ。
 以前スカイマークエアラインで、機長が、体調不良のキャビンアテンダントの搭乗を職権で拒否したら、会社の上層部からその乗員の搭乗をごり押しされたあげく、その後契約を解除されたという事例があった。これでスカイマークは晴れて私が搭乗拒否するエアラインとなったのだが、この件で国土交通省はスカイマーク側に厳重注意を行っている。

 しかしもっと危険なことを、今現在やり続けている日航には、国交省はなんら是正勧告も指導もしていない。どうしたことだろうと思う。

 こうして労働者を軽視した企業は、必ず利潤追求に走る。そして犠牲になるのはまず安全性だ。安全というものは、今事故が起っていないからといって、おろそかにし続けていいものではない。医療界にいる私は身をもって知っている。
 労働者に犠牲を強いて、5年前に大事故を引き起こした元国営会社を覚えているだろうか。そう、JR西日本、福知山線事故のことを。あれこそまさに安全性軽視、利潤追求で労働者に過酷な勤務を押しつけたあげくの事故だった。あまつさえJR西日本は、事故を起こしてしまったかわいそうな若い労働者に対し、加害者扱いに等しい態度すらとった。JR西日本はあの事故に関して、組織の非を一切認めようとしない。そんな組織では、遠からずまた同じような事故が起るだろう。

 そのことを私たちは決して忘れてはならない。あのような事故をもたらす一切の要因を、私たちは許してはならない。だから私は宣言する。

 この不当な整理解雇を撤回するまで、私はJAL-日本航空を今後一切利用しない。日航ホテルも同様。不当解雇を行うな。空の安全を守れ。


 参考として・・「客乗連絡会」をぜひご覧になってください。

 スカイマークについてはこちらも・・海ラジ様 旅するデジカメ・札幌発<見る・残す・伝える> スカイマーク~機長より社長が偉い会社に「安全」は無い

 今回の不当解雇について簡潔にまとめられています・・罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会 様「(声明)日本航空の「整理解雇決定」に強く抗議する」


上記アメリカン航空事故の会話内容が記載されています
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NO NAME

倒産した会社の従業員を積極的に解雇するのは、会社建て直しの必須条件です。組合云々で解雇を抵抗しているのは単に再建の足を引っ張っているだけにすぎない。さっさと諦めて一日も早く会社を再建して多額の税金を費やした事を真摯に受け止めるべきである。
by NO NAME (2010-11-21 21:51) 

Mosel

名無しを自称し、まともに私のエントリを読んでいらっしゃらない人に、まともにお返事するのはバカらしいですが、日航がなぜ現在こうなっているのかを、少しは勉強なされてはいかがでしょう。
それから、従業員を会社建て直しのために解雇するというのは、解雇のための条件を満たしていなければならないというのは、それこそ「必須条件」ですよ。そんなこともご存じないのか(笑)。
多額の税金を費やして、地方に採算のとれない空港を乱造し、日航にその空港を活用させようとした人々のことについては、あなたは少しも思いをはせないようですな。実に(権力者にとって)都合のいいことで。
最後に他人のBlogに意見をするなら、まず社会人としての最低限の礼儀はわきまえることと思いますよ。あなたのような意見を書き散らす輩は、どうもその辺の常識がなくって、実に不愉快ですな。
by Mosel (2010-11-21 23:24) 

ponnta1351

以前、山崎豊子の長編、沈まぬ太陽を読みました。映画化もされましたね。親方日の丸の精神でやりたい放題!かっての上層部たちは散々良い思いをした事でしょう。いつも汗水垂らして働く人たちがバカを見るんですよね。
私は正直言って、最初から解体してほしかったです。我々の貴重な税金を使って欲しくなかったです。
大金をつぎ込んだ挙句の不当解雇、腹立たしいです。
by ponnta1351 (2010-11-24 14:43) 

Mosel

いつもありがとうございます。
不当解雇で会社を存続させるということは、結局破綻の責任を働く人にとらせているということだと思います。で、日航上層部や御用組合の幹部、そして空港利権で甘い汁を吸ってきた各地の保守系政治家たちはおとがめなしです。
しかも今回の不当解雇はキャビンクルーユニオンのような、まともな組合に対して向けられているという指摘もありました。
この国は国鉄民営化の愚をもう一度繰り返そうとしています。許されないことです。
by Mosel (2010-11-24 20:38) 

整理解雇対象当該者

Moselさん、初めまして
私は日本航空の副操縦士で、10月から丸2ヶ月間、そして来月12月もブランクデー勤務を命じられ、退職強要を受けている当該者の一人です。
こちらのブログでMoselさんのご意見を拝見し、とても勇気づけられました。
職場の仲間にMoselさんのご意見を紹介し、私たちの主張に確信を更に深め、整理解雇撤回を会社に迫っていきたいと思います。
つきましては、こちらのブログの文章を職場のニュースに引用させて頂けませんでしょうか?(掲載されている文章に手を加えることは当然致しません。)
Moselさんに再びお客様として、安心してお乗り頂けますよう、整理解雇を撤回させ、皆様に再びお選び頂ける航空会社となるべく、これからも全力で取り組んで参る所存ですので、どうか宜しくお願い申し上げます。
by 整理解雇対象当該者 (2010-11-29 18:06) 

Mosel

整理解雇対象当該者様。悲しいお名前に、ご事情お察しいたします。私は日航の整理解雇方針、そしてあなた様のような被害者を生んでいる、日航の退職強要に激しい怒りを抱いております。
私の拙文が何かの役に立つようなら、職場ニュースでも何にでも、ご自由にお使いください。皆さんの苦悩が少しでも解決できるなら、編集のために改変していただいてもかまいません。
皆さんが航空労働者として、再び勤務に励まれることを切に望んでおります。会社の横暴に負けずがんばってください。微力ながら私も全力で支援します。
by Mosel (2010-11-29 23:27) 

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