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リカンベントで空を見る [自転車]

 先日リカンベント自転車を購入した。
リカンベントって何ですか?ここをクリックしてググってくださいな
 文章で表現するのは難しいのだが、通常の自転車が「馬にまたがる」スタイルなのに対して、リカンベントは「ラウンジチェアに座る」スタイル、と言えようか。リカンベント乗りは、普通の自転車を「アップライト型」と呼ぶ。
 奇妙なスタイルのこの自転車は、実は自転車の草創期から存在していたのだが、ミニベロ(小さなホイールをもつ自転車)と同様、自転車競技の場から排除されて久しく、ツールドフランスやジロ、競輪などに出ることはできない。だから市販車も少なく、大変珍しく、とてつもなく高価(自動車よりはかなり安い)。

 私の自転車はライトプレーンなどを製作しているRANSという会社のTAILWINDというモデル。形状から言ってコンフォートタイプのようだ。20inchのエアロホイールにPRIMOのスリックタイヤと、ちょっとパーツにもレース系のものがある。ホイールベースはやたら長く、全長が2m近いシロモノ。

実はとても細長い自転車
 リカンベントの構造上、非常に低いスタイルで走る体勢となるので、町中で見ると結構異様な雰囲気が出ているようだ。リカンベント自転車はずいぶん前から気になっていて、いつか買おうと思っていたのだが、そしてそのライディングに期待していたのだが..。これが予想以上のシロモノだった。普通の自転車と全然違って、もう激烈に快適。もはや自転車の範疇を超え、別な乗り物と化している。
 購入後のテスト走行で並木道の中を走る。週10日降り続けたここのところの雨天が上がって、あたたかい日々が現れた。走行中ふと力を抜くと、リカンベントはその構造上ドライバーは上を向く。碧く抜けるような空、雨上がりの濃緑に、彼方の空には飛行機雲が見える。アップライト型は疲れて一息つくと下を向く。そこには無味乾燥なアスファルト。この衝撃的な違い。
 コンフォートタイプということもあって、巡航走行が実に楽。前後で24段の変速器はギア比がやや小さめだけれど、だからこそひざに負担がかからない。RANSのリカンベントは全モデルサスペンションなしのリジッドだ。しかしホイールべースが異常に長く、フレーム全体でしなやかにショックを受け止めている。
 そして誰もがこちらを見る。休日、ワゴンから子どもたちがこちらを指さす。交差点での信号待ちで、もの言いたげなオヤジがこちらを見ている。

 テスト走行は約20km。何らのストレスもなく走り続けることができた。購入当初心配していたコーナリングも、慣れると意外に小回りもきき、何の問題も見られなかった。
 確かに乗るのはちょっと大変で、特にこぎ出しの不安定さは課題かもしれないが、なになに、そんなものは5分で慣れる。リカンベントの欠点としてよく言われるのは、重力を利用した踏み込みができないため、上り坂での運行が難しいというものだ。いやいや普通の自転車では降りて押すような坂道でも、わしわし登れて全然問題なし。

 通常の自転車にもいろいろあるように、リカンベントにもいろいろある。やたら車高の低いレース用は、ほとんど地面に寝そべるようにして運転する。イスは固定され、足の長さや腰の大きさによってカスタマイズして作成される。3輪のモデルもあり「トライク」と呼ばれる。その姿はロータススーパーセブンの様にスパルタンな雰囲気丸出し。走行特性も普通の自転車とかなり違うのだそうだ。これらは大変な高速走行が可能で、アップライト型での速度記録を持つモールトンの約85km/hをはるかに上回る、100km/hオーバーでの走行が可能だそうだ(市街地ではなくオーバルコース)。車高が低いと車から見えないので-自転車は道交法上、車道走行が基本です-小さな旗を立てて存在をアピールする。そして後ろを見ることが難しいので、バックミラーも必至。

 腰を起点にしてペダルをこぐのでイスの位置とイスとの「相性」がポイント。そんなわけで通常の自転車よりも個別性の高い乗り物になる。個別性が高いので大量生産ができない。というか、そもそも大量生産できるような需要がなく、大手の会社もGIANT社「REVIVE」(セミリカンベントと呼ばれるタイプだが)を除いてほとんど作っていない。

 さてさて、自転車も速度を追求するならば、やっぱり車と同じでエンジンが大事。自転車のエンジンってなに?いやいや言うまでもないでしょ。あなたの脚力と呼吸機能ですよ。前者が弱いとすぐに足が動かなくなります。後者が弱いと酸欠で止まります。こればっかりは簡単にボアアップできないもので。いやはや。


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