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うつ病三者三様 [現場のシステム]

 出入りの業者の営業が突然変わった。新しい担当者は彼が「休職」したと言っていた。もう10数年も私たちの会社に出入りしている人だったのだけれど、実は一年くらい前から気になっていて、ちょっとその人に聞いてみた。

 「メンタルですか?」・・うつ病患者は何となく雰囲気に似通ったものがある。それが何かと説明するのは難しいけれど。
 病院のマネジャー職だった私のまわりには、多くのうつ病患者がいた。長時間で過重な労働、そして構造がウルトラ未熟な組織だったから、マネジャー職に極端な責任が無制限にかかる。最終責任を背負う割には権限が与えられていない「偽装管理職」状態。一方で他人に責任を投げつけ、仲間内で固まるようなマネジャーには負荷が少なかった。そいつの負荷が少なくなった分、他の人にそれがのしかかる・・・。

 彼はせきを切ったように話し始めた。一年くらい前からうつの症状が出始めて、病院に受診するよう勧めていたこと。他の顧客からも指摘されたことがあること。休職ではあるが、必ず復帰するよう本人には話してあること、など。

 「なにか問題でもありましたでしょうか」支店長は言った。私は即座にそれを否定した。「何の問題もありませんでした」「いつでも復帰をお待ちしています、と伝えてください」。
・・・・・

 会社の別部門で人事異動があった。受入先予定の職場は、彼と面談して「ウチの職場では難しいなあ」と判断した。他の人を探していたところ、会社の上層部から彼をごり押しされたのだそうだ。根拠は・・よくわからない。
 半年もして彼に声をかける機会があったけれど、どうも消極的な発言が多い。大丈夫かな、と思った数日後、ひどい感情失禁を起こして、休職してしまったのだそうだ。
 ごり押しした連中の責任は、彼の人生を崩してしまった責任は、今のところ誰も取っていない。

・・・・・

 私が支援している裁判(川田直さんの労災認定を求める裁判)が、まもなく判決を迎える。これまで多くのやり取りがあった。社員も尋問した。医者の証言も得た。そして私はよく分かった。うつ病にかかる社員を出すというのは、職場や組織がなんらかの歪みを抱えていると言うことなのだ。意図的にせよ無意識にせよ、悪意があろうがなかろうが、そこには何らかの問題がある。うつ病にかかる人というのはそれを知らせてくれる「炭坑のカナリア」、いや口さがなく言えば「スケープゴート」なのだと。

・・・・・

 もう一つ出入りの業者の担当者が、うつ病を理由に我が社に来なくなってしまった。心配して遠回しに様子を聞いてみた。そしたらその人は私たちのところ以外では、普通に仕事をしているらしい。 ??そりゃうつ病って言うのかい?? いや、ま、その人が我が社での業務にストレスを感じているなら、担当を外れるのは、労働安全衛生上好ましいことだ。それに異論はない。
 だが、その取引先は、定期協議の場に別の社員すら派遣することをやめてしまった。 ??なんだそりゃ?? こんな問題業者は切り捨ててしかるべきと思うけれど、いろいろなしがらみがあって、なかなかそうも行かないらしい。

 だがとりあえず仕事は回っている。まあ、対して支障も出ていないのは、その業者がやるべき仕事を、今までほとんど私がやっていたからに他ならないのだが。

 ま、歴史のある会社というのは、何かとややこしい問題があるもののようだ。
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